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中田裕二、4年目となった『バシの暮れだよ裕二だよ』で新曲披露!

中田裕二 | 2019.01.11

 2015年から中田裕二が年末の恒例としている東京・日本橋三井ホールでのワンマン。2018年は12月26日を『バシの暮れだよ裕二だよ2018』と題してバンド・セットで、27日は『バシの暮れだよ裕二だよ2018:謡うロマン街道日本橋 ひとり忘年会』として、弾き語りで行った。これに先駆けて12月21日に大阪・味園ユニバースでバンド・セットで公演しているが、ここでは26日の日本橋三井ホールでの様子をお伝えしよう。

 スライ&ザ・ファミリーストーンの「ファミリー・アフェア」が流れるステージに、まずはバンドのメンバーが現れた。中田のライブではお馴染みの、白根賢一 (drums from GREAT3)、平泉光司 (guitar from COUCH, benzo)、隅倉弘至 (bass from 初恋の嵐)、カトウタロウ (backing vocal & other)、 そして中田バンド初参加となるsugarbeans (keyboards)が定位置に着き演奏を始めると、ご機嫌な様子で中田が登場。「ようこそ!」と客席に笑顔を見せ「中田裕二の年忘れ大作戦、始めましょう!  TOKYO!」と呼びかけ「THE OPERATION」からスタート。曲のテンポでステージを軽やかに歩きながら、”機は熟した この日を待っていたよ!”と呼びかけるように歌うと、歓声が起こった。この曲の終わりを待つまでもなく、ステージとフロアは一つになっていた。

「こんばんは、ようこそお江戸日本橋へ。今年もいろいろあったと思います。全部水に流しましょう。最後まで楽しんでください」と挨拶してアコギを手に取り「ベール」へ。スパニッシュ風ギターとドロップビードがエキゾチックな香りを立て、同じく自身が弾くギターが光る「DANCE IN FLAMES」へと誘っていく。ダンサブルな曲に合わせて腕が左右に振られた。


 イントロに乗って中田が「TOKYO!」と再度呼びかけた「femme fatale」では、歌詞の”その女”というところで客席を指し示し歓声を呼び、平泉のギターに重ねてフェイクで歌ったラストは中田ならではの濃厚な空気が会場を満たしていった。

 一気に自分の歌に引き込んだところで中田はスツールに座り、話し始めた。

「この日本橋三井ホール、年忘れにして4回目、(トータルで)なんと今日で14回目。もう、ホームですよ。ソロを始めてからずっとお世話になって毎年やらせてもらって。僕は日本橋大好きだし、皆さんも僕のライブに来てくれるとともに日本橋という街を楽しみにしてくれているのかなと思いますけど。僕らも渋谷で遊ぶ歳でもないですから(笑)。時代は平成も終わりに近づきつつあるというのにいまだに昭和を大事にしていきたい。では、ここからは中田裕二の冬の街角セレクション」

 ジャジーな演奏で始まったのは「sunday monday」。ファースト・アルバムの曲が落ち着いたアレンジでゆったりと響く。中田の歌も伸びやかで暖かい。次いでsugarbeansの弾くアコーディオンがレトロなムードを醸し出す「セレナーデ」は夜空のように背景に小さなライトがきらめき、気怠いヴォーカルに合わせて客席が左右に揺れた。歯切れ良いギターが空気を引き締めた「愛の摂理」はグルーヴのある歌に引き込まれ、何かに酔いしれたように更に体が揺れる。仄暗い照明の中に沈み込みそうになったところで、「IT’S SO EASY」のブルージーなピアノが響き、ちょっとポップな空気が流れた。少し骨太なビートの気さくなサウンドに、中田の歌が持つまろやかさが引き立ち、包み込まれる気分。すると「さあ、僕と一緒に話をしないか!」と呼びかけられた。

 「イエーイエーイエー!」と中田が声をかけると、ひとしきり座席で歌を味わっていた観客が瞬時に立ち上がり、待ってましたとばかりに歌に合わせて腕を左右に振った。バンドの演奏も躍動感を増し、進むほどに様々な展開となるこの曲を一段とカラフルに彩っていく。ミュージカルの一節になりそうな軽やかでドラマチックなこの曲は、バンドと息を合わせて中田も楽しげに歌っている。その呼吸を白根がドラム・スティックを鳴らして加速して「リビルド」へ。”愛の荒野 更地にして”と歌いながら中田が腕を差し出すと、フロアからの腕がたなびいた。ダイナミックな演奏でアウトロまで盛り上がり、曲のエンディングで中田は後ろを向き腕を上げてポーズを取った。

