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吉澤嘉代子 「ウルトラスーパーミラクルツアー」最終公演LIQUIDROOMをレポート

吉澤嘉代子 | 2018.04.13

 開演前のフロアで流れているのは、モーニング娘。に松浦亜弥、広末涼子などのヒット曲。篠原ともえの「クルクル ミラクル」や映画「スーパーマン」のテーマまで聴こえてきて、これから始まるライブに向けた気持ちがますます高まっていく。客電が落ちると同時に大きな拍手が沸き起こり、メンバーが次々と登場。SEは吉澤も参加したPARCOのCMソングで、魔法の言葉のような彼女のスキャットが賑やかに鳴り響いている。最後に「ウルトラスーパーミラクルツアー、恵比寿リキッドルーム開催。」とナレーション口調で告げたのは、そのCMのパロディ! かわいいいたずらを仕掛けたような笑顔を輝かせ、1曲目「ストッキング」でツアーファイナルの幕を開けた。吉澤の数多くの楽曲を手掛け、ライブをともにしてきたキーボードの横山裕章をバンマスとする今回のバンドメンバーは、ハマ・オカモト(Ba /OKAMOTO’S)、尾崎博志(Gt)、伊藤大地(Dr /グッドラックヘイワ)、湯本淳希(Tp / FIRE HORNS)、加藤雄一郎(Sax)。

「ウルトラスーパーミラクルツアーへようこそ! 今日は私たちと一緒に楽しんでくれるかな!?」

「1.2.3.4!」という吉澤の元気なカウントに合わせ、「ユキカ」のイントロに乗せたみんなのクラップがどんどん大きくなっていく。ここからは彼女のライブ史上初となるトランペットとサックスも参加。バンドというよりも楽団といったほうがしっくりくるようなあたたかい音だ。「綺麗」や「手品」といったお馴染みのナンバーでは、管楽器の音色が鮮やかな彩りを添えていく。“楽しい! 本当に楽しい!”。ステージ上のメンバーだけでなく、吉澤が「パーソナルスペースが侵略されてる状態(笑)」と称したギュウギュウのフロアも、そんな幸せな空気に包まれていた。次の曲は、「このツアーで初めて披露する曲。舞台は異国の城下町。普段は目立たない町娘が真夜中に女怪盗へと変身するお話です」と紹介された「怪盗メタモルフォーゼ」。2ndシングル「残ってる」のカップリングとしてCDに収録されていたのは短いCMバージョンだったが、今回はエキゾチックなムードを存分に盛り込んだアレンジで、歌詞も新たに書き加えられたスペシャルニューバージョンに仕上がっていた。

 吉澤「最終日ですけど…、どうでしたか? この1週間」

 吉澤から唐突に話を振られたハマ・オカモトを巻き込みながら、ツアーを振り返るMCタイム。自分のバンド以外のツアーに参加するのは今回が初だというハマ・オカモトが「あっという間でしたね。おかげさまでとっても楽しいツアーでした。まだ終わってないけどね」と感想を述べると、すかさず「これから大きな失敗したら嫌な思い出になっちゃうね(笑)」と吉澤。「やめて! 本当にやめて、そういうこと言うの(笑)!」と返すハマ・オカモトとのやり取りに会場は大爆笑だ。

「今日は私が最高に愛している曲をお届けします。全部好きなんだけど、特に今これは歌いたいな、これ歌ってると幸せだなっていう曲。今回は楽しいツアーにしようと思ったのでそうしました。ここまではキラキラ女子というかきゅるるん系だったけど、ここからは物語めいている曲をやります」

 3rdアルバム『屋根裏獣』でハマ・オカモトがサウンド・プロデュースを手掛けた「ユートピア」からドラマチックな展開が鮮やかな「化粧落とし」へ。恒例となってきた「地獄タクシー」の寸劇、今回の運転手役はサックスの加藤だ。怪しげに響いてくるバスドラとパンチの効いたホーンが最高のドラマを作り上げる。「麻婆」ではベースとドラムが最強のグルーヴを生み出し、ホーンセクションとともに“どファンキー”な空間を。オーディエンスからの「マーボ!」コールも加わって、まさにライブならではの仕上がりだ。続く「えらばし子供たちの密話」は、加藤の奏でるフルートのふくよかな音色と吉澤のファルセットがメロウな色彩を加えていく。間奏のメンバー紹介では、吉澤が終始くるくるとテンション高く踊り続けていたのも無理はないくらい、贅沢なソロを堪能。オーディエンスの拍手も歓声もフルボリュームだ。怪しげなムードのイントロからスタートした「シーラカンス通り」も、エンディングに向かってバンドの音がぐんぐん熱を上げていく。生の楽器の音から伝わって来るエネルギーはやっぱり最強だ。

