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LUCKY TAPES ファイナル公演 東京キネマ倶楽部をレポート

LUCKY TAPES | 2018.07.10

 文学的なリリックの世界観、ファンキーなブラックミュージックの要素と美しいメロディーを融合させたLUCKY TAPES。記念すべきメジャーデビューEP「22」のリリースワンマンツアーの最終公演が2018年6月23日に東京キネマ倶楽部で行われた。これまでのバンドの歩みとこれからへの期待を込めた同作の収録曲を中心に、スペシャルなセットを見せたこの日のライブの模様をレポートする。

 この日の会場である東京キネマ倶楽部は、セカンドアルバム「Cigarette & Alcohol」ツアーの初日公演の会場であり、その模様は「贅沢な罠」のMVにも収められているバンドに所縁のあるヴェニュー。そのきらびやかなステージに立つのは、LUCKY TAPESの3人にドラムス、ホーン隊3人、パーカッション、女声コーラスを交えた総勢9名のミュージシャン。思わず、前売 ¥3,500(税込)というチケットの金額設定を心配してしまうほどだ。

 そんな豪華な編成によるサウンドは1曲目の「レイディ・ブルース」から効果覿面で、生音主体のバンドらしいふくよかな出音が気持ち良い。ハンドクラップでオープニングにして早くも会場に一体感を作ったかと思えば、突き抜けるようなトランペットソロが鳴り響き、ハードなギターソロが応酬するというめまぐるしい展開をスッキリと聴かせる演奏も素晴らしく、数々のフェス出演や海外公演の経験によって、バンドの演奏力が格段にアップしているのを一曲で十分に感じさせられた。

 続くのは「体温」。キャッチーなギターとホーンが絡むイントロは音源よりもさらに激しく、ワウギターのバッキングはよりファンキーな仕上がり。男女のヴォーカルの掛け合いから、トロンボーンが唸り、ジャズライクな展開へ。そのほとんどが音源で経験しているはずの展開にも関わらず、何倍ものダイナミズムを持って響くのが印象的だ。それに対してオーディエンスは腕を伸ばすが、いわゆる邦ロック的なそれではなく、ヒップホップの「プチャヘンザ」的ノリ。これには一瞬面食らうも、ブラックミュージックを下敷きとしたグルーヴが伝わっている証拠なのだろうと腑に落ちた。

 そうしたLUCKY TAPESのグルーヴの肝となっているのは、やはりベースだろう。「22」収録の「NUDE」はシンプルなビートながら、的確に裏を感じさせるベースプレイが聴くものを飽きさせない。ファーストアルバム「The SHOW」収録「Friday Night」において見せるスラップベースもお見事。パーカッションとギターが刻むリズムとの組み合わせがなんともクールだ。

 もう一つ、この「Friday Night」で驚かされたのは高橋海の歌声が持つ表現力。ともすれば弱点となってしまいがちな、線の細いヴォーカルを武器に変えるなんとも言えない色気は、紛れもなく個性そのものだろう。

 また「Balance」「TOKYO」とムーディーな雰囲気な楽曲から「贅沢な罠」へと続くライブ中盤でスポットが当たったのは高橋健介のギタープレイだ。これまでも軽快でファンキーなカッティングから、ハードなディストーションギターまで多彩な演奏を見せていたが「贅沢な罠」におけるブルージーなギターソロは白眉だった。…かと思いきや、ここでサプライズが。バンドメンバーが袖に捌け、舞台上に残ったのはギターをアコースティックギターに持ち替えた高橋健介と、コーラスを担当しているUKO。二人で「夜想曲」を演奏。二人の歌声が作る美しいハーモニーと、アコギ一本ながらもリズミカルなプレイ、フェイクを織り交ぜたギターソロと見どころ満載。そして何よりも高橋健介の歌声が持つ表現力は圧巻。間違いなくこの日のライブのハイライトの一つに数えられるであろう瞬間だった。

 続いて徐々にバンドメンバー全員が戻りながら演奏されたのは「ENCORE(Voice Space)」だ。そしてEP「22」のアウトロ的な楽曲だったこの曲に続くのは、タイトルトラック「22」。「22」リリース時のインタビューでは高橋海が「ENCORE(Voice Space)」から「22」は繋がるようになっていると語っていたが、まさにそれを生演奏で実演した形に。てっきり演奏されないタイプの楽曲だと思っていたので、個人的にはこれが一番驚かされた展開だったかもしれない。

 そしてライブは終盤へ。「2年前にメジャーデビューを発表したら、みんなすごい拍手してくれて、声をかけてくれた。それで間違った選択じゃなかったと教えてもらった。いつもありがとう」という高橋健介からのMCに続いて演奏されたのは、オーケストラ風の雄大なアレンジがなされた「MOOD」。バンドの初期衝動を表現した同曲が感謝の音楽として鳴り響く、この日もっとも感動的な演奏だったと言えるだろう。そして本編はレイドバックした穏やかな雰囲気と狂熱を同居させた「シェリー」で幕を閉じ、アンコールの「TONIGHT!」でツアーは大団円を迎えた。

 音源よりもバンドらしさが際立つダイナミックなアレンジと、それを実現するバンドの演奏力とグルーヴは、LUCKY TAPESの成長と同時に、彼らが紛れもなくライブバンドであることを物語っていた。LUCKY TAPESは繊細かつ平熱的なイメージのあるバンドだが、インタビュー時の発言からは、バンドであることに対する並々ならぬ熱意を感じさせられるものがあった。バンドの意義が問われている現代においてはある種オールドスクールとも言える、LUCKY TAPESの気骨。まさしくそんな彼らの姿勢をダイレクトに感じられる一夜だった。

【取材・文:照沼健太】
【撮影:Kousuke Ito】


tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル LUCKY TAPES

リリース情報

22

22

2018年05月23日

ビクターエンタテインメント

1. 22
2. NUDE
3. EASY
4. MOOD
5. ENCORE (Voice Space)

セットリスト

“22” ONE-MAN TOUR in TOKYO
2018.6.23@東京キネマ倶楽部

  1. 1. レイディ・ブルース
  2. 2. 体温
  3. 3. NUDE
  4. 4. Friday Night
  5. 5. Balance ※未発表曲
  6. 6. TOKYO ※未発表曲
  7. 7. 贅沢な罠
  8. 8. 夜想曲
  9. 9. ENCORE (Voice Space)
  10. 10. 22
  11. 11. Touch!
  12. 12. EASY
  13. 13. Gravity
  14. 14. MOOD
  15. 15. シェリー
  16. [ENCORE]
  17. E1. TONIGHT!

お知らせ

■ライブ情報

Sirup × LUCKY TAPES
07/13(金)大阪・シャングリラ

OTODAMA SEA STUDIO 2018
07/20(金)音霊 OTODAMA SEA STUDIO

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2018
08/11(土)石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ

PLAY VOL.63 w/ NONA REEVES
08/29(水)渋谷ラママ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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