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サカナクション「SAKANAQUARIUM2018“魚図鑑ゼミナール”VISUAL LIVE SESSION EX THEATER ROPPONGI 5th Anniversary」

サカナクション | 2018.12.20

 サカナクション「SAKANAQUARIUM2018“魚図鑑ゼミナール”VISUAL LIVE SESSION EX THEATER ROPPONGI 5th Anniversary」の最終日(12月4日)。全国ホールツアーと同時進行で行われた「EX THEATER ROPPONGI 5周年企画(4days公演/主催イベント「NF#11」を含めると5日間連続公演)でサカナクションは、音響、演出、ステージングを含め、“未体験の衝撃”と呼ぶにふさわしいライブ表現を繰り広げた。

 まずはライブの概要を説明しておきたい。「SAKANAQUARIUM2018“魚図鑑ゼミナール”VISUAL LIVE SESSION」は2018年3月にリリースされたベストアルバム「魚図鑑」と同様、深海・中層・浅瀬の3層で構成されている。特筆すべきは、3人の映像クリエイター(山口保幸、田中祐介、山田智和)が演出を手がけ、サカナクションが追求してきた“ライブ”と“ビジュアル”が交わっていること。楽曲の世界観と深くリンクした映像や照明、より精度を増したライブ・パフォーマンスを同時に体感できるというわけだ。さらに今回のライブには、ドイツのスピーカーシステムブランド・d&b audiotechnikの「Soundscape」を採用。ノーマルなL/Rのスピーカーだけではなく、ステージの上部、フロアの左右などにもスピーカーを設定することで、より精緻な音像が実現されていたのだ。

 ライブは山田智和(サカナクションの「years」「SORATO」のほか、米津玄師、あいみょんなどのMVも担当)の演出による“深海”からスタート。湾岸沿いにある都市から水中へと移動する映像とともに、まずは岩寺基晴(G)、草刈愛美(Ba)、岡崎英美(Key)、江島恵一(Dr)が登場し、穏やかなサイケデリアを感じさせる音を奏でる。さらに山口一郎(V&G)が姿を見せ、「朝の歌」をゆったりと歌い上げる。リアルタイムで投影される山口の表情がまるで水面のように揺れる映像、メンバーの姿が見えないほどのスモークが混じり合い、幻想的な雰囲気が広がっていく。その後も「mellow」「フクロウ」といったフォーキーかつディープな楽曲を披露。美しいサウンドデザインが手に取るように実感できた。

 続く“中層”は、田中裕介(サカナクションの「夜の踊り子」「新宝島」、Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅなどのMVを担当)による演出。東京の風景と女性ダンサーAOI YAMADAの表現がひとつになった映像と「ネイティブダンサー」「ホーリーダンス」といった楽曲が見事にリンクし、前衛的な短編映画を観ながら踊っているような、まったく新しい感覚に包まれる。メンバーが奏でる音のニュアンスをしっかり聴き取ることができ、繊細な変化を加えたアレンジの妙を味わえるのも楽しい。決して大げさではなく、ここまで音質の良いライブは初めてだった。(ぜんぜん関係ないが、“このサウンドシステムがあれば、大瀧詠一さんももっとライブをやったかもな”などと思った)

「新宝島」からスタートした“浅瀬”の演出は、山口保幸(サカナクションの「僕と花」「ユリイカ」のほか、桑田佳祐、星野源などのMVを担当)。ブラウン管のテレビのようなクオリティのキッチュ&ポップな映像を次々とカットアップし、「表参道26時」「ルーキー」「アイデンティティ」の高揚感をさらに増幅していく。「ミュージック」ではおなじみのDJスタイルに変態。キックの音がめちゃくちゃ良く、オーディエンスも激しく踊りまくる。筆者はフロアで観ていたのだが、特に中低域の音質の良さは圧倒的だった。

 アンコールでは、今回のライブの趣旨について、山口一郎が改めて説明。
「いつかロングラン・ライブを開催したいと思っていて。今回5日間借りられるこということで、実験的なことをやりたくて」「映像のチーム・サカナクション、ビジュアルのチーム・サカナクションが合体したら、どんなライブになるのかな?という興味があって。映像クリエイター3人にお願いして、照明の平山和裕さんとともに演出したのが今回のライブでした」
 さらにクラフトワークも使用しているというサウンド・システムについて実演を交えながら解説し、「予定調和も素晴らしいだけど、それを壊して、新しいことに挑戦してみました。正直難しかったけど、これを機に、普通のライブとは違うことにもチャレンジしてみようと思いました」と語ると、会場から大きな拍手が巻き起こった。 最新のテクノロジーを取り入れ、映像、音響のクリエイターのアイデアを取り入れながら、常に新しいライブの在り方を提示し続けているサカナクション。固定のスタイルに留まることなく、斬新なステージ表現を追求する5人の姿勢を改めて示すと同時に、この先のライブのビジョンを示す圧巻のエンターテインメントだったと思う。
 もうひとつ記しておきたいのは、深海・中層・浅瀬の3ブロックで1曲ずつ披露された新曲の素晴らしさ。それぞれ方向性は違うが(叙情的なミディアムバラード、ネオソウル的なダンスナンバー、歌謡曲のエッセンスを感じさせるアッパーチューン)、斬新なアレンジメント、際立ったポップネスを含め、どれも最高の楽曲ばかりだった。山口も少しだけ言及していたが、2019年のアリーナツアー(全箇所・サラウンド公演!)はぜひ、ニューアルバムのツアーになることを切に望みたい。

【撮影:横山マサト】
【取材・文:森朋之】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル サカナクション

リリース情報

[Blu-ray]SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY Arena Session 6.1ch Sound Around

[Blu-ray]SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY Arena Session 6.1ch Sound Around

2018年07月25日

ビクターエンタテインメント

通常版/143分
全20曲収録 / 02:23:00
メジャーデビュー10周年を記念して2017年9月30日に幕張メッセで開催されたサカナクション『SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY Arena Session 6.1ch Sound Around』を映像化! (C)RS

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お知らせ

■ライブ情報

SAKANAQUARIUM2018-2019 魚図鑑ゼミナール
2018/12/22(土)シェルターなんようホール(南陽市文化会館)
2018/12/23(日)盛岡市民文化ホール 大ホール
2019/01/12(土)札幌文化芸術劇場hitaru
2019/01/13(日)札幌文化芸術劇場hitaru
2019/01/19(土)島根県民会館 大ホール
2019/01/20(日)周南市文化会館
2019/01/27(日)レクザムホール(香川県県民ホール)大ホール
2019/01/31(木)福岡サンパレス
2019/02/01(金)福岡サンパレス
2019/02/05(火)神奈川県民ホール 大ホール
2019/02/06(水)神奈川県民ホール 大ホール
2019/02/15(金)佐賀市文化会館
2019/02/16(土)市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)

sakanaction 2019
2019/04/06(土)幕張メッセ国際展示場9-11ホール
2019/04/07(日)幕張メッセ国際展示場9-11ホール
2019/04/14(日)広島サンプラザホール
2019/04/20(土)ゼビオアリーナ仙台
2019/04/21(日)ゼビオアリーナ仙台
2019/05/03(金・祝)北海道立総合体育センター 北海きたえーる
2019/05/21(火)大阪城ホール
2019/05/22(水)大阪城ホール
2019/06/09(日)マリンメッセ福岡
2019/06/14(金)ポートメッセなごや 3号館

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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