 ライブもいよいよ終盤戦。ピアノとアコギとサックスだけの「ぶらんこ乗り」は、イスに腰掛けてじっくりと言葉を届ける。浮遊感漂うエレクトロなイントロが美しい「movie」から「一角獣」へ。バンドの音は、吉澤が丁寧に紡いでいく物語にそっと寄り添っていた。

「私の曲を普段から聴いてくれてたり、聴いてくれてなかったり(笑)、今日はいろんな人が集まってると思うけど、私にとっては、私の歌が必要と思ってくれた人はみんな大切。だけど電話番号も住所も知らないから、みんながすごく辛い思いをしていても会いには行けない。だからいつも歌を通して、うっとりしたり、意地悪な気持ちになったり、泣いたりしてもらえたらなと思っています。自分を救うのは自分だけだと思っているけど、歌を通していつもみんなの側に、むしろ一体となっていれたらなと思っています」

 本編ラストの曲は「雪」。このツアーをやるにあたって絶対最後にやりたかった、第一優先の曲だと語っていた。学生時代の大切な気持ちを歌った、この季節にぴったりな曲。滑らかなスティール・ギターの音色に、胸が締め付けられるようなエンディングだった。

 アンコールの拍手に応えて登場した吉澤は、まず「演奏も素晴らしいし、ステージでこんなに自由に楽しく歌えて幸せでした」とツアーを振り返る。そして「2つお知らせがあります」と切り出し、「ひとつは悪いお知らせ。私、吉澤嘉代子はこのツアー中に花粉症になりました(笑)。もうひとつはいいお知らせ。私、吉澤嘉代子は6月13日に新しいシングル「ミューズ」をリリースします」と発表。最近の自分の気持ちや大事にしている言葉を入れた曲であることを伝えた。メンバーを呼び込み、アンコールはまずいつもの”ルマンド砲”が炸裂した「月曜日戦争」から。CDではキラキラしたシンセだったイントロをホーンに変え、それを指揮するような吉澤のパフォーマンスも今回ならではだ。最後は、ロングヒットを続けている名曲「残ってる」。会場に足を運んでくれた人たちだけでなく、この曲を通して繋がったたくさんの人たちへも思いを馳せているような表情が印象的だった。

「あぁ、名残惜しい!」

 そう口にしながら、何度も何度も手を振ってステージを後にした吉澤。ウルトラスーパーでミラクルなツアーを終えた彼女が、次回、6月16・17日に東京国際フォーラム ホールCで行なう「吉澤嘉代子の発表会」にどう臨むのかが楽しみだ。

【取材・文:山田邦子】
【撮影:田中一人】

tag一覧 J-POP ライブ 女性ボーカル 吉澤嘉代子

リリース情報

ミューズ

ミューズ

2018年06月13日

日本クラウン

01.ミューズ
02.おとぎ話のように

セットリスト

ウルトラスーパーミラクルツアー
2018.03.22@LIQUIDROOM

  1. 01.ストッキング
  2. 02.ユキカ
  3. 03.綺麗
  4. 04.手品
  5. 05.怪盗メタモルフォーゼ
  6. 06.ユートピア
  7. 07.化粧落とし
  8. 08.地獄タクシー
  9. 09.麻婆
  10. 10.えらばれし子供たちの密話
  11. 11.シーラカンス通り
  12. 12.ぶらんこ乗り
  13. 13.movie
  14. 14.一角獣
  15. 15.雪
  16.  【ENCORE】
  17. EN 01.月曜日戦争
  18. EN 02.残ってる

お知らせ

■ライブ情報

吉澤嘉代子の発表会
06/16(土)「子供編」東京国際フォーラムホールC
06/17(日)「大人編」東京国際フォーラムホールC

前野健太 ニューアルバム 「サクラ」 発売記念ツアー ~開花宣言2~ <ソロ対バン篇>
07/12(木)京都・磔磔

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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