前へ

次へ

300組以上が出演した日本最大級のライブサーキットイベント『TOKYO CALLING』レポート第三弾!

TOKYO CALLING | 2018.10.16

 下北沢・新宿・渋谷の3エリアを渡り歩いて開催される「TOKYO CALLING」も3回目を迎え、東京のライブハウスシーンを象徴するサーキットイベントとしてすっかり定着してきた感がある。今年も若手からベテランまでトータルで300を超えるアーティストが出演し、たくさんの観客がそれぞれの心のおもむくままにライブを楽しみ尽くした。ここではその最終日・渋谷エリアの模様をお届けする。

 まずはO-EASTのトップバッター、魔法少女になり隊。おなじみの登場SEに合わせフロアじゅうから手拍子が巻き起こるなか、まずはgari(VJ/Vo)がステージインし、続いてウイ・ビトン(G)、明治(G)も登場。gariの「アゲアゲでいこうぜ!」とオーディエンスを煽るなか、Voの火寺バジルが現れて「冒険の書1」からライブはスタートだ。
バジルとgariがステージのいちばん前まで出て拳を突き上げ、のっけから超ハイテンションなましょ隊のペースに会場を巻き込んでいく。続けてこちらもライブにおけるキラーチューン「おジャ魔女カーニバル!」のカバーだ。間奏ではフロアじゅうでヘドバンの嵐。クラウドサーファーも出現し、早くもライブは最高潮に達する。その後も畳み掛けるようにバンドの引き出しの多さを見せつけるましょ隊。Gariが「みんなで楽しくできるかな? エブリバディ、カモン!」と叫んで、続く「完全無敵のぶっとバスターX」へ。トランシーなイントロから強烈なヘヴィロックへと展開するこの曲を見届け、次のライブに向かう。

 渋谷クラブクアトロの1番手として登場したのはmol-74。武市和希(Vo/G/Key)はじめメンバー4人全員が黒い衣装に身を包み、早くも独特の雰囲気を放っている。1曲目に選ばれたのは現4人体制初のリリースとなったミニアルバム『▷ (Saisei)』からの楽曲「◁◁ (瞼)」だ。静かに、しかしエモーショナルに武市のハイトーンボイスがフロアを侵食していく。「light」のサビではフロアから幾本もの手が挙がりバンドをサポートし、夏の終わりにふさわしい情景をまとったこの曲を盛りたてる。武市が「僕らの中でいちばん楽しい曲」と形容するアッパーな「%」では、激しいドラムにオーディエンスも完璧なハンドクラップで応えてみせた。
ラストは「▷ (Saisei)」だ。暗闇を光が駆逐していくような力強さで新たなスタートを歌ったこの曲の余韻とともに、圧倒的な世界観で魅せるmol-74のライブは終わりを告げた。

 地下のライブハウスTAKE OFF 7に7番手として登場したのはボイガルことTHE BOYS&GIRLS。サウンドチェックのまま「いつでもいけます」とライブ本番へ。幕開けを告げるのは「階段に座って」だ。いきなり客席へと身を乗り出すようにして声のかぎり歌うワタナベシンゴ(歌)。「札幌のボイガルとは俺たちのことさ!」と名乗りを上げ、立て続けに最新シングルから「勇気をください」へ。2曲目にして早くもフロアに飛び込んでいくシンゴ(歌)を受け止めるフロアの熱気も天井知らずに増していく。
続く「一炊の夢」では、いつものようにオーディエンスひとりひとりと目を合わせながら歌い「こっちに来いよ」というジェスチャーを魅せるシンゴ。コーラスをフロアに委ねれば、この小さなライブハウスがぎゅっとひとつにまとまってロックンロールの塊のようになっていく。そして「俺たちは俺たちのやり方でいつものようでいつもじゃないライブをやりに来ました」とシンゴが宣言し「国道恍惚線」へ。パンクロックという名の青春を燃やし続けるボイガルの真骨頂ともいえるライブは、どこまでもまっすぐで熱いものだった。

