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Hump Back、大盛況「拝啓、少年よ」リリースツアーセミファイナル!

Hump Back | 2018.09.14

 大阪の3ピースガールズ・ロックバンド、Hump Backの1stシングル『拝啓、少年よ』リリースツアーのセミファイナル公演が、8月31日に渋谷TSUTAYA O-EASTにて行われた。「ワンマンや! って上がって、闘う相手(対バン)がいないから何と闘えばええんやろ? っていう迷走期があって、またワンマン最高! ってなるっていう感じで、ツアー中に感情が2、3周した」と今回のワンマンツアーを振り返った彼女たち。この日は最大キャパでのワンマンであり、かつ見事ソールドアウトで迎えられたのだが、会場が変わり動員が増えようと、彼女たちの“歌う意味”はこれからも決して揺らぐことはないのだろうという確信を抱かせた、心強くて素晴らしいライブだった。

 開演を前にして既に熱気が立ち込めた会場に、ぴか(Ba/Cho)、美咲(Dr/Cho)、林 萌々子(Vo/G)の3人が現れると、満員のオーディエンスが大きな拍手で3人を迎えた。ステージ上でのセッティングを終えた3人が正面を向きいよいよ演奏するかと思いきや、会場を広く見渡した林は「こんばんは! うわぁ…嬉しさが一気に出てきた…」と、今、この光景を前にした瞬間に浮かんだ言葉を噛みしめるように口にした。感動を隠すことなく言葉にするその姿からは、時折々で生まれた感情に対して誠実であるバンドの性格が伝わってくるようだった。そして「お互い、いい夜にしましょう」との約束を経てプレイされた「ゆれる」、「夢でさえ会えない君に」と歌われた「月まで」と、冒頭からぐっと聴き込ませる楽曲を続け、「でっかいライブハウスに、でっかい声で歌いに来たぜ! ロックバンドをやりに来ました!」と堂々と宣言し「高速道路にて」を快活にプレイ! 「あたしらはこれまでもずっと、いつだってライブハウスを選び続けてきました。ライブハウスを選んだ者同士、楽しんでいきましょう!」との言葉と共に「ボーイズ・ドント・クライ」を投げかけた彼女たちは、その言葉を自ら体現するかのように心から楽しんでいる様子だった。その後MCを経て「変わりたくないっていうのは、変われない自分に対する言い訳」との弾き語りから始まった「うたいたいこと」では、会場全員が物音ひとつ立てずにぐっと息を止めるようにじっくりと聴き入っていた。メンバーチェンジを何度も経験し、例えメンバーが林ひとりになろうとも《だって/歌いたいし笑ってたいし/まだ》という想いひとつでHump Backを守り続けた結果、ぴかと美咲が加入した現在がある――というバンドの背景を思うと、その言葉ひとつ音ひとつが尚のこと沁み入ってくるようだった。

 そして今年は、彼女たちが敬愛するチャットモンチー主催の「チャットモンチーのこなそんフェス2018」を筆頭に、各地の夏フェスに多く出演したHump Back。筆者は彼女たちが原点かつ主現場としているライブハウスではなく燦々とした日差しの降り注ぐ太陽の下で繰り広げられるアクトを観たが、そこで「手拍子はしなくていいです。ロックバンドには拳ひとつあれば充分」と鳴り響くクラップを制した林の姿が印象的だった。そのことを振り返った林は「自分がカッコいいと思ったら続ければいい。やめてと言われてやめるくらいなら、最初からやらなくていい! そういうのはここではいらない!」と声を上げて伝えた。自分が思う自分よりも誰かに見られている自分に意識を向けてしまうことは、常に人との関わりを強いられる社会の中では仕方のないことなのかもしれない。けれど、年齢も性別も関係なく自分が自分で居られる場所がライブハウスであること、そしてその想いを奮い立たすことができるのがロックバンドであることを彼女たちは知っている。「学校でも、職場の上司でも教えてくれなかったことは、全部ロックバンドが教えてくれたんや!」とその環境を誇りとしてきた彼女たちだからこそ伝えられる想いが確かにあるし、覇気が高まったフロアに「拝啓、少年よ」や「流行り廃りや時代でも伝説でもなく、うちらは青春になりたい!」と叫んだ「短編小説」、そして「ヒーロー」を堂々と掻き鳴らした彼女たちは間違いなくあの場にいた全員のかけがえのないヒーローそのものだった。

