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完全ソールドアウト。勢い止まらない、King Gnuの大躍進

King Gnu | 2018.04.10

 2018年、もっとも気になるロックバンドといえばKing Gnu(キング・ヌー)だ。King Gnuとは、スタンリー・キューブリックの世界観をラウドかつ繊細にサウンド化したような、カオティックでありヴァイオレンスな香りを漂わせながらも、知性とユーモアを感じさせる極上のポップセンスによって“ジョーカー”のようにシーンをひっくり返そうとしている逸材だ。

 昨年、10月に1stアルバム『Tokyo Rendez-Vous』をリリースし、1月28日に渋谷WWWで 開催した初ワンマンLIVE『Tokyo Rendez-Vous』が即完した彼ら。追加公演となった3月23日、渋谷WWWXでの『Tokyo Rendez-Vous X』を目撃した。もちろん、こちらもソールドアウト公演だ。

 ライブは、雄叫びが飛び交う新曲アッパーチューン「FLASH!!!」からの爆裂スタート。立て続けにミュージックビデオでの怪しげな世界観が話題となった人気曲「Tokyo Rendez-Vous」をプレイ。
https://www.youtube.com/watch?v=XDiuwqJg8pU

 陰と陽を感じさせる、常田大希(G,Vo)と井口理(Vo,Key)によるツイン・ボーカル掛け合いの高揚感。アグレッシヴにリズムを泳ぐ新井和輝(B)と、フリーダムに跳ね回る勢喜遊(Ds,サンプラー)による空間を支配する圧巻のビートセンスの良さ。何より、鬼才ミュージシャン 常田による自由でテクニカルなギタープレイはこれまで聴いたことがないような妖艶なサウンドを繰り広げていく。彼らの楽曲の歌詞は日本語だ。しかし、演奏面ではドン・ウォズ率いるブルーノート・レコードの新世代、ロバート・グラスパー以降のセンスを感じさせながらも、アメリカの絵本作家エドワード・ゴーリーのようなキッチュでダークヒーロー的な不条理な世界観を醸し出すインパクトがエモい。

 注目は、80’sニューウェーヴな疾走感が魅力を解き放つキラーチューン「あなたは蜃気楼」での、デストピアを予感させるビートロックなハイテンションっぷりだ。
https://www.youtube.com/watch?v=g3VNX7518UU

 そして、前身バンドであるSrv.Vinci時代から演奏されている代表曲「ロウラブ」におけるメロディアスな存在感の強さにも心を奪われた。下記、ミュージックビデオはiPhoneで撮影されたという。
https://www.youtube.com/watch?v=nhH03chZJMQ

 ライブ終盤には、軽快なギターロック・センスが秀逸な新曲「Teenager forever」での胸アツな疾走感。そして、誤解を恐れずにいえばB’zやザ・イエロー・モンキーをも彷彿とさせる、マスへも届くバンド・アンセム「Vinyl」での情熱的なプレイによって解放されていくオーディエンスたち。
https://www.youtube.com/watch?v=RLAw8Ct9k48

 詞曲を手がけるのはギターとヴォーカル、キーボード、プログラミングを手がける東京芸術大学中退、鬼才音楽家と知られる常田大希だ。学生時代、小澤征爾の音楽塾に通っていたという彼は、少年時代から弦楽器に類稀なるセンスを持っていた。クリエイティブ集団PERIMETRONを立ち上げ、ファッション、CM、テレビや映画への作品提供や音楽監督を務めるなど、アートをカルチャーとして昇華する先鋭的な一面をみせている。一昨年リリースしたDaiki Tsuneta Millennium Parade名義のソロ・アルバムでは、フライング・ロータスを彷彿させるエッジーなサウンドをクリエイトしている。米津玄師のヒットアルバム『BOOTLEG』へのプレイヤーとしての参加も記憶に新しい。

 ヴォーカルとキーボードを手がける井口理は、常田と同郷で東京芸術大学声楽科出身。透明感のある綺麗な歌声が魅力であり、舞台役者としての側面も持つ。ライブでの突飛なMCやSNSでのアヴァンギャルドにユーモア溢れるスタンスなど、バンドのトリックスターでありムードメーカーだ。

 ベースの新井和輝は、日野jino賢二に師事するなど、ジャズ・フィールドでの活躍もみせている。さらに、甲田まひる、高井息吹など、注目アーティストのサポートを務めるなどその演奏力の高さに定評を持つ。ライブでは、MCなどスポークスマン的な一面もみせている。

 ドラムとサンプラーを手がけるワイルドなプレイが魅力な勢喜遊は、徳島県阿南市出身。少年時代はストリート・ダンスの道を目指していたというファンキーなセンスを持つ。新井とは別現場でのセッションで意気投合し今に至るという。

