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恵比寿リキッドルームが異様な熱気に包まれたENTH「だいぽん爆睡ツアー」セミファイナル!

ENTH | 2018.08.07

 地元も一緒、朋友であり旧友、元レーベルメイト…そして久しぶりの対バン。これらの言葉が並び思い浮かぶのは、「仲良しお友達同士ライブ」的なシーンだろう。会場に赴くまでは私もそうであった。しかし実際、そのようには映らなかった。お互いへの謝意や回想は最低限、ただ双者自らのライブを自分たちらしく演り、また次の地へと向かう。そんなクールでストイックな印象さえ抱いた。とは書いてみたが、そこに味気無さはゼロ。逆に終始、リスペクトし合い、素敵なライバル同士のように映った。そう、この日、言葉やベタベタ感は皆無であった。しかし逆に、それが故のリスペクトや「ヤツらがいたから自分たちも走り続けられる」、そんなお互いへの変らぬ親和や感謝、ライバル視や朋友具合は溢れていた。そして、それら無言の友情は、自身の放つ音楽性、相手曲のカバー、飛び入り等からもしっかりと伺い知ることが出来た。

 6月20日にニューシングル「だいぽん起きろ」をリリースしたENTHが東名阪にてレコ発イベント『だいぽん爆睡TOUR』を行った。各箇所ガチンコの2マンスタイルで行われたこのツアー。セミファイナルのこの日の会場は恵比寿リキッドルーム。対バン相手は前述の朋友BACK LIFTが務めた。

 寝ぼけた時計のコミカルな「だいぽん起きろ」のジャケット同様のバックドロップが背後に提げられた無人のステージに、まずはBACK LIFTが登場する。それこそENTHとは、「まだ以前のメンバーだった頃からの知り合い」な親交深きバンドだ。ENTHに向けて、「戦い続けて一緒にここまでこれた」と言葉を贈った彼らだったが、奇しくもお互い3ピースバンド同士にして、同じくボーカル&ベース形態。しかし、ことライブが始まると、そんな同じ形態ながら双方全く違った音楽性を展開していたのも興味深かった。

 走り出すように、小林’KICHIKU’辰也(Vo&B)、深谷’YU-PON’雄基(G./Cho)、都築’HEAVIN’史生(Dr/Cho)がステージに現れ、駈け出すかのように、小林の時折のトーキングブルースも特徴的な「This is myself」から彼らのライブはスタートした。エモさを混じえ、スカの軽快さも心地よい「Hate」、2ビートで突っ込んだ「Breakthrough」、会場中の拳を上げさせシンガロングを雄々しく響かせた「sign」を一気に放っていく。

「今まだdaipon(ENTHのVo&B)は楽屋で寝てるから(笑)、ヤツを叩き起こすようなライブを作り上げよう!」と小林。生半可じゃなく本気をぶつけ合おうぜと挑んだ「LIFTING ME UP」、小林、深谷のフロント2人の立ち位置を変えながら挑んだ「HUNGRY」では、ドライブ感を交えたロックンロールにてパッピーさを呼び込み。「そろそろdaiponを本気で起こしにかかろう!」と突っ込んだ「だいぽん起きろ」(ENTH曲のカバー)に於いては、ステージと会場の騒乱で目覚めたのか? daiponもステージに飛び出してきた。

 中盤でも「I NEED」や「NEVER SAY DIE」が巨大で楽しげなサークルピットを生めば、「大切な奴は守っていこうぜ!」と入った「SAVE YOU」。後半もブレイブさを会場に満たした「Catch」を始め、「溢れるENTHへの気持ちを一緒に歌ってくれ!!」と駆け抜けた「with you all the time」、そして、「ENTHよ、これからもよろしく」との思いが込められ放たれた「GO OVER」がギュッと凝縮されたENTHへの想いと共に、この日の彼らのライブを締めた。

