前へ

次へ

妄想キャリブレーションが、ラストライブで示したそれぞれの道

妄想キャリブレーション | 2019.03.30

 SEが流れて、登場した胡桃沢まひる、桜野羽咲、星野にぁ、雨宮伊織、水城夢子。大音量で鳴り響くサウンドに合わせてダンスをした彼女たちを見つめながら、妄想族(=妄想キャリブレーションのファンの呼称)は、猛烈な勢いで歓声を上げた。そして、「激ヤバ∞ボッカーン!!」がスタートすると、早くも漂い始めていた熱気はさらに急上昇。瞬く間に会場全体が1つになったオープニングであった。

 妄想キャリブレーションの活動終了公演となったこのライブ。メンバーたちの今後を示唆する要素が随所に盛り込まれていた点に、まずは触れておきたい。未来へのビジョンを最初に示したのは水城。「夢子はDJをやってきたじゃないですか(彼女は“DJドリチャイ”としても活動している)。なので、ライブ音源を今日のためにミックスしてきました!」というMCを経てスタートしたメドレーは、2部構成となっていた。「ちちんぷいぷい♪」「Bang Bang No.1」「only my railgun」「irony」「アンバランスアンブレラ」を一気に披露した後、「夢のカケラ、愛のカタチ」「たとえもう1人の私を見ても… 」「何故なら私、妄想少女ですの」「もっとずっとキュンとしたいの 」「魔法のジュース」「はじまりがはじまる」「妄想が止まらない」も披露。インディーズ時代の曲もたっぷりと盛り込んでいたこのメドレーは、彼女たちの足跡を濃厚に体感させてくれた。

 メドレーの後、一旦ステージを後にした5人。そして、妄キャリの歴史を辿るムービーがステージ上のスクリーンに映し出された。2013年、秋葉原ディアステージでの活動からスタートした妄想キャリブレーション。着々とファンを増やしたインディーズ時代を経て2016年にメジャーデビュー……懐かしい姿をたくさん交えていたこの映像のナレーションを務めたのは、今後、声優として活動する胡桃沢。耳を傾けていると自ずと心が安らぐ柔らかな声質のナレーションを聴きながら、妄想族は各々の胸の内にある様々な思い出を呼び起こしていたのではないだろうか。

 ムービーが終了して、ステージに再登場した5人が届けたのは「桜色ダイアリー」。この曲から始まった後半戦は、メンバーたちが着ていた衣装も非常に目を引いた。この衣装の制作を手掛けたのは雨宮。彼女はこれまでも作曲を含めたクリエイティブな面で才能を発揮してきたが、今後も創作活動に取り組む旨を語っている。そんな彼女の心がこもっている衣装を着るのは、メンバーたちにとっても大きな喜びだったはずだ。時折、笑顔を交わしながら「青春プロローグ」「物語はまだ始まったばかり」「五線譜」などを歌っていた姿は、5人の間にある温かい関係性を示しているように感じられた。

 後半戦に入る直前のメンバーたちのMCも、とても心に残るものだったので、少々長くはなるのだが、スペースの許す範囲で紹介しよう。

「妄キャリに入る前から歌手になるのが夢でディアステージに入ったんですけど、妄キャリに入ったことを誇りに思っています。ずっと自信がなかったりしたんですけど、最近、ようやく“アイドルになれてよかったな”と思うことができました。それは応援してくださってるみなさんのおかげです。これからは1人で歌っていくことになりますけど、今日は今までで一番アイドルとしての誇りを持ってこのステージに立ちたいと思います。私をアイドルにしてくれて、ありがとうございます」(桜野)

「私が妄想キャリブレーションに入った時は、周りの人のこととか考えてなくて、“メンバーとは仲良くならないだろうなあ”って思ってたんです。でも、家族以上にずっと一緒に過ごしてきて……上手く言えないんだけど、本当に妄キャリになれてよかったなあって思います。さっき流れた映像のナレーションをさせてもらいました。妄キャリに入って、声優という道を見つけられたから。みんなとメンバーに見つけてもらった大切な道です。一緒に過ごしてくれてありがとうございました」(胡桃沢)

「終わりの日が必ず来るなら、今日でよかったなとすごく思いました。だってこの5人で、一番いい形で、こんなに愛されて、こんなに惜しまれるのって、すごく幸せじゃないですか。みんなとこうやって今日を迎えられただけで本当にやってきた意味があったなと思えます。今は立派なことは言えないんですけど、まだやりたいことはいっぱいあるんです。できるだけ早くまたみんなと会えるように頑張るので、応援してください」(水城)

