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全会場ソールドアウト!back number初のドームツアー、東京ドーム公演をレポート

back number | 2018.08.24

 2011年にリリースされたback numberの2ndアルバム『スーパースター』に収録されている「スーパースターになったら」をライブで初めて聴いた時、これはバンドの未来を予言する歌でもあるのではないかと思った記憶がある。もともとは失恋した主人公がスーパースターになって、ふられた相手を迎えにいくのだという切実な願いが歌われているのだが、ライブ会場で演奏されると、back numberがリスナーをさらに大きな会場へと連れていくことを約束する歌のように響いてきたからだ。その歌のとおりに、ライブハウス、ホール、武道館、アリーナと、彼らの演奏する空間は着実に大きくなり、2018年、彼らはドームツアーを敢行するまでに成長した。しかも全会場ソールドアウトなのだから、彼らはもはやスーパースター的な存在と表現してもいいだろう。彼らは自分たちが生み出した歌の数々によって、未来を切り拓いてきた。

 初のドームツアーの3日目、そして東京ドーム2daysの2日目となる8月12日のステージでも、彼らの歌のパワーをまざまざと感じた。イントロが演奏されて、どの曲なのかがわかった瞬間に、客席から盛大な拍手と熱烈な歓声が起こったからだ。しかもシングル曲、ヒット曲など、限られた曲だけではなくて、演奏されたすべての曲に大きな歓声が上がっていた。この歌が生で聴きたかったんだ。そんな観客の思いまでもがしっかり届いてくる。そしてその喜びは会場内が共有されることで、さらに増幅していた。こんなにもいろんな曲が幅広く支持されているバンドはそうはいないのではないだろか。

 ライブが始まった瞬間からハンドクラップ、シンガロングがほとんど途切れることがない。清水 依与吏(Vo&Gt)、小島 和也(Ba&Cho)、栗原 寿(Dr)という3人に、村田 昭(Key)、矢澤 壮太(Gt)、藤田 顕(Gt)という3人のサポート・メンバーを加えた6人編成のステージ。歌という核があって、その上で人間味あふれるバンドサウンドが展開されていく、実に音楽的なライブだ。

「東京ドーム!」と清水がシャウトして、「SISTER」が始まると、ひときわ大きな歓声が起こり、バンドの奏でるリズムに合わせて、大きなハンドクラップが起こった。この歌は日々を懸命に生きている女性へのエールを送る歌だ。清水のエモーショナルな歌声がダイレクトに飛び込んでくる。小島も栗原も気迫あふれるプレイを展開。高揚感と一体感とがドーム内に充満していく。熱いのはメンバーだけではない。曲が終わると、盛大な拍手と喝采の嵐。「会いたかったぜ! よろしく!」という清水の言葉に、“こっちこそ”と言わんばかりの大歓声が起こった。

「青い春」ではステージ上のメンバーだけでなく、観客も一緒にジャンプして盛り上がっていた。ドーム内がまるで大海原のように波打つ景色は壮観だった。

「back numberの初めてのドームツアー、一生に1回こっきりじゃないですか。2会場目の2日目、俺たちの1日を見届けてくれて、本当に感謝してます。1曲1曲大事にやるので、東京ドームという場所でどういうふうに鳴るのか、確認しあえたらと思います。いろんな時期に作った曲をやるので、楽しんでください」

 そんな清水のMCどおり、インディーズ時代の曲から最近のナンバーまでを網羅した選曲になっていて、初期からのファンも新規のファンも楽しめる、間口の広い内容だ。印象的だったのは清水だけでなく、小島や栗原も歌いながら演奏する場面がたくさんあったこと。コーラスの場面以外でも、マイクなしで、大きく口を開けて歌いながら演奏している彼らの姿が左右のモニターの画面でも確認できた。初期の曲であっても、最近の曲と同様に鮮度が高いのも彼らならでは。かなり前に作られた失恋ソングであっても、まるで昨日失恋したばかりのようなせつなさや痛みが伝わってくる。つまり彼らの音楽は時間の流れを超えて届く普遍性を備えているのだ。と同時に、最新のバンドの姿が見えてくるステージでもあった。

「新曲やります」という清水の言葉に続いて、映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』の主題歌になっている「大不正解」が披露された。新曲なのにイントロから盛大なハンドクラップが起こっていく。友情をテーマとして描かれた曲だが、ドームの広大な空間で演奏されることによって、自由に楽しもう、自己開放していこうという観客へのメッセージのようにも響いてきた。闘志あふれる歌と演奏によって、“好きに踊ろうぜ”というフレーズはドーム内で現実のものとなっていた。音源とは違って、混沌としたシュールな展開となっていくエンディングもスリリングだった。この歌には常識や規制を超えていく得体のしれないポテンシャルが備わっているようだ。

 1曲ごとにドーム内の空気がガラッと変わっていく。躍動感あふれるナンバーもたくさん演奏された。高揚感あふれる空間が広がっていく瞬間があるかと思えば、全員がじっくり歌に耳を傾けて、せつない歌の世界に浸る瞬間もある。肉体が揺さぶられる曲、精神や感情が揺さぶられる曲、様々なタイプの曲がある。真夏のドームなのに、まったく違う季節が訪れたと感じる瞬間もあった。映像や照明、セットなどの演出もあくまでも歌の世界観を際立たせるためのものとして存在していた。この日のステージを推進させていたのは、彼らがこれまで生み出してきた曲の数々だった。

 スーパースターと呼びたくなる存在になっても、彼らはハングリー精神や反骨精神を失っていない。よりよい未来を目指して、闘い続けている。彼らの歌の主人公は現実の壁にぶつかったり、大切なものを失ったり、悩んだり、まよったり、後悔したり、ひきずったりしながらも、前に進んでいこうとしている。彼らの歌がこんなにもリスナーから愛されているのは、“これは自分たちの歌だ”と思える身近さ、リアルさ、ひたむきさを備えているからだろう。ツアー・タイトルの“stay with you”は彼らの音楽のあり方を示す言葉でもありそうだ。どんなに会場が大きくなっても、ビッグな存在になっても、彼らの歌は常にリスナーに寄り添っている。“stay with you”という言葉はおそらく現在だけでなく、未来においても有効だろう。

【取材・文:長谷川 誠】
【撮影:半田安政】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル back number

リリース情報

大不正解

大不正解

2018年08月22日

ユニバーサルシグマ

1.大不正解
2.強化書
3.ロンリネス
4.大不正解(instrumental)
5.強化書(instrumental)
6.ロンリネス(instrumental)

お知らせ

■ライブ情報

back number dome tour2018
"stay with you"

10/27(土)京セラドーム大阪
10/28(日)京セラドーム大阪

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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