 一瞬、客席に「?」マークが浮き上がったかに見えたのだが、その空気を察したのか中田が言った。「ちょっと(エンディングが)ハードロックっぽかったでしょ? 最近、『ボヘミアン・ラプソディ』観たばっかりなんで、取り入れてしまいました(笑)」なるほど、フレディ・マーキュリーのポーズだったかと納得していると、大阪公演の打ち上げ話などして和ませた後で、「僕からのプレゼント、今年お疲れ様でしたという気持ちを込めて」と告げて、目下レコーディング中だという新曲を披露。

 ミドルテンポのジャジーな曲は、中田の得意とするところ。聴いた途端に引き込まれずにいられない。全身を耳にして新曲に聴き入った後は、中田も緊張が解けたのだろう、イントロもなしに歌い出す「正体」に椿屋四重奏時代の「シンデレラ」、さらにお馴染み「誘惑」で心を開かせ、「素敵な夜のフライトに」と「MIDNIGHT FLYER」で心を飛び立たせた。

 アンコールでは、UA「情熱」のカヴァーに続き、もう1曲新曲を披露。これも中田らしいメロディアスな歌とブルージーなサウンドが絶妙なナンバーでリリースが待ちきれない。フィナーレは「本日の日本橋発最終列車が到着いたしました。素晴らしい来年に向かって、出発進行!」と駅員風にアナウンスして「サブウェイを乗り継いで」。歌いながら、大手町、渋谷、下北沢、錦糸町、銀座、新宿、赤羽と街の名をあげ、「ただいま日本橋にいます」と結んだ。歌い終わると、「いろいろお付き合いくださいましてありがとうございました、楽しい年忘れになりました」と、メンバーと並んで深く頭を下げ、フランク・シナトラの歌が流れる中、1列になって踊りながらステージを降りていった。ここで披露した新曲も含め、次のアルバムの制作はすでに進行中とのこと。2019年も中田裕二から目が離せない。

【取材・文:今井智子】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 中田裕二

リリース情報

NOBODY KNOWS

NOBODY KNOWS

2018年03月21日

テイチクエンタテインメント

01.Nobody Knows
02.正体
03.ロータス
04.BLACK SUGAR
05.傘はいらない
06.静かな朝
07.マレダロ
08.CITY SLIDE
09.むせかえる夜
10.オールウェイズ

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セットリスト

中田裕二 「バシの暮れだよ裕二だよ2018」
2018.12.26@東京・日本橋三井ホール

  1. 1. THE OPERATION (6th AL『thickness』)
  2. 2. ベール (1st AL『ecole de romantisme』)
  3. 3. DANCE IN FLAMES (2nd AL『MY LITTLE IMPERIAL』)
  4. 4. femme fatale (6th AL『thickness』)
  5. 5. sunday monday (1st AL『ecole de romantisme』)
  6. 6. セレナーデ (2nd AL『MY LITTLE IMPERIAL』)
  7. 7. 愛の摂理 (4th AL『BACK TO MELLOW』)
  8. 8. IT’S SO EASY (6th AL『thickness』)
  9. 9. 話をしないか (2nd AL『MY LITTLE IMPERIAL』)
  10. 10. リビルド (6th AL『thickness』)
  11. 11. *新曲*
  12. 12. 正体 (7th AL『NOBODY KNOWS』)
  13. 13. シンデレラ (椿屋四重奏AL『CARNIVAL』)
  14. 14. 誘惑 (4th AL『BACK TO MELLOW』)
  15. 15. MIDNIGHT FLYER (3rd AL『アンビヴァレンスの功罪』)
  16. 【ENCORE】
  17. EN-1. 情熱 (Cover AL『SONG COMPOSITE』)
  18. EN-2. *新曲*
  19. EN-3. サブウェイを乗り継いで (4th AL『BACK TO MELLOW』)

お知らせ

■ライブ情報

duo15th Anniversary Live
「大石昌良 と 中田裕二」

03/14(木)Shibuya duo MUSIC EXCHANGE

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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