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感覚ピエロの快進撃は止まらない! 最高にロックなZepp DiverCityでのファイナル

感覚ピエロ | 2018.12.26

 昨年の6月に初めて東京Zepp DiverCityのステージに立ったとき。今年の3月に47都道府県ツアーの2公演目としてZepp Tokyoのステージに立ったとき。そして、今回の「ありあまるフィクション ONE-MAN TOUR 2018 / AW ~Road to MAKUHARI~」のセミファイナルとして立ったZepp DiverCity。感覚ピエロが東京で開催するZepp公演を何度か見てきたが、今回ほどシンプルに「ロックバンド」の地力で勝負したライブはなかったと思う。
率直に言うと、彼らのライブでお馴染みのお色気ダンサーの演出はなかった。これまで「O・P・P・A・I」や「A BANANA」など、彼らが得意とするエロ系の曲を大きなライブハウスで演奏するときはダンサーを呼び込み、壮大なエンターテイメントショーで魅了してきたが(当然、それも彼らが作りたい景色のひとつだが)、あえて今回はそれを封印。いままで以上に表情力が増したボーカルギター横山直弘の艶やかな歌声、いっそう磨き上げられたメンバーの演奏力によって、様々な景色を作り上げたライブは、初Zeppから1年半という期間でバンドが確実に進化していることを証明するものだった。

 会場が暗転すると、オープニングSEがこれまでと変わっていた。ステージ前面に張られた紗幕に美しい映像が映し出され、その向こう側にメンバーが登場。最新シングルから「ありあまるフェイク」を、秋月がエレキギターを弾きながら横山がひとりで歌い出すというチャレンジングな始まり方でライブは口火を切った。紗幕がバサリと落とされると、一気のバンドサウンドが鳴り響く。横山のファルセットボイスが美しく空気を震わせた「LET IT DIE -Wake Up-」のあと、「今日この日本中で誰が最強か証明してやろうぜ、東京!」が叫ぶと、4つ打ちのリズムに流行りの音楽への皮肉を効かせた「Japanese-Pop-Music」へ突入。滝口大樹(Ba)が激しいアクションを交えながら弾く躍動感あふれるベースライン、秋月琢登(Gt)がライトハンド奏法で繰り出す細やかなギターのフレーズ、西尾健太(Dr)が鍛え上げられた肢体で刻むパワフルなドラム。今年前半に47都道府県をまわる武者修行ツアーを完走した経験を経て、より脂の乗った演奏がフロアの熱狂を加速させていく。

「あなたが“愛の将軍”ですよ! 盛り上がっていけますよね?」。次に披露する「LOVE GENERAL」の歌詞を引用した煽り文句を合図に、ドラムの西尾が作詞を手がけた、底抜けに明るいポップソングで楽しませると、紫の光が妖しくステージを照らした「ワンナイト・ラヴゲーム」から雰囲気が一転。冒頭で書いた、これまでのZepp公演ではセクシーダンサーを投下するようなエロティックな楽曲たちをバンドだけで次々に投下した。お客さんの頭上に様々な色のタオルが回った「A BANANA」のあと、会場がシンガロングで一体になった「CRAZY GIRL」では、秋月と滝口がグルーヴィーなリズムに合わせて、おどけるようにコミカルに体を動かしながら弾いていた。余裕のプレイからは、一見、簡単に演奏しているようにも見えるが、感覚ピエロの楽曲の難易度はかなり高いはずだ。

 MCでは「タッキー先輩(滝口)がオネエかどうかを決めよう」という話の流れで、お客さんによる拍手の多数決で滝口がオネエであることが確定。挑発的にフロアを煽る演奏中とのギャップを感じる、お茶目なMCで和んだところで、「あなたに捧げます」という言葉から、最新シングル『ありあまるフィクション』に収録のエモーショナルなロックナンバー「一瞬も一生もすべて私なんだ」を披露。“あなただけの色”を肯定するような感エロらしいメッセージを伝えると、同じシングルから混沌としたバラード「夜のスピード」をしっとりと届けた。スクリーンに歌詞のタイポグラフィーが映し出されるなか、変拍子のリズムが聴き手を惑わすような「変幻」から、手数の多いアプローチで魅せる「思い出して」というディープな楽曲を続けて披露。ヘヴィなグルーヴにのせて横山のラップが“ないもの”を数える「無い ナイ 7i」は、キャッチーで親しみやすいだけではない感エロの真骨頂だ。

 後半のMCではドラムの西尾がけん玉で「世界一周」という技を披露するという不思議な時間があった。ライブハウスで2,500人が見守るなかの「世界一周」はなかなかシュール。それを5回目のチャレンジでなんとか成功して、後半戦への弾みをつけると、「挑戦していきましょう!立ち向かうのは自分自身!」という横山の叫びから、“Shake your body”を合言葉に突入したダンサブルなロックナンバー「CHALLENGER」でフロアが一斉にジャンプする。バンド初期からの必勝アンセム「A-han!!」に続く、いまやバンドの代表曲になった「拝啓、いつかの君へ」では、メンバーが奏でる爆音を上回る大合唱がフロアに響きわたった。この曲がドラマ『ゆとりですがなにか』の主題歌に抜擢されたのは約2年前になるが、あれからツアーのたびに合唱の声が大きくなるのが、とてもロマンチックだ。