 ここで後ろ髪を引かれながらもTAKE OFF 7を後にし、お隣のビルにあるクアトロへ。こちらもボイガルとは違った意味で青くて熱い、ゆるめるモ!のライブだ。けちょん、しふぉん、ようなぴ、あのの4人が登場するといきなりの大歓声。1曲目「Youとピアザ」から「ま わ せ !」という合図とともにタオルがぶんぶんと振り回され、強烈な一体感が醸成されていく。「ダリア」ではアッパーなロックサウンドに4人の歌声が重なり「強くなれ」というメッセージがエネルギッシュに広がる様子は圧巻だ。
MCを挟んで続いてはPOLYSICS・ハヤシヒロユキが提供した「デテコイ!」。体操をモチーフにしたダンスがキュートなこの曲では、4人の振り付けに合わせてお客さんも左右にステップ。合いの手もパーフェクトだ。トランスから民謡までを縦横無尽に食い散らかす「サマーボカン」を経て「Only You」、そして最後は「ミュージック 3、4分で終わっちまうよね」。マニアックな音楽性と4人のユルいキャラ、そしてお客さんを巻き込むパワー。ゆるめるモ!の底力の片鱗が、わずか30分のライブに詰まっていた。

 ゆるめるモ!のあと、慌ててWWW Xへと走る。ReVision of Senceを観るためだ。ドアを開けるといきなりVo河井教馬がお客さんに肩車をさせてフロア後方まで迫ってきていた。「ヨノナカカネ」のあの振り付けはもちろんお客さんも完璧である。
「僕たちはおそらく、『TOKYO CALLING』でいちばん行儀の悪いバンドです。性格の悪いバンドです。渋谷の駅で叫べないことを発散したいでしょ?」というかずまの言葉から「ヨノナカカオ」へ。かずまはステージのお立ち台の上で踊り狂う。歌詞の内容も、パフォーマンスも、そして演奏と歌のうまさも。ある意味で三拍子揃ったバンド、ReVision of Senceの個性がドカンドカンと過剰に爆発している。こうしたサーキットイベントではやっぱり強い。「俺たちには俺たちの戦い方があるって気づいたんすよ。何が言いたいかわかりますね? クズでもやりゃできるってことですよ」。いきなり真面目なMCに続いて「I’m a クズ人間」へ。ヘドバンにハンドクラップ、そこにいる全員を巻き込んで、唯一無二のリビジョンワールドが展開する。最後はSNSの「いいね」依存を痛烈に攻撃する「いいねパラサイト」。ハートをかたどったハンドサインがフロアいっぱいに広がった。

 いよいよ「TOKYO CALLING」もフィナーレが近づいてきた。WWW Xのトリはa crowd of rebellionだ。激しめのバンドが多かったこのステージにあって、最後を任された彼らの気合は充分。「Ill」から始まったライブはスタートからいきなり怒涛の勢いで展開していく。「おい、お前ら! ラストだし、様子見てたらぶっ殺すぞ!」と怖いことを口走る宮田。その言葉に応えるようにフロアからは怒号のような歓声だ。2曲演奏し終えたあとのインターバルでは「楽しんでますか? ごめんな、さっき『ぶっ殺す』って言って」とセルフフォローしていた宮田だが、かと思いきや「言うことはねえから。今ここにいるってことはお前ら、このライブハウスぶっ壊す覚悟できてるってことだろ?」とフロアを挑発。そこからゴリゴリのメタリックチューン「Raccoon Dead」に突入するのだから、当然オーディエンスのテンションも大爆発である。
「Anemia」では近藤岳の躍動するドラムと高井佑典の太いベースラインが強烈に感情を煽り、ひときわポップなメロディをもったサビへ。カオティックな構成なのに美しく見えるのは、そこに曲を貫く物語がしっかりとあるからだ。まだ時間的には半分程度、最後まで観たい……と思いながらも、どうしても観たいバンドはまだいる。ということでここでクアトロへ移動だ。

