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KOTORI、ツアーファイナルにして初のワンマンライブを見事完遂!

KOTORI | 2019.02.13

 昨年12月にリリースしたミニアルバム『CLEAR』を引っさげて、ツアー『DREAM MATCH TOUR 2019』を回ってきたKOTORI。開催中にはメンバーのインフルエンザ発症やギター・コーラス上坂仁志の左自然気胸による出演キャンセルというアクシデントにも見舞われた彼らだが、それだけにメンバーにとってもファンに取っても記憶に強く刻まれるツアーとなっただろう。何より、昨年9月をもってオリジナルメンバーのドラマー田代創大が脱退して以来初めてのリリース、そしてツアーである。そのファイナルは彼らにとって初のワンマンライブ。KOTORIは大胆不敵に、そして力強く、バンドの未来を照らし出してみせた。

 大きな拍手で出迎えられた横山優也(Vo/Gt)、上坂仁志(Gt/Cho)、佐藤知己(Ba)、そしてサポートドラマーを務める細川千弘(ex. Shout it Out)。まずは「19歳」でガツンとスタートだ。歌が始まった瞬間にフロアから上がった歓声が、このバンドに対する期待値と信頼度の高さを物語る。キレのあるギター、横山の独特の声色、エモーショナルのメロディ。細川の叩くスネアがバンドを鼓舞するように鳴り響き、先制パンチは上々だ。《大人になっていく》という言葉がラストのこの曲を歌い終えた横山が「3年前とはもう違う! こんなにたくさんの仲間と友達と味方ができました! マジでありがとう!」と叫ぶ。そしてそのまま2曲目「高鳴る胸に鐘を鳴らせ」へ突入する。この時点で、もう胸は高鳴るどころか張り裂けそうだ。とんでもない夜になる――そのとき感じたそんな予感はこのあと現実になっていく。

「僕たちは青春のど真ん中!」と横山が叫んでスタートした「Blue」、「未来を描いた物語を始めよう」と歌い始める「ドラマ」……。ステージ上から繰り出されるKOTORIの楽曲はどれも青春の風景と心情を鮮やかに見せつける。と同時に、彼らは子供と大人の狭間で揺れ動くセンシティブな心の機微を、本当に巧く表現するバンドでもある。それは彼ら自身の実年齢ゆえのリアリティでもあるだろうし、埼玉の越谷という「東京が近くて遠い」場所で結成されたというバックグラウンドがもたらしたセンスでもあるだろう。「東京でバンドをやること」「音楽で自分の思いの丈をぶちまけること」「今を必死こいて生きること」、そのすべてがかけがえのないもので、しかも決して約束されたものではないことを、彼らはひたすら見つめ、歌に込め続ける。その感覚が「青春」という1語の範囲から思いっきりはみ出している。「息をつく暇もなく畳み掛けられる前のめりなロックソングの数々を浴びながら、だんだんと自分の中の「10代」が蘇ってくる――そんな感覚に襲われたのは僕だけではないはずだ(もちろん、フロアにはリアルな10代もたくさんいたけれど)。

 5曲終えて、この日最初のMC。まるで友達に話しかけるようにフランクに、横山は喋った。そして「すべての東京に憧れる人に捧げます」とギターの弾き語りから「ラッキーストライク」へ。KOTORIというバンドの粋が詰まったこの曲が最初のハイライトとなった。リズムはヨレるし、ミスタッチもあるし、横山は歌詞を飛ばすし声を裏返すし、決して完璧な演奏というわけではない。だが、バンドを力づけるようにフロアから起きたシンガロングがそれらをすべて光に転化していく。フロアの熱気、渦巻く感情も含め、この日のKOTORIは絶好調だった。曲が始まるたびにオーディエンスからは「待ってました!」というような歓声が上がり、それを貪るようにバンドは演奏の熱量を上げていく。曲目を追うごとに加速していったこの日のライブは、まるでサッカーチームとサポーターのような相乗効果を生み出していた。

