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ハンブレッダーズ 初のワンマンツアー 渋谷CLUB QUATTOROをレポート

ハンブレッダーズ | 2019.04.30

 ハンブレッダーズが初めての全国ワンマンツアー「“Cagayake!BOYZ”ワンマンツアー」の初日、東京・渋谷CLUB QUATTORO公演。この日のライブは“東京・初ワンマン”でもあったのだが、メンバー4人は超満員のオーディエンスの前で、1ミリもウソがない、汗と悔しさと希望に満ち溢れたロックンロールを思い切りぶちまけてみせた。

 開演30分前に会場に入ると、フロアは既に観客でほぼ満員状態。目視の範囲ではあるが、オーディエンスの中心は10代、男女比は半々。騒いだり大声を出すわけではないが、全員が「ハンブレッダーズの初めてのワンマンライブをこの目で見たい」という思いをしっかりと持っていることがわかる。ブレイク寸前のバンドに特有の、期待と熱気が充満する、めちゃくちゃいい雰囲気だ。

 照明が落とされると同時に、「ウォー!」という凄まじい歓声が巻き起こり、木島(Dr)、でらし(Ba/Cho)、吉野エクスプロージョン(G/Cho)、ムツムロ アキラ(V/G)が順番に登場。「みんなが家で聴いてる歌をいっぱい鳴らすから、楽しんで帰ってくれ」というムツムロの挨拶、そして、昨年11月にリリースされた2ndアルバム「イマジナリー・ノンフィクション」の収録曲「口笛を吹くように」からライブは始まった。

 「夜は明けるし、雨は止む。でも、終わらない青春を鳴らしに来ました。ハンブレッダーズです、よろしく!」(ムツムロ)の言葉に導かれた「スクールマジシャンガール」によってライブ全体のスピードとテンションが一気にアップ。ノスタルジックなメロディ、妄想混じりの恋愛感情を映し出す歌詞が性急なロックンロールに結びつく。生々しさしかない。

 さらにメロディアスなギターフレーズと骨太のバンドサウンド絡み合う「フェイクファー」、ファンクネスを感じさせるベースラインを軸にしたサウンドが気持ちいい「常識の範疇」(“くだらない日々に乾杯”というサビのフレーズはお客さんも大合唱!)、後ろ向きでネガティブな思考に捉われる様を解放感のあるメロディとともに描いた「嫌」を披露。どの曲も体を揺らしたくなるようなグルーヴが渦巻いているのだが、主役はあくまでも歌。単に盛り上がるだけではなく、“しっかり歌を届ける”という意識が行き届いているのがはっきりと伝わってくる。「教室の片隅にいたヤツらが渋谷のど真ん中にいるわけですよ。本当にありがとうございます」(ムツムロ)というMCもなんだかグッと来た。

 「外見に惹かれて恋に落ちることも、中身に惹かれて恋に落ちることもあると思いますが、僕はその人のユーモアセンスに惹かれて恋に落ちることがあります」(ムツムロ)と紹介された「ユーモアセンス」からは、このバンドが持つ豊かな歌の世界を体感できる場面が続いた。フォーキーな手触りの旋律とともに、“絶望は未だ序章だった”と日常に溢れる理不尽を歌う「エンドレスヘイト」、情けなくも愛らしい片思いの終わりを綴った「席替え」、いわゆる“友達以上恋人未満”の関係を叙情的に描いた「付き合ってないけどお互いに」。

 青春と呼ばれる時期に起きる、あらゆる感情がもつれ、自己嫌悪と理由のない希望が混ざり合う状態を彼らは、誰もが共感できる“歌”として提示することで、観客としっかりつながっていた。慰め合うのではなく、それぞれの孤独をしっかりと抱きしめながら、音楽を介して一つになるーーハンブレッダーズのライブの醍醐味とは、この純粋で切実な関係性にあるのだと思う。(実際、この日のライブでムツムロは「ここにどんな人が来てるのか知らないし、知らないままでいいと思ってます」「でも、アルバムをリリースして、たくさんの人が聴いてくれて。日々、救われてます」と話していた)

