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ALLiSTER 追加公演、東京・新木場スタジオコーストをレポート

ALLiSTER | 2019.03.26

 デビュー20周年を記念するベスト盤『BEST OF… 20 YEARS & COUNTING』を携えた、米イリノイ州シカゴ出身の4人組=ALLiSTERによるジャパン・ツアー。この3月に千葉・東京・大阪・愛知・宮城・神奈川と各地でショウを繰り広げ(全公演が即日ソールドアウト)、たどり着いた追加公演の舞台は東京・新木場スタジオコーストだ。

 公演の開催直前に発表されたこの日のゲストアクトは、昨年劇的な活動再開を果たしたELLEGARDEN。ALLiSTERは2006?2007年にELLEGARDENの長期ツアーに帯同した経緯があり、戦友と呼ぶべき間柄である。直後にALLiSTERは一度活動を休止しながらも、スコット・マーフィー(Vo/B)<以下:スコット>のソロやALLiSTER再始動と並行して、スコット&リバース、MONOEYESとしての活躍を見せてきたのは周知の通り。この日、先行して登場したELLEGARDENの4人は灼熱の名曲連打でALLiSTERにバトンを繋いだ。

 さて、「本日は足元のよろしい中、お越しいただきありがとうございます」とユーモアを心得た日本語の影ナレが聞こえると、いよいよALLiSTERの登場だ。スコット(Vo.& B.)、ティム・ログナー(Vo.& G.)<以下ティム>、カイル・ルイス(G.)<以下カイル>、マイク・レヴェランツ(Dr.)<以下マイク>が位置につき、華やかに堂々たる響きのポップパンク「Radio Player」からパフォーマンスがスタート。ティムとスコットによるハーモニーワークも出足快調で、ナチュラルボーンな人懐っこさを備え感情の蠢きに直結するALLiSTER流のグッドメロディが映える。カイルもギターを振り回し、熱いアクションで盛り上げにかかっていた。

 セットリストは、新曲4曲や再レコーディングを含む『BEST OF… 20 YEARS & COUNTING』収録曲を中心に、得意のカバーまできっちり押さえた内容になっている。「なんか…またエルレと出来るって、すごくない?」と感慨を漏らすスコットは、メンバーの住むシカゴから新録の音源ファイルを日本に持ち帰り、自宅マンションでボーカルやベースを吹き込んで最新ベストを完成させたことを語って新曲「Stay With Me」を熱唱する。また、シンガロングを誘うスピッツ「Cherry/チェリー」やTHE BOOM「Shima Uta/島唄」といったALLiSTER印のパンキッシュな日本語詞カバーも、言語の壁を超えて普遍的なグッドメロディの力を心底信頼している彼らならではのパフォーマンスだろう。

 2010年作『Countdown to Nowhere』収録の「Failure」は、眩いばかりのギターフレーズが印象的なナンバーだが、弾き方を忘れていたティムをスコットが励ました、というエピソードで笑いを誘う。そしてこちらも新曲「Carousel」だが、骨太なメロディといい、スコットからティムにリードボーカルをリレーする構成といい、まさにALLiSTERのニュークラシックと呼ぶべきナンバーで素晴らしい。米国テキサス州の音楽フェス=SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)で初めてELLEGARDENと出会って飲み明かした思い出なども語りつつ、終盤には細美武士と一瀬正和も加わり「My Instant Song」をカバーし、疾風怒濤の22曲で本編を締めくくった。

 アンコールでは、スコットが「エルレが復活して、アリスターが復活して、復活していないバンドがもうひとつあるよね…?」と前フリして、往年のツアー時に結成された合体バンド=DEATH BY FONDUEが長きの時を経て再結成である。細美が「復活も何も、一回しかやってないよ(笑)」とツッコミを入れ、ALLiSTERの「Somewhere on Fullerton」(スコットはMONOEYESでもこの曲を歌ってきた)やELLEGARDENの「KAZE NO HI/風の日」、そして、終わりたくないとばかりに「Make A Wish」をリピート演奏し、マイクや細美はダイブも敢行、戦友たちの一夜は笑顔のまま幕を閉じるのだった。

【取材・文:小池宏和】
【ALLiSTER:撮影:菊池茂夫】

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