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ネクライトーキー『ONE!』リリースツアー“オーキートーキー!全国編”「〆」

ネクライトーキー | 2019.04.22

 2017年に結成されるやいなやYouTubeにアップされたミュージックビデオが注目を集め、正式リリースもない中で行われた東名阪での初ワンマンツアーがソールドアウト。満を持して発表したファースト・アルバム『ONE!』も高い注目を集め、勢いを増し続けているネクライトーキー。ギターの朝日とベースの藤田はコンテンポラリーな生活としてすでに長い活動歴があるし、ドラムのカズマ・タケイもそのサポートを務めている、ということを考えれば根っからの新人バンドとはとても言えないわけだが、にしても、である。ネクライトーキーを取り巻く現時点での期待度の高さはそれだけでは説明できない。何がいったいすごいのか、そもそもコンポラとは何が違うのか。それを確かめたくてアルバムツアーの追加公演「オーキートーキー!全国編『〆』」、渋谷WWWに足を運んだ。ちなみに今回のリリースツアーも全箇所ソールドアウト。やっぱりすごいことになってるぞ、ネクライトーキー。

 ライブに先立って、「ライブ閑話」の動画インタビューも実施。まずはそちらをご覧いただきたい。



 この動画インタビューでも話されているとおり、この日の前々日にあたる3月15日の地元・大阪での公演で、結成当初からずっとサポートを務めてきたキーボードのむーさんこと中村郁香が正式メンバーとなったことが発表された。つまり今日が5人組ネクライトーキーの初ライブということになる。そんな祝福ムードもフロアにそこはかとなく漂う中、SEが流れてメンバーがひとりずつ登場。最後に朝日が登場して「よろしくー!!」と絶叫すると「レイニーレイニー」からスタートだ。立て続けに「めっちゃかわいいうた」。一気に爆発したようなバンドサウンドがフロアを熱狂の渦に叩き込んでいく。

 コンポラと何が違うのか、と冒頭に書いておいて何だが、一発目からはっきりわかった。全然違う。いや、ぜんぜん違うのは音源を聴いてわかっていたつもりだが、それ以上に別物だ。本人は石風呂(朝日が作品発表を行っていたボカロPとしての名義)の延長線上だ、みたいな発言もしていたし、実際ライブでは石風呂の曲も披露されるし、何よりもっさはどう見ても石風呂が描く女の子キャラ「キライちゃん」にそっくりなのだが、それとももはや別物になってきている。いずれにしても曲を書いているのは朝日だし演奏しているのはコンポラのメンバーだが、そこにもっさの歌が加わることでまったく別のポップなものが生まれる。簡単にいえばそれがネクライトーキーである。もともとポップなメロディセンスとキッチュなアレンジセンスをもつ朝日の楽曲が、彼女というフィルターを通ることで何倍も何十倍もポップで血の通ったものになる、そういう感じなのだ。その意味でこのバンドはもっさのバンドといっていい。それぐらいの破壊力だ。

 たとえば石風呂楽曲「夕暮れ先生」や「ゆるふわ樹海ガール」でのエモーショナルな歌声。かと思えばMCでは「WWWってすごいですよね。棚田みたいですよね」と言ってフロアから「ああ?」と微妙なリアクションを得たり、はたまた自身の楽曲「ゆうな」では切なく繊細な感情を歌い上げたり。ライブ中にもっさが見せる表情は本当にさまざまで、しかもそのすべてがおそらく天然。朝日が書いた細かい譜割りのメロディを歌いこなすだけでも結構なスキルだが、そこにちゃんと自分の色を付け加えてみせるヴォーカリストとしてのセンスは見事としかいいようがない。

 もちろん、このバンドの見どころはもっさだけではない。藤田の独特なうねりをもったベースプレイとタケイのシュアなドラミングは安定感があるし、朝日ともっさのツインギターの重ね合いはじつはかなり攻撃的だし、一方でむーさんのキーボードが奏でるキャッチーなフレーズが、ともすればオルタナに傾きがちなバンドのサウンドをぐっとポップな方向に引き戻す役割を担っている。そしていうまでもなく、朝日の書くメロディ。ネクライトーキー版「ティーンエイジ・ネクラポップ」を聴くと、この楽曲はバンドで鳴ることを待っていたんだなと思う。