 そして、この日が8月31日ということで、夏休みの宿題を終えらずに苦戦した学生時代の想い出を踏まえて話をし始めた林は、「大人になった今、懐かしいなっていう気持ちの中に、ほんまにちょっとだけ「羨ましいな」なんていう気持ちが自分の中にあったんですよね。自分はあの頃なりたかった自分になれているのやろか?と考えるようになりました――大人にならなかった僕たちへ」と「ナイトシアター」を届けた。この後歌われた「いつか」の中には《どうやら明日は雨らしい》というフレーズがあるのだが、この詞を初めて読んだ時に「あぁ、晴れではないんだな」と思ったことを覚えている。好み望まれる晴れの日のことばかりではなく、雨が降るというその予感も全部ひっくるめていつか笑い飛ばせるようにと前向きに進んできた彼女たちだからこそ、この日のように自分たちの音楽だけを求める多くの人の前で思う存分に演奏できているのだろうし、あの頃に思い描いていた「いつか」のひとつを叶えられたのだろう。そして「まだまだ夢があるなと思いました! でっかいところに立ちたいとか色んな人に気付いてほしいとか色々あるんですけど、一番の夢は、好きな音楽を好きなように、できるだけ長くできるだけ遠く、この3人でやり続けることなので!」との林の言葉は控えめだとか謙遜だとかでは決してなく、それが今の彼女たちにとって自信を持って言える最大の幸せであり、絶対的な指針なのだろう。そんな明るい現状を歌い表すようにラストに「夢の途中」を届け、会場を希望いっぱいに満たして彼女たちは本編の幕を閉じた。

 熱望されたアンコールでは「ライブハウスの歌を!」とパンキッシュチューン「MY LIFE」をプレイ! 演奏後に3人がステージを後にしてもダブルアンコールが止むことはなかったが、その声援に迎えられて再び登場した林は「もうやる曲がないんで、一本締めで終わりたいと思います!」と提案し、ぴかの「よぉー!」の合図をきっかけに会場全員で景気の良い締め括りをした。この日林は、オーディエンスに向かって何度も「私たちに気付いてくれてありがとう」と伝えていた。部屋で林がひとりで作った曲がバンドの曲になり、今は大きな会場を埋めるほど多くの人たちの希望になったことは決して偶然ではない。流行を追うのではなく、ただひたすら「自分がかっこいいと思うこと」に正直でいたからこそ生まれた出会いなのだろうし、そんな彼女たちに共鳴し励まされる人はもっとたくさんいるはずだ。そう思わずにはいられない、明るい未来を夢見たくなる夜だった。

【取材・文:峯岸利恵】
【撮影:知衿】

tag一覧 J-POP ライブ 女性ボーカル Hump Back

リリース情報

拝啓、少年よ

拝啓、少年よ

2018年06月20日

VAP

M1. 拝啓、少年よ
M2. ナイトシアター
M3. 今日が終わってく
M4. VANS

お知らせ

■ライブ情報

Talking Rock! FES pre. 「Talking Rock! FES.2018」
09/15(土)エディオンアリーナ大阪

"拝啓、少年よ" リリースツアー
09/17(月)桜坂セントラル

FM FUKUI BEAT PHOENIX 2018
09/22(土)福井フェニックスプラザ

突然少年企画 「スタンディングスティックス」
09/23(日)吉祥寺WARP

花男企画"LIVE HOUSE LOVE"
09/25(火)神戸太陽と虎
09/27(木)心斎橋BRONZE

ガガガS主催フェス "長田大行進曲 2018"
09/29(土)神戸空港島 多目的広場内 特設野外ステージ

THE NINTH APOLLO pre. 「毎晩前夜、毎日当日」
10/07(日)日比谷野外音楽堂

SPARK!!SOUND!!SHOW!! pre. ”火花音樂匯演 RELEASE TOUR”
10/10 [Wed] 神戸太陽と虎
10/11(木)京都MUSE

コールスローpre. "KAZOO HALL BOM-BA-YE 2018"
10/13(土)甲府KAZOO HALL

武蔵野キャンパス 摩耶祭
10/14(日)武蔵野大学 学校内6号館雪頂講堂

JMS pre. "BODY and SOUL TOUR"
10/17(水)神戸太陽と虎

MIKROCK’18
10/20(土)堺市大浜公園

"DElicious BUns FESTIVAL2018"
10/28(日)碧南市臨海公園特設ステージ

THE CHERRY COKE$ pre. "THE ANSWER" Tour
11/03(土)滋賀B-flat
11/04(日)太陽と虎

忘れらんねえよ主催 "ツレ伝2018" 『思い出のライブハウスからまた始めようぜ!初心にかえる36歳シリーズ』
11/06(火)名古屋CLUB UPSET

愛はズボーンpre.「アメ村天国2018」
11/10(土)アメリカ村周辺のライブハウス

climbgrow "CROSS COUNTER"&ニアフレンズ"俺らがやらなきゃ誰がやるツアー"
11/12(月)福岡Queblick

BAN’S ENCOUNTER pre. “ことばにならない“
11/13(火)長崎Studio DO!

STEP UP RECORDS pre. "hope tour 2018"~イチレンタクショウ~
11/16(金)石巻BLUE RESISTANCE
11/17(土)大船渡KESEN ROCK FREAKS
11/18(日)宮古KLUB COUNTER ACTION MIYAKO

梅花女子大学「小梅祭」
11/22(木)梅花女子大学 澤山記念ホール

街人 「小さなハコから唄おうツアー」ファイナル
12/22(土)滋賀B-FLAT

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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