「こんなにも大切なものができたというのは妄キャリに入ってからなので、雨宮伊織になれたこと自体がすごく幸せ。所属していたグループが妄想キャリブレーションだというのが誇りです。みんなに伝えたいことは1個だけ。会えなくても私はみんなの夢が叶うこととか、毎日笑って過ごしている姿を想像しながら頑張るので、これからもみんな、健康で過ごしてください。だって健康が大事だから(笑)。健康で幸せになってください。伊織との約束です」(雨宮)

「私はずっとアイドルが好きで、アイドルになりたくて、今ここに立ってるんです。ずっと理想のアイドル像を追い求め続けて、今日は私の理想のアイドルになれたなって思います。本当にメンバーとみんなのおかげだなって思います。誰がなんと言おうと、妄キャリが世界で一番最高のグループだし、今日だけは私が世界で一番のアイドルだと思います。そう思えたのも、みんなのおかげです。今日までたくさん応援してくれて、ありがとうございました」(星野)

 時折涙ぐみつつも、とても前向きだった彼女達の言葉は、妄想族の胸を激しく打っているのを感じた。

 ラストシングルのタイトル曲「爆アゲ↑バンザイ!!」を皮切りに突入した終盤戦も、彼女たちの充実した活動の軌跡を示していた。特に印象的だったのは、スポットライトを浴びた桜野のアカペラからスタートした「忘れられないクロニクル」。今後もシンガーとして活動する彼女が抱いている歌に対する強い想いが、まっすぐに伝わってきた。そして、「YOUをちぇっくします!」「Hey Yo!」「悲しみキャリブレーション」も届けられて本編は終了。アンコールが始まる前に、スクリーンに映し出されたムービーは、公園で過ごしているメンバーたちの自然な姿を捉えていた。撮影をしたのは、フォトグラファーとして活動したいという意思を表明している星野。彼女のキャリアの第一歩としてこの上ない、とても素敵な仕上がりの映像作品となっていた。

 アンコールの1曲目に届けられたのは、雨宮のピアノ伴奏で瑞々しく彩られた「手をつないで」。ピンク、ホワイト、イエロー、ネイビーブルー、グリーン……フロアが縦に5分割された形で、5色のペンライトによる光の帯が輝いた風景が圧巻だった。妄想族がサプライズで作り上げたプレゼントを目の当たりにして、瞳を潤ませていたメンバーたち。そして、妄キャリのメンバー全員が作詞、雨宮が作曲をした「帰り道」も披露された。ピアノを弾きながら歌った後、マイクを手にして立ち上がった雨宮はメンバーたちと合流。5人の歌声が一気に響き渡ったこの曲は、とても穏やかなムードを漂わせていた。

 2曲を歌い終えると、メンバーたちはステージを後にしたが、熱い歓声に応えてダブルアンコールへ。本編でも歌った「爆アゲ↑バンザイ!!」が改めて披露された。「今までたくさん愛してくれてありがとう!」(星野)。「歌を届けさせてくれてありがとう!」(桜野)。「いろんな夢を見せてくれてありがとう!」(水城)。「伊織と出会ってくれてありがとう!」(雨宮)。「青春を一緒に過ごしてくれてありがとう!」(胡桃沢)。5人の感謝の言葉も盛り込まれていたこの曲は、Zepp DiverCity全体が激しく震えるほどの盛り上がりとなった。

「以上。乙女の妄想無限大。妄想キャリブレーションでした。ありがとうございました!」と挨拶。彼女たちを見送った拍手と歓声は、特大級のものであった。こうして妄想キャリブレーションは、活動を終了。終始、前向きなエネルギーに満ち溢れていたのが、とても印象深い最後のライブであった。5人のメンバーたちは各々の道へと進むことになるが、新しい世界でもかけがえのない魅力を発揮するに違いない。

【取材・文:田中大】

tag一覧 J-POP ライブ 女性ボーカル 妄想キャリブレーション

リリース情報

爆アゲ↑バンザイ!!

爆アゲ↑バンザイ!!

2019年02月13日

Sony Music Records

01.爆アゲ↑バンザイ!!
02.帰り道
03.爆アゲ↑バンザイ!! -instrumental-
04.帰り道 -instrumental-
05.悲しみキャリブレーション -Live ver.-

このアルバムを購入

トップに戻る