 “童貞だってどうってことないぜ”というオーディエンスの大合唱に導かれたパンキッシュなロックンロール「チェリーボーイシンドローム」を皮切りにライブは後半へ。まずはダンスビートとハードロック的なギターを融合させたイントロから、軽快なバンドグルーブへとつなげる「ミッドナイトフリクションベイビー」(「シラフと思えない動きで弾きます!」という宣言とともに炸裂した吉野エクスプロージョンのギターソロも圧巻!)。「人に優しくするのは上手でも、自分に優しくするのが下手な人のために作った曲をやります」(ムツムロ)という言葉に導かれた「CRYING BABY」における“涙の理由を僕だけに話してよ”というフレーズも強く心に残った。

 ここからライブは一気にクライマックスへ突入。「誰とも話したくないような悲しいことがあって、それをいちばん身近で聞いてくれたのがエレファントカシマシだったし、誰にも話せないような失恋を聞いてくれたのが銀杏BOYZでした。ただのMP3だけど、ただのディスクだけど、ヘッドフォンのなかは宇宙だったんです」という激アツMCにリードされた「DAY DREAM BEAT」では、観客が拳を挙げ、サビのフレーズを思い切り歌い上げる。バンドの演奏もさらに熱を帯び、楽曲に込められた狂おしいばかりの感情を増幅させていた。本編ラストは彼らの最大のアンセムである「弱者の為の騒音を」。“ロックンロールは弱者のためにある”というスタンスをはっきりと示すこの曲は、この日も凄まじいカタルシスを生み出していた。“こどものままで おとなになろう”というシンガロングがもたらす感動は、まさにハンブレッダーズの真骨頂だと思う。

 アンコールの声に応えて、汗だくの4人が再びステージに登場。「ツアーは今日が初日なんですけど、東(東京)・名(名古屋)・阪(大阪)・福(福岡)・札(札幌)、ソールドアウトしました。ありがとうございます!」(ムツムロ)と感謝の気持ちを伝えた後、まずは新曲(切り裂くような疾走感と切ない恋愛感情がぶつかり合うアッパーチューン!)を披露。さらに「RADIO GIRL」「逃避飛行」でフロアに熱狂をもたらし、ライブはエンディングを迎えた。

 各地の大型フェスに次々と出演、8月中旬には東名阪クアトロで対バンツアーも決定。 あまりにも切実な思いをオーディエンスの胸に刻むハンブレッダーズはここから、本格的なブレイクに向かって歩みを進めることになるだろう。

【取材・文:森朋之】
【撮影:タマイシンゴ】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル ハンブレッダーズ

リリース情報

イマジナリー・ノンフィクション

イマジナリー・ノンフィクション

2018年11月21日

ハンブレコード

1.弱者の為の騒音を
2.口笛を吹くように
3.嫌
4.CRYING BABY
5.エンドレスヘイト
6.RADIO GIRL

セットリスト

Cagayake!BOYZ ワンマンツアー
2019.3.23@渋谷CLUB QUATTORO

  1. 01.口笛を吹くように
  2. 02.スクールマジシャンガール
  3. 03.フェイクファー
  4. 04.常識の範疇
  5. 05.嫌
  6. 06.ユーモアセンス
  7. 07.エンドレスヘイト
  8. 08.席替え
  9. 09.付き合ってないけどお互いに
  10. 10.チェリーボーイシンドローム
  11. 11.ミッドナイトフリクションベイビー
  12. 12.CRYING BABY
  13. 13.DAY DREAM BEAT
  14. 14.弱者の為の騒音を
【ENCORE】
  1. 01.新曲
  2. 02.RADIO GIRL
  3. 03.逃飛行

お知らせ

■ライブ情報

ハンブレッダーズ "夏の対バンツアー"
8/13(火) 東京・渋谷CLUB QUATTRO
8/14(水) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
8/18(日) 大阪・梅田CLUB QUATTRO

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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