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ラストラム主催オーディション、『ニューカマー発見伝2018』の優勝アーティストはぜったくん!

ニューカマー発見伝 | 2018.08.03

 2018年1月からスタートした、ラストラム主催の『ニューカマー発見伝2018』。月9ドラマ「コンフィデンスマンJP」主題歌に抜擢されたことで一躍全国区となったOfficial髭男dismやSEKAI NO OWARI、黒木渚などを輩出した音楽レーベル・事務所のバンド・アーティストのオーディション企画とだけあって、今年も全国から多くのバンド・アーティストがオーディションに参加。音源、ネット投票による審査、東名阪に加え福岡で行われた予選ライブの審査を勝ちぬいた計6組の精鋭が、7月21日下北沢ERAに集結した。決勝ライブはCDリリース契約と賞金100万円がかかっているということもあり、会場にはどこか緊張感ある空気が。そんな『ニューカマー発見伝2018』決勝ライブの模様をレポートする。


【kasa.】
波のさざめく音に呼び寄せられ、メンバーがステージに登場。白い衣装に身を包んだ3人の空気は柔らかく、手を伸ばしたら消えてしまいそうなほど。しかし、解き放たれたのはしっかりと実在している音の弾丸だった。rui ogawa(Vo/Gt)の少年のような歌声は、1曲目の「22」から人の弱いところを的確に突き刺していく。雨が強くなったり弱くなったりするように、波動を持って“生きること”を歌う声。その景色をより鮮明にする、力強いベースとドラム。彼らの音楽は、まるでひとつの映画のようだ。その後も女性らしい高音が響く「AM5:00」、繊細な指びきギターが紡ぐ「ラヴレター」を披露。ステージ上で描かれる様々なドラマに引き込まれ、会場中が一心に前方を見つめた。“いつか雨がやむ日まで音楽の傘をさしてあげる”と訴えかけてくるようなパフォーマンスだった。

【キャラバン】
かき鳴らされるギターが連れてきたのは、ポップなバラードである「黄昏の街」だ。特別おしゃれなコードやテクニカルなフレーズは存在しない、シンプルなフォーク・ポップ。その飾り気のなさには彼らの素直さがにじみでているようで、天笠勇輝(Vo/Gt)の歌声も真っすぐに飛んでくる。「ムーンライト」ではしっとりしたハーモニーを響かせ、「LITTLE SURVEYOR」では軽やかなマーチを刻む。そして、あまの弾き語りにより導かれたのは「四ッ星応援隊」。彼の安心感ある声が会場を包みこみ、その穏やかさに観客もふわふわと揺れる。難しい言葉を使わずに綴られたリリックは、どんな人にでも届くようにという思いやりの表れだろう。ピースフルな空気を生み出し、ステージを後にした。

【SEAPOOL】
小原涼香(Vo/Gt)が「Low pop Baby」で伸びやかな歌声を響かせ封を切った。けだるげな佇まいから想像できないパワフルボイスには、なにものにも媚びることのないピュアな強さが宿る。その強さは金切り声をあげるようなギターソロにも、風のように爽やかに吹き抜けるバッキングにも表れていた。続く「サマースクール」「スイートQラブ」でも、音楽で魅せるというこだわりを貫く。音の渦が頭上を待っているような錯覚に陥ったのは「CHELSEA GIRL’S ESCAPE」だ。リズムやフレーズが次々と変わっていく曲にも関わらず、音楽はたゆむことなく進み続ける。無意識のうちに、会場中が彼らの渦に巻き込まれていたのは言うまでもない事実だろう。音楽で魅せる、伝えるということに重心を置いた、芯のある音楽を誇示して魅せた。

【ズカイ】
出だしの一音からチルアウトな空気を作りだし、「ビックウェーブはまだ来ない」が奏でられた。風に波が揺れるような穏やかな曲調を紡ぐのは、クリーントーンとディレイを駆使した緻密なギターサウンド。萬雲脩也(Vo/Gt)の心地よい歌声と相まって、よりその音楽の深さを増進させる。「climb」「outsider」においても、その繊細さは健在だ。大きな激情を起こさずとも、聴く人の心を確実に自分の方へと彼らは引き寄せていく。「バイトに行きたくないって曲です」と告げ始まったのは「お日様、さようなら」。心地いいスローテンポな楽曲に、思わず会場中が身をゆだねる。全身を任せられる安心感があるのは、土台であるリズム隊の安定感ゆえだろう。自分たちの音楽をしっかりと刻みつけ、「涼しい顔」でステージを締めくくった。

【Banana Chips】
レスポールのアルペジオにより「またね」がスタート。彼らが鳴らすのは不器用な男のロックンロールだ。ミディアムテンポのバラードは男くさく、間奏に挟まれるギターソロも涙腺を刺激する。口を大きくあけ、目をカッと見開いて歌う梶栗嘉人(Vo/Gt)の姿は、自分の持っている力を余すことなく伝えようとしているようだ。王道ロックに変則的なギターフレーズが光る「Dream on」、力強いバンドサウンドが響く「Endless road」と熱いステージが続く。ファンクなイントロに導かれてきたのは「We going down」。ムーディーな雰囲気の楽曲に、艶っぽい男の色気が漂う。体を左右にゆらし“返さないぜ、今夜は”と歌う姿は、ベンジーを彷彿させた。男くさいロックを様々なテイストで昇華して今あるすべてを吐き出したのだった。

【ぜったくん】
ドラムのフィルインに導かれたのは、夜勤の曲である「NiGHT SHiFTER」。楽しそうに歌うぜったくんから生みだされるラップはメロディアスで、あまりヒップホップに馴染みがない人でも聴きやすい。ディスコチューンの「TOKYO、最南端ステーション。」では彼に誘導され、フロアにクラップが沸いた。各々のソロパートではサポートメンバーを紹介し、自身も某ゲーム機の新型コントローラーを使いシンセソロを披露。遊び心ある演出で会場を盛り上げ、「H.I.M.A」「明日休めない」と彼独自の世界を展開する。「SHIBUYA_2017」は、この日だけの特別バージョンでパフォーマンス。歌詞にあわせクルクルと表情や声質を変える姿は、まさしくエンターテイナーだ。「またどこかで会いましょう」と愛嬌たっぷりに挨拶をし、トリをしっかりと勤めあげた。

様々な個性がぶつかった『ニューカマー発見伝2018』ファイナル決勝ライブ。各々が全力のパフォーマンスをし、約半年のオーディションは幕をおろした。後日発表された結果は、最優秀アーティストにぜったくん。黒澤楽器店賞に、小原涼香(SEAPOOL)、rui ogawa(kasa.)。そしてSHURE賞にぜったくん。

新しい才能と出会うべく開催される『ニューカマー発見伝2018』。この日の出会いが、まだ見ぬ可能性を広げていくことだろう。今後もぜったくんだけでなく、ここまで勝ち上がってきたアーティストたちの活躍が楽しみだ。

【取材・文:坂井彩花】
【撮影:nishinaga "saicho” isao】




『ニューカマー発見伝2018』特設サイト
http://new.lastrum.co.jp/feature/newcomer

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