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KANA-BOONの長年の夢、主宰ライブでASIAN KUNG-FU GENERATIONと共演!

KANA-BOON | 2018.06.13

 時代も世代も軽やかに超えて繋がれるということ。同じ空気の振動を、同じ瞬間、同じ場所、同じ目の高さで共有できるということ。そんな奇跡みたいな喜びが音楽には散りばめられているということ。この夜のステージはそれらをありありと体感させてくれた。メジャーデビュー5周年を迎えたKANA-BOONがそのアニバーサリーとして企画した東名阪対バンツアー“Let’s go TAI-BAAN!!”。初日となった東京公演、5月30日のZepp Tokyoだ。

 対バン相手に選ばれたのは彼らに多大な影響をもたらしたルーツとも呼ぶべきバンドであり、レーベルメイトとしても大先輩であるASIAN KUNG-FU GENERATION。KANA-BOONとアジカンの対バンはこれが初めてというわけではない。そもそも2012年に所属するレーベル、Ki/oon Musicが開催した『キューン20イヤーズオーディション』で見事優勝、アジカンの出演するイベントのオープニングアクトの座をもぎ取って話題を呼んだことがデビューのきっかけでもあり、その後、アジカン主宰の音楽イベント『NANO-MUGEN FES. 2014』や、2016年にアジカンと次世代バンドが対バン形式で全国5都市を回った『JFL presents LIVE FOR THE NEXT supported by ELECOM』の札幌公演など、むしろ折々でステージを共にしてきたと言ってもいいかもしれない。

 しかし、これまでの対バンとこの日とで意味合いを決定的に異にするのは“KANA-BOONが自身の主宰するライブにASIAN KUNG-FU GENERATIONを招聘した”という点だろう。今なおリスペクトしてやまない先達を招いて同じステージに立つ、それはこの日、KANA-BOONのターンで「長年の夢が叶いました!」とまっすぐに歓喜を炸裂させた谷口鮪(Vo・Gt)の言葉そのまま、まさに念願だったに違いない。もちろん互いのファンもそうした関係性をよく知っているからだろう、外はあいにくの雨模様ながら、開演前のフロアには嬉々とした明るいざわめきが充満していた。

 先攻のASIAN KUNG-FU GENERATIONが姿を現わすや、凄まじい歓声が場内を揺らす。ズダダダン!と伊地知潔(Dr)がぶちかました力強い打音に、オーディエンスのスイッチも一気にオン。1曲目は「サイレン」だ。2004年にリリースされたシングルながら、サウンドに迸る色褪せることのない初期衝動と、後藤正文(Vo・Gt)の歌からこぼれ出す切迫して生々しい感情がフロアをも掻き立てて、早くも興奮がただならない。イントロもアウトロもたっぷりと尺を取り、豊潤なバンドアンサンブルを轟かせた「Re:Re:」、最初のワンフレーズが響いただけで待ってましたとばかりに客席いっぱい、一斉に拳が突き上がった「リライト」とのっけからキラーチューンを惜しみなく投下し、気づけばデビュー15周年の貫禄を見せつけるアジカン。音楽の楽しさを全身で体現するかのような喜多建介(Gt・Cho)のプレイ、山田貴洋(Ba・Cho)の相変わらず体幹のブレない硬派なビート、鍵盤のみならず、タンバリンにシェイカーにコーラスにとサポートでありながら今や第5のメンバーとして欠かせないthe chef cooks meの下村亮介(Key)が生み出す音の数々、それらすべてが見事に調和してアジカンという大きなうねりを生み出しているかのようだ。6月7日からツアー『ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2018 「BONES & YAMS」』がスタートするとあってすでにバンド自体がいい感じに温まっているのだろう、いつにも増して高い求心力と、その一方でほどよく肩の力が抜けた演奏の安定感はさすがとしか言いようがない。

 MCでは後藤が『キューン20イヤーズオーディション』に触れ、「すっかり立場が逆転して、今日はオープニングアクトに選んでいただいて嬉しいです」などと自虐気味に笑いを呼び、勢いに乗るKANA-BOONの影でひっそりと制作中のニューアルバムが秋頃リリースされる旨をしっかりアナウンス。今日のバックステージでは谷口が珍しくメガネを掛けていたことを明かすと「俺のコスプレしてるのかな?」と愛のあるイジリで場内に爆笑の渦を巻き起こす場面も(その後の谷口の弁明では、コスプレではなく単に視力が落ちたとのこと)。「でも好きと言ってもらえてうれしいです。みなさん、好き同士が集まってるわけですから、今日は楽しい夜にして帰りましょう」と観客に改めてメッセージを送ると、最新曲「生者のマーチ」を披露。人が人を想うこと、悲しみや寂しさをも孕んだ愛がじわりと胸に沁みては広がる。

