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滋賀若手4バンドが新宿LOFTで熱演『UNITED SHIGA』レポート

WOMCADOLE | 2018.11.28

 街人、Rocket of the Bulldogs、climbgrow、そしてWOMCADOLE――滋賀県を拠点に全国各地のライブハウスに足を運んでいる4組のロック・バンドが11月21日、東京のライブハウス、新宿LOFTに集結。それぞれに熱演を繰り広げ、新宿LOFTがある世界有数の歓楽街、歌舞伎町の喧騒に負けない熱狂を生み出した。ライブハウス・シーンの最前線で起こっている生々しい盛り上がりを感じたいと思っている人なら、絶対チェックしておきたい4組が顔を揃えたこのライブ・イベントは、彼ら4組が東京、名古屋、そして滋賀の浜大津の3ヶ所を回るスプリット・ツアーの東京編として実現したものだ。 

 ツアーのタイトルは『UNITED SHIGA』。

 おもしろいことに滋賀県連合を意味する、そんなタイトルとは裏腹に誰一人、他の3バンドに歯の浮くような言葉でエールを送るようなことはせずに4組が4組とも異口同音に“他のバンドには負けたくない!”と闘志を剥き出しにしながら、30分4本勝負とでも言いたい熱演を、スタンディングのフロアを埋めたオーディエンスにぶつけたのだった。

 そんな『UNITED SHIGA』の音頭を取ったのは、WOMCADOLE。15年8月に『ワタシノハナシ』と題したミニ・アルバムで全国デビューを飾った頃から頭角を現しはじめた、この4人組に対する注目度はこの1、2年、さらにアップ。現在、彼らは大きな飛躍が期待されている存在だ。

 その彼らが滋賀を盛り上げたいという想いから『UNITED SHIGA』を立ち上げ、声をかけたのが、“仲の良いバンドが集まったわけではない”とRocket of the Bulldogsが言っていたとおり、本気でぶつかりあえる――WOMCADOLEのメンバーの言葉を借りるなら、やんちゃな今回の3組だった。

 それにしても、よくもまぁ、ここまで向こう意気の強いバンドが4組も顔を揃えたと感心させられる。“そんな偶然が奇跡に思える”と、この日、言ったのはRocket of the Bulldogsだったが、滋賀には元々、そういうバンドが多いんだろうか? 不思議に思って、ライブが終わってから、物の本を紐解いてみたら、滋賀の県民性は近江商人の気質を受け継ぎ、真面目、勤勉、正直であることに加え、負けず嫌いで逆境に強いとあった。

“最後まで繋ごうなんて考えてない。一バンドずつぶっ放します!”と宣言し、ギターをパンキッシュにジャキジャキとかき鳴らし、曇天の青春をエモーショナルに歌い上げ、トップバッターを務めた3人組、街人から、この日、出演した4組は滋賀の県民性が負けず嫌いということでまちがっていないことを、その熱演によって裏づけたわけだ。おもしろい。

 その後、ライブはRocket of the Bulldogs、WOMCADOLE、climbgrowと続いていった。“負けへん、戦おうと思ってやっている”と闘志を口にしながら、12月21日のライブを最後に7年に及ぶ活動に終止符を打つことを、冒頭で発表したことを考えると、Rocket of the Bulldogsには、これまでバンドを支えてくれた感謝の気持ちを演奏で伝えるというまた別の想いもあったに違いない。激情を演奏にぶつけるハードコア・サウンドと、生きる上での信念を言葉にした(ラップと言うよりは)ポエトリー・リーディングの組み合わせがユニークだっただけに解散は惜しまれる。そんな彼らにclimbgrowは“うざいバンドが一つ減って寂しい。彼らが決めた未来、全力で応援します”とエールとともにブルージーなガレージ・ロックとは一味違う曲調がバンドの新境地を印象づける「未来は俺らの手の中」を贈った。

 話が前後してしまったが、“俺たち滋賀から4バンドが集まって、こんだけ人が集まるなんて、どう考えても最高じゃないですか”とclimbgrowが快哉を叫ぶ前に、この日一番の盛り上がりを作ったのは、つわものどもの宴の首謀者であるWOMCADOLEだ。

 40年前、敵対するパンクスとスキンズに向かって、ヴォーカルのジミー・パーシーが泣きながら歌ったというシャム69の代表曲中の代表曲「If The Kids Are United」が流れる中、全員が黒いシャツ、およびTシャツで揃えたバンドが登場。ステージにぐわーっと押し寄せるオーディエンスに向かって、“UNITEDの意味わかるか?連合だぞ。ここは国だ。時代を変えましょう!”樋口侑希(Vo/Gt)が煽ってから、バンドが演奏したのは「人間なんです」。