 一方のENTHも、いい意味でいつも通りのライブを展開した。いや、正確にはストイックで自分たちの限界に挑戦するかのような誠に凝縮感に溢れ、それでいて彼らならではの魅力に満ちたライブとも言うか…。
登場SEに合わせて起こる大合唱の中、ステージに走り出してくるメンバーのdaipon(Vo&B) 、Naoki(G.&Cho) 、takumi(Dr&Cho) 。各位がフォーメーションにつくと、まずは「祝砲の一発を」と三位一体のデモンストレーション音を轟かせる。
「恵比寿~楽しんでいく準備はできていきますか。今日もぶちあげていくんで最後までよろしく!」とdaipon。1曲目は、“それでもやるしかない!!”と「URCHIN PHANTOM」が放たれる。駆け抜けたり、突っ込んだりしたと思えば、間にレゲエを挟んだり…お客さんもしっかりと、その目まぐるしい構成についていく。続く「HAHA」に入ると、ダッシュとスカの軽快さ、メタリックな要素も織り交ざっていく。とは言え、逆にサビで現れるストレートさと解放感はさすが。会場も気持ち良さそうに振り回されていく。

「今日はヤバイ日にしよう。記憶をなくしちゃってもいいから」とdaipon。酩酊記憶ホワイトアウトソングな「HANGOVER」、この季節にぴったり。景色感溢れる「SUMMER」が場内にEnjoy Summerしようと呼び掛けてくる。Naokiのギターもいい感じだ。
「最後まで一緒にいい時間作っていこうぜ。今日はくたばるまでやる」とはdaipon。と言うものの、そこに必死感は皆無。逆に気楽にいこうゼとでも言いたげな表情に映った。
takumiのドラムにdaiponのベースライン、Naokiのギターフィードバックのイントロから入った自己紹介的ナンバー「"TH"」では、あえて言葉ではなく体感で自己紹介し、切なさを広げた「ZAZA」、“目を覚まさせてやるぜ!”と入った本家「だいぽん起きろ」の際には、ファストなサウンドの中、スカの軽快さを交えた「Hey! Ho! Let’s go!」調の部分に入ると、BACK LIFTの深谷が今度は先ほどの返礼とばかりに飛び入り。しかも、布団まで持ち込みステージで寝るという即興の演出も現れた。これにはフロアからも♪ゆーぽん(深谷) 起きろコール♪が。そのコールの甲斐あって無事深谷は目を覚まし、元曲通り♪daipon 起きろ♪コールに代わっていく。

 中盤。駆け抜けるかのように贈られ、対する会場からも雄々しい拳を掲げさせた「Crime in my mind」では、フロアも感化されてモッシュピットやスピーディなサークルモッシュが展開され、集まったみなに感謝の意を告げながらも、「みなさんにこんな無茶苦茶な曲を贈ります」と入った、「Bong! Cafe’ au lait! Acoustic guitar!」の際には、ファストながらドゥームさも交えて披露。また、スカダンスの楽しそうな笑顔の花を咲かせた「Gentleman Kill」、ゆったりとたゆたうような大きな波を作り出していった、ミディアムでダイナミズム溢れる「SWAY」、「君のためにこの歌を歌うよ」と場内に捧げられた「TEARS」がバラエティ豊かにライブを彩っていく。

 そして、この日のラストスパートに向かう前のdaiponのMCからは、込められた想いがヒシヒシと伝わってきた。「歌とか気持ちとか届いてますか?」と、会場とのアライアンスを今一度しっかりと確認し、今回、BACK LIFTをこの恵比寿リキッドルームに呼んだ理由を「3年前に同地で行った、TRUST RECORDS(双バンドの出自レーベル)のイベントの光景を、この2バンドだけで更新したかった」的な真意として告げ、加え、「俺たちは戦ってるヤツや諦めないヤツを応援していきたい。当たり前なことに沢山気づかせてくれるのがライブハウス。俺たちに出会ってくれてありがとう!」と続け、自身の覚悟や決意をみなぎらせた「ムーンレイカー」を場内にお見舞いしていく。
「かっこ悪くてもいいから生き抜いて下さい」(daipon)と最後に告げ、駆け抜けた「Get Started Together」、最後は大団円ソング「NO FATE」が誇らしげに轟き、この日の最高速を残し彼らはステージを去った。

 お互い、自身の音楽を精一杯演る。自身のアイデンティティを会場やお客さんの中に残す。相手のファンの目や心に焼きつけてやるとの気概。それらを真摯に行うことが相手への最大のリスペクトだと言わんばかりのライブを見せつけてくれた双バンド。
ライバルとは、相手を受け止め、それ以上の力でリスペクトを込めてどう自分なりに返していくかだ…なんてそんなことに改めて気づかされた一夜であった。

