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THE YELLOW MONKEY、時を進め未来を照らす日本武道館公演

THE YELLOW MONKEY | 2019.01.11

 スタンド席を360度解放した日本武道館を埋め尽くした1万3千人のオーディエンスに囲まれ、2018年12月28日、THE YELLOW MONKEYは結成29年目から30年目へと時を進めた。

『メカラ ウロコ』と題したこの公演は、吉井和哉(Vo)いわく「このラインナップになった1989年12月28日をTHE YELLOW MONKEYのバースデーということにして」不定期に行ってきたシリーズで、新作リリース・ツアーなどと違い、演奏することの少ないレアなナンバーなどを中心に構成されるスペシャルなライブだ。バンドのコアだというレアな曲たちに加え、この夜は最新曲「天道虫」、そしてこれからリリースされる新曲「I don’t know」を早くも披露。過去から未来へ進むTHE YELLOW MONKEYを惜しみなく見せた3時間だった。

 開演前からステージでは20人のストリングス・チームがバッヘルベルの「カノン」を演奏して柔らかな高揚感を生み出している。それがひと段落するとエディット・ピアフの「愛の讃歌」が、続いて年末らしく「歓喜の歌」が映画「時計仕掛けのオレンジ」のサウンドトラック版で流され、ステージにメンバーが登場すると一気にヒートアップした。腰の据わったバンド・サウンドが空気を震わせ、華やかなスパンコール輝くロング・ジャケットを翻し吉井がギターを持ち歌い出したのは「ジュディ」。エマ(G)のフライングVがぶっとい音を響かせ、ヒーセ(B)とアニー(D)がどっしりしたビートを鳴らす。5人目のメンバーとも言える鶴谷崇(Key)とともに4人が奏でる音は、THE YELLOW MONKEYにしか出せない音だ。「サイキックNo.9」「A HENな飴玉」と曲を続けて存分に熱をあげたところで、吉井が言った。

「我々の愛する、神聖なる日本武道館で、また今年もこの日を迎えることができました。FINALなんて、ちょっとヒヤッとする冠がついてますけど、あまり気にしないで。今夜は、心の汚れは今年のうちに、心の大掃除を一緒にしてください」との言葉に続いたのは、1stアルバムからの「Oh! Golden Boys」。未来しかなかった時代を思い出すように力強くも軽やかな演奏に、心に引っかかっていた不安が和らいだ。ステージをぐるりと囲む花道をエマとヒーセは動き回り、吉井も後方のオーディエンスに顔を向けてみせるのは、360度のセッティングならでは。大きなヴィジョンなどは一切なく、余計なものがないからこそ生身の彼らの演奏が持つパワーをフルに感じられる。「STONE BUTTERFLY」「DEAR FEELING」「GIRLIE」と続くステージには、飾りなど必要としないタフなバンドの姿がそこにあった。

 そんな姿を見せつけながら、吉井は少々自虐的なコメントで空気を和ませた。「我々の曲はどの時代も基本的に今っぽい曲がなくてファンのみなさんには非常に心苦しい想いをさせて(笑)。そんな中でもシャッター通りみたいな曲、たくさんあります。シャッター通りって、たまにお店が開いてる時、嬉しくならないですか? 今日はそういう、しまっていたシャッターが開いていたみたいな曲をいっぱい用意しております。それではアーケードの入り口の必ず開いているお店のようなナンバーをやりたいと思います」

 1stからの「This Is For You」はレトロなムードにオーディエンスが横に揺れ、アコギを弾く吉井にエマが近づきいい雰囲気に。すると歌の最後に吉井が「This is for ヒデアキ!」とエマの名を呼び、それに応えるようにエマが吉井の肩に手を置いた。「DONNA」「仮面劇」と曲が進むほどに吉井の歌は気持ちが入り、このバンドならではのドラマチックな舞台を描いていく。客席も明るく照らした前半と違いステージのみに抑えた光が落ちるのも、このコーナーをさらに深いものにしていた。

 息を止めたくなるほどの演奏から一転、次のMCでは4人でフランクな話をしながらエマの合図でキャノン砲で金テープを飛ばしたりして和ませる。そして「シャッター通りの曲が続きます。THE YELLOW MONKEYのコアな部分の楽曲を聞いてもらいたいと思って用意しました」と「遥かな世界」。4人は音が出た一瞬で演奏に集中し空気を引き締めた。ロマンチックなピアノで吉井が歌う「月の歌」、「薬局へ行こうよ」から「 I CAN BE SHIT,MAMA」と起伏に富んだ流れで引き込んだところで、アニーのカウントからエマが新曲「天道虫」のイントロを奏でると、一際大きな歓声が起こった。オーディエンスには最高のサプライズだ。そしてスケール感のある演奏に、これはまさに今のTHE YELLOW MONKEYの曲でありサウンドと改めて感服した。

 『メカラ ウロコ』で本編に新曲が入ったのは初めてと吉井は言ったが、ライブでは初披露となった「天道虫」は少々緊張するものだったのかもしれない。終わるとちょっとステージの空気が和んだようで、「甘い経験がしたいよ~」と叫んで始まった「甘い経験」、これもイントロだけで大歓声に包まれた「SUCK OF LIFE」と体に馴染んだ曲で盛り上げる。歌い終えて吉井が言った。