「SUPERCAR」から「1995」への流れる展開から、ひときわ大きな歓声が上がるなか始まった「トーキョーナイトダイブ」でメランコリックなギターの音色に乗せて、メロウで切ない歌がフロアを覆った瞬間。横山のパーソナルな心情がすべて注ぎ込まれた「そのすべて」にフロアの誰もがじっと聴き入った瞬間。「僕ら、意外と暗いなあ」と横山は笑っていたが、それは「暗さ」というよりも誠実さに近い。たぶん嘘がつけないんだろうな、とMCでのぶっちゃけトークを聞いていても思うのだ。「3年前、出たんですわ、ここに」と横山はリキッドルームでの思い出を話し始める。2016年の9月に開催された『RED LINE TOUR 2016』のファイナル。My Hair is Bad 、MOROHA、yonigeというメンツのオープニングアクトとして抜擢されたのがKOTORIだった――という話を聞いて記憶が甦った。僕がKOTORIを初めて観たのもそのライブだった。それを横山は「キツかった」と表現していたが、はっきり言って、バンドのライブに対する姿勢、そしてステージから鳴らされる音の印象は、今もあのときと何ら変わっていない。成長していないと言いたいわけではなく、彼らはずっと、欠けたピースを無我夢中で探し求めるようなライブをやってきたということだ。その姿勢に共感する人がどんどん増え、今日にたどり着いた。それがKOTORIの物語なのだと思う。

 お母さんからのメッセージ(「MCだけは気をつけて」)の甲斐もなく若干グダった(でも素直な)MCを経て、「こんな感じですがこれからもよろしくお願いします!」とライブはいよいよ終盤戦へ。ここからが圧巻だった。しょっぱい日々を必至に肯定する姿勢にKOTORIらしさが詰め込まれた「素晴らしい世界」、今だからこそ歌えた力強いメッセージソング「EVERGREEN」、そして横山が声を嗄らしながら「光れー!」と叫んだ「ジャズマスター」。どの曲でもフロアからは割れんばかりの大合唱が巻き起こる。まるでここに集まったひとりひとりが自分の歌のようにKOTORIの歌を愛し、歌っている。その光景を見ているだけで鳥肌が立った。そして「僕らにはこんなにたくさんの味方がいることがわかりました。味方というか友達。これからもおもしろいことを一緒にしていきましょう。すべての友達に歌います」という横山の言葉とともに本編ラスト「YELLOW」へ。スケールの大きなリズムとギターリフは、これからもっと大きな舞台に向かっていくバンドの未来図を描き出すかのように響いた。

 アンコールでは次のツアー「LOCAL MATCH 2019」を告知。ファイナルはワンマンなのだが、その会場はキャパ150人の横須賀・かぼちゃ屋。その発表に悲鳴のような声がフロアから上がる。確かに今日リキッドルームを埋めたバンドの次のワンマンとしては変だが、ただ階段をまっすぐ昇らないその感じもKOTORIらしいといえばKOTORIらしい。というか、ハコのキャラ的にもヤバいライブになりそうである。「最後歌って帰りましょう」と演奏されたのは「4号線」、そして「今完全に、時代の風は俺らに吹いてます!」と「kaze」へ。ダブルアンコールでの「6月」まで、全23曲。未完成の部分やとっちらかった部分も含めて、ライブが終わったあとKOTORIがもっと好きになる、そんなライブだった。

【取材:文:小川智宏】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル KOTORI

リリース情報

CLEAR

CLEAR

2018年12月05日

small indies table

01.さよなら
02.1995
03.EVERGREEN
04.オリオン
05.RED
06.life.

お知らせ

■ライブ情報

KOTORI「LOCAL MATCH 2019」
04/12(金)新潟 BLACK STAGE
04/13(土)栃木 宇都宮HELLO DOLLY
04/19(金)京都 Live House nano
04/20(土)滋賀 B-FLAT
04/21(日)香川 高松TOONICE
04/29(土)神奈川 横須賀かぼちゃ屋

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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