「いいね、やっぱり音楽は。こうやって世代を超えてさ」

「ソラニン」の余韻がまだ残る中、感慨を込めて後藤はそう言った。追いかけてもらえて嬉しい半面、“中学生のときに聴いてました”と言われて“じゃあ今は?”と複雑な気持ちにもなったりもすることを冗談混じりで語りつつ、「でも鮪くんはインタビューとかで“『Wonder Future』ってアルバムがよかった”って言ってくれて。今日もあとで3000円くらい渡そうかな」と独特の表現で感謝を告げる。そこには常に最新が最高であらんとする後藤ならびにアジカンの意地が宿っていたのではないだろうか。「みんなにも100円とか配りたいけど、そこまでお金持ってないから、あと何曲か“今日はチケット代より100円分楽しめた”って思ってもらえるようないい演奏をします」と宣言したあとは最新シングル曲「荒野を歩け」。ただがむしゃらにひた走るだけではない、“ゆらゆらと歩むんだ”という今の彼らだからこそ辿りついた境地が音となってリアルにオーディエンスに迫ったかと思えば、「エントランス」では一転、青々しいまでの疾走感で狂騒を牽引するのだから、やはり強い。

 だが、もちろんKANA-BOONも負けてはいなかった。小泉貴裕(Dr)がシンバルを素早く叩きつけると同時に堰を切る切れ味鋭いアンサンブル。「よっさーーーーーーーーーーーーー!!!!!」と谷口の雄叫び一発、オープニングナンバーの「シルエット」にフロアが爆発的に沸騰する。先輩から刺激をたっぷりともらって、それがダイレクトに作用しているのだろう。4人の体から“やったる!”とばかりに立ち昇る意気が目に見えるかのようだ。熱狂に拍車をかけるがごとく突入した「ディストラクションビートミュージック」、「今日は最後まで楽しんでいこうぜ!」と谷口が叫んだ隣で古賀隼斗(Gt・Cho.)がサッと谷口を指し示すように右手を差し出すと、間髪入れず谷口の図太いギターリフが火を噴いた。その一連の流れのなんとクールなことか。古賀は古賀でギラギラと闘志を隠そうともせずアグレッシブに弦を掻き鳴らし、飯田祐馬(Ba・Cho)も幾度となく持ち場を離れてはダイナミックな動きで音を隅々まで届けんとする。盛り上がりはいきなり最高潮レベルだが、そこで追撃を止めるKANA-BOONではない。容赦なく「Fighter」を畳み掛け、場内の温度を天井知らずに引き上げていく。

 といってアッパー一辺倒で攻めるだけではない。中盤ではこの日リリースを迎えた最新ミニアルバム『アスター』から表題曲の「アスター」で夏らしい甘酸っぱさもふんだんに醸しつつ、かつダンサブルにフロアを踊らせてみたり、「ゴッチが褒めてくれた曲」だという「Wake up」で突き抜けたスケール感溢れるサウンドを具現してみせるなど、幅広い音楽性でオーディエンスに揺さぶりをかける頼もしさも。場内に途切れることなく鳴り渡るハンドクラップの音、ザンザンと挙がる腕が多幸感に輪をかけて膨らませる。

「俺ら、ずっとアジカンが好きなんですよ。高校時代もアジカンのコピーをやってたし、ことあるごとにアジカンを聴いて育ってきたわけで、思い出がたくさん詰まっているから今日も「エントランス」とか爆泣きしてしまって。でも最新のアジカンがめっちゃカッコいいなって聴いてて思うんです。すげぇ心に沁みるというか、最新がカッコいいバンドがいちばんカッコいいな、と」

 アジカンへの想いを熱く語る谷口に大きな拍手が注ぐと、彼は続けて「俺らも見習いたいなと思って今日、新譜を出しました」と『アスター』のリード曲、「彷徨う日々とファンファーレ」をタイトルコールした。一語一語を大切に楔を打つように発声される歌が会いたくて会えないやるせなさを増幅する一方で、どこか覚醒した爽やかな音像が推進力となって聴く者を前向きにさせる不思議な魅力をはらんだ楽曲だが、ライブで聴けばいっそう絶妙に刺さる。KANA-BOONもきっとこの先何度も最高を更新しながら“最新がカッコいいバンド”となってゆくはずだ。そう確信する。