 この2バンドは切磋琢磨を繰り返し、仲は良いが、そこに妙なベタベタ感を擁さずに、その輪をこれからもどんどん大きくしていく。そして、その輪の中には、いつの日にかきっと、楽しそうに彼らの音楽と接している、あなたもいるに違いない。

【取材・文:池田スカオ和宏】
【撮影:タマイシンゴ】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル ENTH

リリース情報

だいぽん起きろ

だいぽん起きろ

2018年06月20日

TRUST RECORDS

1. URCHIN PHANTOM
2. だいぽん起きろ
3. ZAZA
4. SWAY

セットリスト

「3rd Single"だいぽん起きろ"Release Party[だいぽん爆睡ツアー]」
2018.7.24@恵比寿LIQUIDROOM

ENTH
  1. 1.URCHIN PHANTOM
  2. 2.HAHA
  3. 3.HANGOVER
  4. 4.SUMMER
  5. 5."TH"
  6. 6.ZAZA
  7. 7.だいぽん起きろ
  8. 8.Crime in my mind
  9. 9.BURNOUT
  10. 10.Bong! Cafe’ au lait! Acoustic guitar!
  11. 11.Gentleman Kill
  12. 12.SWAY
  13. 13.TEARS
  14. 14.ムーンレイカー
  15. 15.Get Started Together
  16. 16.NO FATE

BACK LIFT
  1. 1.This is myself
  2. 2.Hate
  3. 3.Breakthrough
  4. 4.sign
  5. 5.LIFTING ME UP
  6. 6.HUNGRY
  7. 7.だいぽん起きろ(カバー)
  8. 8.I NEED
  9. 9.NEVER SAY DIE
  10. 10.SAVE YOU
  11. 11.Search
  12. 12.THE MEMORY MAKES ME SMILE
  13. 13.Catch
  14. 14.with you all the time
  15. 15.GO OVER

お知らせ

■ライブ情報

TRUST TOUR 2018
08/07(火)秋田CLUB SWINDLE
08/14(火)富山SOUL POWER
08/15(水)長野CLUB JUNK BOX
08/28(火)米子AZTiC laughs

SHADOWS "TORCHES TOUR"
08/08(水)新潟RIVERST
08/09(木)仙台MACANA
08/20(月)名古屋CLUB QUATTRO
08/21(火)神戸太陽と虎
08/22(水)岡山CRAZYMAMA 2nd Room
08/30(木)渋谷TSUTAYA O-EAST

rockin’on presents ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018
08/12(日)国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)

サウンドクリエーター特別興行「サンクリ夏休み!2018」
08/16(木)なんばHatch

W studio RED 3rd ANNIVERSARY
08/17(金)松山WStudio RED

MONSTER baSH 2018
08/18(土)国営讃岐まんのう公園 (香川県仲多度郡まんのう町)

TRIANGLE’18
08/26(日)福岡シーサイドももち海浜公園地行浜ビーチ内特設ステージ

BUZZ THE BEARS 「THE GREAT ORDINARY TIMES」RELEASE TOUR “NOT ORDINARY TIMES”
09/01(土)京都MUSE

VOLCOM Entertainment LIVE vol.10
09/08(土)H.L.N.A Skate Park H.L.N.A SKYGARDEN

TOKYO CALLING 2018
09/17(月)新宿・下北沢・渋谷エリア約30会場

りんご音楽祭2018
09/23(日)長野県松本市・アルプス公園

RESORT JAM 2018
09/24(月)国母公園 特設会場

go!go!vanillas「秋のハーベストツアー」〜ハンター編〜
09/28(金)富山 MAIRO
10/08(月)松山 WstudioRED

MAN WITH A MISSION presents Chasing the Horizon Tour 2018
10/01(月)長野CLUB JUNK BOX
10/03(水)静岡 LIVE ROXY SHIZUOKA

DElicious BUns FESTIVAL2018
10/28(日)愛知県碧南市臨海公園特設ステージ

Fear, and Loathing in Las Vegas Tour 2018
10/31(水)札幌 PENNYLANE24

TRUST RECORDS presents TRUST NIGHT
11/18(日)Zepp Nagoya

ENTH presents SUPER HIGH
12/07(金)名古屋Diamond Hall

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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