“前に来いよ!全員で気持ちいいことしようぜ!セックスより気持ちいいことしようぜ!”という樋口の言葉を合図に古澤徳之(Gt)、黒野滉大(Ba)、安田吉希(Dr)の演奏が一気に白熱。オーディエンスが拳を上げ、それに応える。会場の空気が一変してピーンと張り詰めた。最高のオープニング。しかし、それじゃまだまだ物足りないと言わんばかりに樋口は演奏中も“おい! おい! おい! 飛び越えていくぞ!”とオーディエンスを煽る、煽る。そして、《人間なんです》のシンガロング。その時点で、フロアが一つになっていることは言うまでもないが、一度、全力で走り出したバンドはもう止まらない。

“もっと来い!ピストルにてめえの魂を詰めて撃ってこいよ”“走れんだろ!?”“離すんじゃねえぞ、俺らの手を!“

 胸の底から湧き出る想いを、樋口がそんなふうに言葉にしながらバンドが爆音の演奏でつなげるのは、歌謡メロが印象的な「絶望を撃て」「オレンジと君とサヨナラと」といったお得意の曲だ。曲間、樋口が喉を潤していたペットボトルの水を頭にかけたのは、ステージが尋常じゃないくらい暑いからだ。フロアの最後列にいても、会場内の温度がぐんぐん上がっているのがわかった。

 焦燥感なのか、飢餓感なのか、何なのか、自分の中で渦巻いている激しい感情に駆り立てられているような渾身の演奏からは、ここで終わってもいいという悲壮な覚悟も感じられるが、毎回、命を燃やしながら演奏に挑んでいるWOMCADOLEのライブに、自らの生の実感を重ね合わせているというオーディンスもきっと少なくないはずだ、このライブを目の当たりにすれば、WOMCADOLEがライブハウス・シーンで頭角を現してきたことも大いに頷ける。

 別れを歌ったフォーキーな「ノスタルジックアパート」を、轟音の演奏で聴かせると、“(滋賀に)とてつもなくどぎつい奴らが生まれたことを誇りに思ってます”と樋口は他の3バンドにエールを送ると、“でも負けたくねえ!”と今一度、闘志を剥き出しに。ラストスパートを掛けるように演奏が激しさを増した「アオキハルへ」では、逸る気持ちを抑えきれずにダイヴするオーディエンスも! そして、“もっと突っ込んでこいよ!”とバンドがラスト・ナンバーに選んだのが、11月28日にリリースするシングルの表題曲「ライター」だった。轟音の演奏という意味では、WOMCADOLEらしいロック・ナンバーだ。しかし、熱量のみならず、広がりも感じさせる演奏からは、新境地が感じられた。

 すでにMVは公開済みだから、オーディエンスの反応も上々だ。フロアから無数の拳が上がり、サビのシンガロングは全員が歌った。バンドの魅力をぎゅっと凝縮した30分の熱演を、バンドのこれからを期待させながら締めくくったWOMCADOLEがトリを務めるclimbgrowの闘争心に火をつけたことは言うまでもない。

 そして、climbgrowは、その若さに不釣合いとも言えるほど強烈な凄みを見せつけたが、『UNITED SHIGA』は11月30日の名古屋公演を経て、12月2日、滋賀・浜大津で大団円を迎える。そして、その3日後、WOMCADOLEはシングルのリリース・ツアー「己の炎を絶やすな」を早くもスタートさせる。

【撮影:ハライタチ】
【取材・文:山口智男】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル WOMCADOLE

リリース情報

ライター

ライター

2018年11月28日

UNCROWN RECORDS

1.ライター
2.追想
3.ノスタルジックアパート

お知らせ

■ライブ情報

UNITED SHIGA
11/30(金) 愛知名古屋APOLLO BASE
12/02(日) 滋賀B-FLAT

己の炎を絶やすなツアー
12/05(水) 兵庫神戸MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
12/14(金) 北海道札幌COLONY
12/21(金) 新潟CLUB RIVERST
12/22(土) 長野松本LIVEHOUSE ALECX
[2019] 01/17(木) 東京渋谷CLUB QUATTRO
01/18(金) 愛知名古屋CLUB QUATTRO
01/31(木) 大阪梅田CLUB QUATTRO

College Summit Special 2018
12/09(日) 石川金沢EIGHT HALL

WOMCADOLE「ライター」リリース記念インストアイベント
12/15(土) TOWER RECORDS札幌ピヴォ店イベントスペース
12/29(土) タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO
瀧昇 二〇一八 四本目 同一店内爆発編

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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