 後半戦、「やっぱりアジカンは強いよ。勝てるとこっていったら若さしかないから、若さで勝負していいですか」と挑発的にオーディエンスを煽るとデビュー曲「盛者必衰の理、お断り」へとなだれ込んだKANA-BOON。アバンギャルドなブリッジからサビへの怒涛の展開にまさしくアジカンの系譜を感じるが、けっして丸のまま呑み込んだそれではなく、きちんと咀嚼され、吸収された栄養が彼らならではの身となっているのがはっきりとわかる。そうやって連綿と続いていくのだと思えば、音楽とはなんとプリミティブな営みなのだろう。ラストは「フルドライブ」で余力の余の字も残さぬ痛快さで本編を駆け抜けた。

「せっかく共演ですし、呼びますか!」 

 アンコールはKANA-BOONのステージに後藤を呼び込んでアジカンの「君という花」をセッション。彼らの高校時代、もっともコピーしたという曲であり、アジカンのトリビュートアルバム『AKG TRIBUTE』の中でもカバーしている屈指のヒットチューンだ。1コーラス目を後藤が、2コーラス目を谷口が歌い、サビはふたりで声を重ねる。これぞ対バンと快哉を叫びたい、夢のセッションにオーディエンスが沸かないわけがない。KANA-BOONの演奏としてはおそらくこの日いちばんの力み具合だったようにも思うが、そこは憧れの人とのセッション、それもまたよし、だ。ピースで去っていく後藤を見送って、オーラスは「バトンロード」が飾った。アジカンからKANA-BOONが受け取ったようにバトンは、いつかさらなる次の世代の手にも渡っていくのだろう。しかしまずはKANA-BOONの5周年、5シーズンをかけて完遂されるアニバーサリー企画もまだシーズン2が終わったばかり。9月に開催の『野外ワンマン ヨイサヨイサのただいまつり!2018 in 堺』を楽しみにしながら、続報を待つとしよう。

【取材・文:本間夕子】
【撮影:TEPPEI】

tag一覧 J-POP ライブ KANA-BOON ASIAN KUNG-FU GENERATION

リリース情報

アスター

アスター

2018年05月30日

Ki/oon Music

1.彷徨う日々とファンファーレ
2.ベガとアルタイル
3.アスター
4.線香花火
5.夏蝉の音

セットリスト

KANA-BOONのGO!GO!5周年!シーズン2 東名阪対バンツアー「Let’s go TAI-BAAN!!」
2018.05.30@Zepp Tokyo

    ■ASIAN KUNG-FU GENERATION
  1. 01.サイレン
  2. 02.Re:Re:
  3. 03.リライト
  4. 04.Easter / 復活祭
  5. 05.生者のマーチ
  6. 06.ソラニン
  7. 07.エントランス
  8. 08.荒野を歩け
  9. 09.今を生きて
  10. ■KANA-BOON
  11. 01.シルエット
  12. 02.ディストラクションビートミュージック
  13. 03.Fighter
  14. 04.アスター
  15. 05.涙
  16. 06.Wake up
  17. 07.彷徨う日々とファンファーレ
  18. 08.夏蝉の音
  19. 09.盛者必衰の理、お断り
  20. 10.ないものねだり
  21. 11.フルドライブ
  22. 【ENCORE】
  23. EN 01.君という花
  24. EN 02.バトンロード

お知らせ

■ライブ情報

[KANA-BOON]
KANA-BOONのGO!GO!5周年!シーズン3 野外ワンマン ヨイサヨイサのただいまつり!2018 in 堺
09/24(月祝) [大阪]堺市大浜公園



[ASIAN KUNG-FU GENERATION]
ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2018 「BONES & YAMS」
06/07(木)Zepp DiverCity (TOKYO)
06/08(金)Zepp DiverCity (TOKYO)
06/10(日)SENDAI GIGS
06/14(木)Zepp Osaka Bayside
06/15(金)Zepp Osaka Bayside
06/18(月)Zepp Nagoya
06/19(火)Zepp Nagoya
06/21(木)広島 CLUB QUATTRO
06/25(月)Zepp Tokyo
06/26(火)Zepp Tokyo
06/28(木)Zepp Sapporo
07/01(日)高松 festhalle
07/03(火)福岡 DRUM LOGOS
07/04(水)福岡 DRUM LOGOS
07/07(土)新潟 LOTS
07/08(日)高崎 club FLEEZ
07/11(水)新木場 STUDIO COAST
07/12(木)新木場 STUDIO COAST
07/14(土)神戸 Harbor Studio
07/17(火)LIVE ROXY Shizuoka
07/19(木)京都 KBSホール
07/20(金)京都 KBSホール

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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