「一緒に掴み取ろうぜ!」。クライマックスにかけて、伝える言葉がどんどん熱を帯びていくなかで、“君”と描く未来へと思いを馳せた「ハルカミライ」を熱唱すると、最後の1曲を前に横山が語りかけた。
「我々2019年、幕張メッセでワンマンライブをやります。感覚ピエロは日本一最強のバンドだと信じてます。ライブハウスで出会ったメンバーと5年間駆け抜けて、幕張メッセを発表しました。正直すごい高い壁だと思っています」。そうなふうに、いまの気持ちを包み隠さずに伝えたあと、「俺たちだけの秘密にしましょう。来年、幕張メッセのステージのうえで、俺は“幕張メッセへようこそ!俺たちが日本一最強のロックバンド感覚ピエロです! って宣言します。この1年間かけて、あなたに見守っていてほしい。俺たちが本当に最強のバンドだったのか、あなたが答え合わせをしてください」と続けた。
ラストソングは、再会の約束を交わす壮大なロックバラード「Just to tell you once again」だった。ステージに光が溢れてゆくなかで、ここまで18曲を歌い上げた横山が少し声を枯らしながら、渾身の想いで届けた”ありがとう“が力強くフロアに響きわたった。

 アンコールでは、「いまの季節にぴったりの曲です。一緒に恋をしていきましょう」と届けた「さよなら人色」のあと、ひと足早いXmasプレゼントとしてTVアニメ『ブラッククローバー』のオープニングテーマに決定した新曲「落書きペイジ」を初披露。これがなくては感エロのライブは終われない「O・P・P・A・I」では、フロアを“チーム秋月”と“チーム滝口”のふたつにわけたコール&レスポンスで、これ以上ないほどの熱狂のクライマックスを迎えると、「あたなに会えたことを誇りに思います!」と熱い想いを伝えて、「疑問疑答」でライブを締めくくった。

 この日、ライブ中にメンバーから「10代の人?」「20代の人?」……とフロアに問いかける場面があった。10代以下はさすがにいなかったが(横山も「教育に悪いもんな(笑)」と納得していた)、上は60代のお客さんまで観にきていた。その客層に、横山は「僕はたかだか26歳でしかないのに光栄です。年齢とか性別とか関係なく。僕らの音楽が届いてることがうれしいです」と喜んでいたが、小さなライブハウスから始まった感覚ピエロの物語に、いま大勢の人たちを巻き込んでいることが奇跡みたいだと思う。
 彼らならば、1年後、2019年11月4日に開催するバンド史上最大規模のチャレンジとなる幕張メッセでのワンマンライブでも、きっと素晴らしい景色を見せてくれるだろう。

【撮影:ヤマダマサヒロ】
【取材・文:秦理絵】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル

リリース情報

ありあまるフィクション

ありあまるフィクション

2018年10月24日

JIJI INC.

[DISC 1 - CD -]
1.ありあまるフェイク
2.一瞬も一生もすべて私なんだ
3.夜のスピード(original ver.)

[DISC 2 - DVD -]
2018年7月28日 at 大阪 なんばHatch
IROIROTOIRO release 47都道府県TOUR FINAL

1.疑問疑答
2.さよなら人色
3.変幻
4.O・P・P・A・I
5.ハルカミライ
6.拝啓、いつかの君へ

セットリスト

ありあまるフィクション ONE-MAN TOUR 2018 / AW ~Road to MAKUHARI~ 2018.12.07@Zepp DiverCity

  1. 1.ありあまるフェイク
  2. 2.LET IT DIE -Wake up-
  3. 3.Japanese-Pop-Music
  4. 4.She say O.K.
  5. 5.LOVE GENERAL
  6. 6.ワンナイト・ラヴゲーム
  7. 7.A BANANA
  8. 8.CRAZY GIRL
  9. 9.一瞬も一生もすべて私なんだ
  10. 10.夜のスピード
  11. 11.変幻
  12. 12.思い出して
  13. 13.無い ナイ 7i
  14. 14.CHALLENGER
  15. 15.A-Han!!
  16. 16.拝啓、いつかの君へ
  17. 17.ハルカミライ
  18. 18.メリーさん
  19. 19.Just to tell you once again
  20. 【ENCORE】
  21. En-1.さよなら人色
  22. En-2.落書きペイジ
  23. En-3.O・P・P・A・I
  24. En-4.疑問疑答

お知らせ

■ライブ情報

感覚ピエロ 5-6th anniversary『LIVE - RATION 2019』~奮い立たせてなんぼでしょ~
[2019]
05/08[大阪]梅田 CLUB QUATTRO <ワンマン>
05/10[東京]渋谷 CLUB QUATTRO <ワンマン>
05/14[神奈川]横浜 BAYSIS
05/15[埼玉]HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
05/17[愛知]名古屋 CLUB QUATTRO <ワンマン>
05/23[北海道]札幌 PENNY LANE24
05/28[茨城]水戸LIGHT HOUSE
05/30[栃木]HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
06/01[宮城]仙台 CLUB JUNK BOX
06/07[京都]MUSE
06/08[奈良]NEVER LAND
06/14[滋賀]U★STONE
06/15[兵庫]music zoo KOBE 太陽と虎
06/16[香川]高松 DIME
06/26[熊本]B.9 V2
06/27[福岡]DRUM Be-1
06/29[岐阜]CLUB ROOTS
06/30[三重]松阪 M’AXA
07/05[岡山]CRAZYMAMA 2nd room
07/07[広島]CLUB QUATTRO
07/13[山梨]甲府 KAZOO HALL
07/14[東京]マイナビBLITZ赤坂
07/15[群馬]高崎 club FLEEZ
07/19[愛知]名古屋 ダイアモンドホール
07/20[大阪]心斎橋 BIGCAT


感覚ピエロ 5-6th anniversary『LIVE - RATION 2019 FINAL』~幕張ヴァージンはあなたのもの~
[2019]
11/04[千葉]幕張メッセ幕張イベントホール


※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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