 King Gnuが始動して丸1年が経過。現時点での集大成を垣間見れたステージが渋谷WWWXだった。曲中に突然、勢喜遊が「ありがとう~!」と叫びだし、井口が毒っ気たっぷりに客いじりに勤むなど、特異なキャラクター性も明確になってきた。コミカルなトークセンスは、バンドの魅力でもある。そのトークセンスが買われてか、この春からINTER FMで新番組『RADIO GNU』がスタートすることにも注目したい。

【番組情報】
放送局:INTER FM
番組タイトル:RADIO GNU
DJ:King Gnu
放送時間:4月から毎週木曜日 23:00~23:30
http://www.interfm.co.jp/news/detail.php?id=1677

 以上、メンバーのほとんどが1992年生まれ(※井口は1993年生まれ)の同世代であり、明らかに普通のロックバンドとは異なる経歴やスタンスが、バンドのオリジナリティーの獲得に多大なる影響を与えていることは想像に難くない。

 “トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイル”と称されるKing Gnu。だがしかし、ライブ中盤に披露した新曲「Hitman」では、キャッチーなシンセ・リフが琴線に触れる歌モノ曲を投げかけるなど、バンドの進化&快進撃は止まらなそうだ。

 そして、この追加公演でKing Gnuによる夏のワンマンLIVEの開催が発表された。 7月13日にKing Gnu として初のLIQUIDROOM公演、7月16日にはShangri-Laにて大阪での初ワンマンが決定した。 King Gnuの公式HPでは3月31日(土)から4月15日(日)まで先行予約を受け付けている。

 King Gnuは、時代性をも超えて響くであろう中毒性高いスキルフルな演奏力によって、混沌という知性にポップという名の秩序を与えていくはずだ。そして、思い出されるのはバンド名の由来でもある常田が愛する動物=ヌー(※嗅覚が鋭いといわれ、草食性で食料となる草原を求めて集団で大移動することで知られる)の存在。そう、King Gnu=ヌーの群れは、ファンという仲間を巻き込んで徐々にデカくなる。2018年、King Gnuの大いなる旅が“今”ここにはじまろうとしているのだ。

【取材・文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)】

リリース情報

Tokyo Rendez-Vous

Tokyo Rendez-Vous

2017年10月25日

アリオラジャパン

01. Tokyo Rendez-Vous
02. McDonald Romance
03. あなたは蜃気楼
04. Vinyl
05. 破裂
06. ロウラヴ
07. NIGHT POOL
08. サマーレイン・ダイバー

セットリスト

King Gnu ONE-MAN LIVE 「Tokyo Rendez-Vous X」 2018.03.28@渋谷WWWX

  1. 1. FLASH!!!
  2. 2. Tokyo Rendez-Vous
  3. 3. McDonald Romance
  4. 4. Catch!!!
  5. 5. あなたは蜃気楼
  6. 6. PPL
  7. 7. Vivid Red
  8. 8. Hitman
  9. 9. It’s a small world
  10. 10. 破裂
  11. 11. Diving to you
  12. 12. ロウラブ
  13. 13. Teenager forever
  14. 14. Vinyl
  15. 【ENCORE】
  16. 15. サマーレイン・ダイバー

お知らせ

■ライブ情報

チャームポイント
04/10(火)LIQUIDROOM

CROSSING CARNIVAL’18
04/22(日)渋谷 TSUTAYA O-EAST、TSUTAYA O-WEST、TSUTAYA O-nest、duo MUSIC EXCHANGE

VIVA LA ROCK 2018
05/3(木祝)~5/5(土祝)さいたまスーパーアリーナ

NIIGATA RAINBOW ROCK 2018
05/4(金祝)万代シテイ(無料会場) / 新潟LOTS / NEXS NIIGATA / 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE 新潟GOLDEN PIGS BLACK SATGE / 新潟CLUB RIVERST / LiveHouse柳都 SHOW!CASE!! 柳都オレンジスタジアム / 市民プラザ / ジョイアミーア / 日報ホール

エレキレストラン111 〜スペシャルツーマン!!〜
05/11(金)京都MOJO

CONNECT歌舞伎町MUSIC FESTIVAL 2018
05/13(日)新宿BLAZE / 新宿LOFT / MARZ / 新宿 Marble / Motion / 新宿RUIDO K4 / Zirco Tokyo / shinjuku SAMURAI / ACB HALL / 愛本店 / シネシティ広場

GREEN ROOM FESTIVAL 2018
05/26(土)~5/27(日)横浜赤レンガ倉庫

METROCK 2018
05/26(土)~5/27(日)新木場・若洲公園

BEACH TOMATO NOODLE (ビーチ・トマト・ヌードル)
06/9(土)千葉県・白浜フラワーパーク

King Gnu One-Man Live 2018 “Flash!!!”
07/13(金)恵比寿LIQUIDROOM

King Gnu One-Man Live 2018 “Flash!!!”
07/16(月・祝)大阪Shangri-La

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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