 クアトロで最後にステージに立つのはLAMP IN TERREN。松本大(Vo/G)のポリープ除去手術のため今年4月から一時活動休止。8月にライブを再開したばかりの彼らを、どうしても観ておきたかった。クアトロのフロアに足を踏み入れると、ステージ上にはデニムジャケットを着てハンドマイクで歌う松本の姿。曲は「Water Lily」だ。自分の声を確かめるような様子を見せながらも歌い切ってみせる。
この「TOKYO CALLING」が復活後初のイベントライブとなるLAMP IN TERREN。「やっと復活したので、今、バンドやってて楽しくて仕方ないんです。今日出ているバンドの中で俺たちが今いちばんバンドの楽しさを知ってます」という松本の言葉は彼が今手にしている実感そのものだろう。その証拠に、この日の彼、そしてバンドは前に観たときの彼らとは明らかに違っていた。ステージ狭しと動き回ったり、飛び跳ねたり。自分の中の衝動を抑えきれないとでもいうように躍動する松本。それを支えるメンバーも嬉しそうだ。
終盤、バンドそのものを歌ったような「キャラバン」からラスト「地球儀」へ。ここでなんと松本がジャケットを脱ぎフロアに降りた。オーディエンスをかき分けながらフロア中央まで進んで歌う彼の姿を、メンバーも笑って見ている。必死さとギリギリ感は相変わらずだが、今のLAMP IN TERRENには少なくともバンドとして生きることを楽しむ余裕が生まれている。そんなことを感じて嬉しくなる光景だった。アンコールでは「さらっと1曲やります。今の自分の思いを全部閉じ込めて歌います」と彼らの重要なマイルストーン「緑線光」を披露。スケールの大きな風景を描き出して、圧巻のライブは幕を閉じた。

 3回目を迎えた「TOKYO CALLING」もこれで終演。回を経るごとに単なるサーキットフェスから街を巻き込んだカルチャーへと進化しつつあるこのイベントに、来年も要注目だ。

【取材・文:小川智宏】



tag一覧 TOKYO CALLING 魔法少女になり隊 mol-74 THE BOYS&GIRLS ReVision of Sence ゆるめるモ! a crowd of rebellion LAMP IN TERREN

関連記事

セットリスト

TOKYO CALLING 2018
2018.09.17@渋谷 全13会場


    魔法少女になり隊
  1. 1.冒険の書1
  2. 2.おジャ魔女カーニバル!!
  3. 3.MEGA DASH
  4. 4.ミッドナイトシンドローム
  5. 5.first star
  6. 6.完全無敵のぶっとバスターX
  7. 7.願い星

    mol-74
  1. 1.◁◁ (瞼)
  2. 2.エイプリル
  3. 3.light
  4. 4.%
  5. 5.▷ (Saisei)

    THE BOYS&GIRLS
  1. 1.階段に座って
  2. 2.勇気をください
  3. 3.一炊の夢
  4. 4.国道恍惚線
  5. 5.札幌
  6. 6.東京
  7. 7.ライク・ア・ローリング・ソング

    ReVision of Sence
  1. ※なし

    ゆるめるモ!
  1. 1.Youとピアザ
  2. 2.ダリア
  3. 3.デテコイ!
  4. 4.サマーボカン
  5. 5.Only You
  6. 6.ミュージック 3、4分で終わっちまうよね

    a crowd of rebellion
  1. 1.Ill
  2. 2.Sign.
  3. 3.Raccoon Dead
  4. 4.Anemia
  5. 5.aquarium
  6. 6.リビルド
  7. 7.She’ll Never Forgive To Be Insulted.
  8. 8.M1917

    LAMP IN TERREN
  1. 1. Water Lily
  2. 2. 亡霊と影
  3. 3. New Clothes
  4. 4. 涙星群の夜
  5. 5. キャラバン
  6. 6. 地球儀
  7. En. 緑閃光

トップに戻る