「今夜ついに『メカラ ウロコ』はファイナルということになります。我々が再集結したんで、これからどんどん先を見て曲が増えていくと思いますんで、1回こういう忘年会的なことをやめてみようかと。このバンド、再集結してから楽しいことばかり続いているけど、冬の季節もありました。今日はそういう冬と向き合う日なのかなと思って、この曲を用意しました。聴いてください。113回、必ずやりました」  そう言って演奏したのは「離れるな」。1998年4月から1年にわたり113公演行った「PUNCH DRUNKARD TOUR」が一つの節目であったことを噛み締めるように歌った吉井は、曲が終わると上を見上げ、静かにステージを降りた。

 アンコールは「レコーディングもしていないけど個人的にすごい好きな曲」と吉井が紹介した「毛皮のコートのブルース」を思い入れたっぷりに歌い、「街の灯」ではオーディエンスとコール&レスポンス、そして「真珠色の革命時代~Pearl Light Of Revolution~」ではストリングス・チームの前に立った吉井が指揮をするシーンも。アニーの「おそそブギウギ」から「アバンギャルドで行こうよ」になだれ込み、吉井が「来年もよろしく!」と叫んで「悲しきASIAN BOY」へ。曲の途中で花吹雪がアリーナに降り注ぎ、一足早く春が来たようだ。

 これでフィナーレと思ったら吉井が「大切な報告を、9枚目のニュー・アルバムをリリースします。19年ぶりと告知されていますけど、我々はアルバム世代なんで、アルバムというものを皆さんの前に出さないと正式な復活とは言えないと、正直思っていました。秋に4人でカリフォルニアに行って、同じ釜の飯を食べながら作って来ました。すごく荒削りな部分もあります。ただ、このバンドでしか鳴らせない音が詰まっていると信じています」

 そして、メンバー紹介を挟んで「最後に新曲を皆さんに聴いてもらいたいと思います。タイアップのドラマのストーリーも考慮しながら、失っていたけれど体に染み付いていたもの、これから先、いろんな過酷なことが待っていると思うけど、そういうことを自分なりに詞にして、この素晴らしいバンド・サウンドに乗せてみました」

 重厚なビートに乗って重いリフから軽やかなソロまでギターが柔軟に響き、抑制の効いた歌がドラマチックな情景を描いていく「I don’t know」。この新曲で幕を閉じた「メカラウロコ・ 29 -FINAL-」は、吉井の「良いお年を! 来年も素晴らしい1年になりますように!」との言葉と、メンバーが降りたステージに現れた「“30” THE YELLOW MONKEY 2019.12.28」の文字が、これからの彼らを示していた。新曲が収録される9作目『9999』を4月17日にリリース、それに合わせ行われる全国アリーナツアー<THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019>が発表されている。平成に続く新たな時代へ、THE YELLOW MONKEY は一足先に向かっている。

【取材・文:今井智子】
【撮影:キセキミチコ】
【撮影:MITCH IKEDA】
【撮影:有賀幹夫】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル THE YELLOW MONKEY

リリース情報

9999

9999

2019年04月17日

ワーナーミュージックジャパン

-ALRIGHT
-砂の塔
-ロザーナ
-Stars
-Horizon
-天道虫
-I don’t know

後日発表

セットリスト

『THE YELLOW MONKEY SUPER メカラ ウロコ・29 -FINAL-』
2018.12.28@日本武道館

  1. 1.ジュディ
  2. 2.サイキックNo.9
  3. 3.A HENな飴玉
  4. 4.Oh! Golden Boys
  5. 5.STONE BUTTERFLY
  6. 6.DEAR FEELING
  7. 7.GIRLIE
  8. 8.This Is For You
  9. 9.DONNA
  10. 10.仮面劇
  11. 11.遙かな世界
  12. 12.月の歌
  13. 13.薬局へ行こうよ
  14. 14.I CAN BE SHIT, MAMA
  15. 15.天道虫
  16. 16.甘い経験
  17. 17.SUCK OF LIFE
  18. 18.離れるな
  19. 【ENCORE】
  20. En-1.毛皮のコートのブルース
  21. En-2.街の灯
  22. En-3.真珠色の革命時代~Pearl Light Of Revolution~
  23. En-4.アバンギャルドで行こうよ
  24. En-5.悲しきASIAN BOY
  25. En-6.I don’t know

お知らせ

■ライブ情報

04/27(土)静岡 エコパアリーナ
04/28(日)静岡 エコパアリーナ
05/11(土)北海道 北海きたえーる
05/12(日)北海道 北海きたえーる
05/25(土)福井 サンドーム福井
06/07(金)大阪 大阪城ホール
06/08(土)大阪 大阪城ホール
06/11(火)神奈川 横浜アリーナ
06/12(水)神奈川 横浜アリーナ
06/29(土)秋田 秋田県立体育館
07/06(土)埼玉 さいたまスーパーアリーナ
07/07(日)埼玉 さいたまスーパーアリーナ
07/13(土)福岡 マリンメッセ福岡
07/14(日)福岡 マリンメッセ福岡
07/20(土)広島 広島グリーンアリーナ
07/21(日)広島 広島グリーンアリーナ
08/03(土)宮城 宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ
08/04(日)宮城 宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ
08/27(火)兵庫 神戸ワールド記念ホール
09/03(火)徳島 アスティとくしま
09/15(日)福島 あづま総合体育館
09/22(日)熊本 グランメッセ熊本

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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