「許せ!服部」ではフロアから大声での「服部コール」が鳴り響いたり、MCで改めてもっさがむーさんの正式加入をアナウンスすると大歓迎の拍手が起きたり、結成から2年ほど、アルバム1枚出しただけ、というキャリアからすれば驚くほどのオーディエンスとの強固な信頼関係を伺わせるシーンも随所に見せつつ、ライブは終盤へ。「だけじゃないBABY」から始まる最後のブロックは圧倒的だった。むーさんの鍵盤が異様に耳に残る「こんがらがった!」、『スパイ大作戦』よろしくカウントダウンから「FIRE!」と始まった「オシャレ大作戦」(タケイのドラムソロやむーさんのキーボードソロもばっちり決まった)とキラーチューンを連打し、フィナーレに向けてどんどんボルテージを高めていく。そして本編最後の「明日にだって」へ。さらに温度を上げた演奏が繰り広げられて鮮やかなフィニッシュとなった。

 アンコールでは新作ミニアルバムを7月24日にリリースすること、そして初の全国ワンマンツアー(東名阪クアトロを含む全国6都市!)を開催することを発表。フロアは割れんばかりの歓声と拍手に包まれた。東名阪クアトロってすごいことなんだぜ、って知っているのか知らんのか、もっさは「それよりこのチラシがかわいすぎてしかたない」とライブ終了後に配られるフライヤーを見せびらかしているが、そのあたりも彼女らしい。ミニアルバムにはライブで披露している石風呂名義の楽曲が収録されるそうだ。

 その発表に続いて朝日は「ひとりでずっと作ってた曲が今こんなたくさんの人の前で聴かれて、また生まれ変わって全国に届くのかと思うと、ひとりぼっちの曲たちが報われたような気がします。メンバーも俺のひとり曲に付き合ってくれてありがとう。あなたたちのおかげで完成します」と言葉を紡いだ。やはり、そんな思いがこのバンドのバックグラウンドにはあるということだろう。だが、それだけがすべてではない。というか、おそらく朝日のイメージしていた以上のスピードで物事は進んでいるし、もっさという魅力的なヴォーカリストの存在は、彼の想像をはるかに超える形でバンドに作用をもたらしているはずだ。だからこそバンドはおもしろいし、ここからのネクライトーキーからも目が離せない。想定外のダブルアンコールまで含め全22曲。今持てるすべてを出し切った彼らがこの先どこに向かうのか、本当に楽しみだ。

【撮影:Kana Tarumi】
【取材・文:小川智宏】






リリース情報

ONE!

ONE!

2018年12月05日

Necry Talkie

01.レイニーレイニー
02.こんがらがった!
03.めっちゃかわいいうた
04.タイフー!
05.許せ!服部
06.オシャレ大作戦
07.がっかりされたくないな
08.だけじゃないBABY
09.ゆうな
10.遠吠えのサンセット
11.明日にだって
12.夏の雷鳴

セットリスト

『ONE!』リリースツアー“オーキートーキー!全国編”「〆」2019.3.17@渋谷WWW
2019.03.17@渋谷WWW

  1. 01. レイニーレイニー
  2. 02. めっちゃかわいいうた
  3. 03. ジャックポットなら踊らにゃソンソン
  4. 04. 夕暮れ先生
  5. 05. あの子は竜に逢う
  6. 06. 涙を拭いて
  7. 07. 浮かれた大学生は死ね
  8. 08. きらいな人
  9. 09. ゆるふわ樹海ガール
  10. 10. 許せ!服部
  11. 11. タイフー!
  12. 12. ロック屋さんのぐだぐだ毎日
  13. 13. がっかりされたくないな
  14. 14. ゆうな
  15. 15. 午前3時のヘッドフォン
  16. 16. ティーンエイジ・ネクラポップ
  17. 17. だけじゃないBABY
  18. 18. こんからがった!
  19. 19. オシャレ大作戦
  20. 20. 明日にだって
  21. 【ENCORE】
  22. En-1. 音楽が嫌いな女の子
  23. En-2. 遠吠えのサンセット
  24. 【ENCORE2】
  25. En-1. 夏の雷鳴

お知らせ

■ライブ情報

ネクライトーキー ワンマンツアー 2019”ゴーゴートーキーズ! 全国編”
08/24(土) 札幌 BESSIE HALL
08/31(土) 名古屋クラブクアトロ
09/01(日) 梅田クラブクアトロ
09/03(火) 福岡LIVEHOUSE CB
09/05(木) 札幌enn2nd
09/07(土) 渋谷クラブクアトロ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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