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Sou 初ワンマンライブ「Salir」マイナビBLITZ赤坂

Sou | 2019.05.24

 中学生から、ニコニコ動画などの動画サイトにおいて、ボーカロイド曲の“歌ってみた”の投稿をはじめ、2015年12月にはアルバム『水奏レグルス』でメジャーデビューしたSou。以降も、2017年9月にはボカロP・ナユタン星人とのコラボレーションアルバム『ナユタン星への快爽列車』、2018年2月には、動画サイトでも数々の共作動画を公開してきた、Eveとのコラボレーションアルバム『蒼』をリリースするなど精力的な活動をしている。一方で、複数の歌い手が出演するライブなどに出演経験はあるものの、ワンマンライブの開催は一度もない。そんなSouが満を持して、5月12日、マイナビBLITZ赤坂にて、初のワンマンライブ『Salir』を開催した。

 初ワンマンライブであるにも関わらず、会場は超満員。それもそのはず、SouのTwitterのフォロワー数はいまや、37万人超えであり、これまでずっとSouのワンマンライブを待ち侘びていたリスナーがどっと集まろうとすれば、会場内に全員を収めるほうが難しいのかもしれない。

 「右に曲ガール」のイントロが鳴り、岸田勇気(Key.)、櫻井陸来(Ba.)、松井ジャーマンJr.(Gt.)、つのけん(Dr.)、奈良悠樹(Gt.)というバンドメンバーとSouが照明によって明白になったところで、ライブはスタート。ライブ前、自身のTwitterで〈ワンマン直前の緊張がすごい〉とツイートしていたSouは、“緊張”の“き”の字を感じさせないほどの明るさで「行くぞー赤坂!」と縦横無尽に歩き回り、観客を巻き込んでいく。

 セットリストは、Souがこれまでに動画サイトに公開したボカロカバー楽曲とこの日のライブの為に作ったという初のオリジナル曲「愚者のパレード」を組み入れた構成。Souのカバー動画を初期の頃から視聴してきたリスナーにとっては懐かしさが感じられたはずだ。

 「ナンセンス文学」からはエモロック調の楽曲展開に。畳み掛けるドラムのリズムで「ケッペキショウ」が始まると、中央から離れることなく、時折、涙声で歌い、さっきまで歓声を上げていた観客の声が止む。昨今の歌い手シーンで、こぞって歌われている「ヲズワルド」に入ると、MVあるいはノイズが再生されるSouらの足元に設置された複数のテレビのうちの一台に腰掛け、気怠そうにしながらも起き上がり、MVの少年に自身を重ねるようにしながら、物凄い形相で曲の世界観を表現。さらなる空気感で観客の心底を震わせていく。

 ちなみに、カバー動画を【爽快に】と【感情を込めて】枠に分けて公開しているのもSouの特徴だ。 一転して、メルヘンチックな曲調の「ミルククラウン・オン・ソーネチカ」を挟んだ後には、【感情を込めて】で公開している「ドリームレス・ドリームス」、「ハレハレヤ」、「Spray」といったミディアムバラードを立て続けに披露。

 「ワンマンライブをやれって皆に言われているのはすごいわかっていたんですけど、本当は人前で歌うことも結構苦手で、家に引き籠っているタイプの人間なので、僕はまだワンマンライブはやっちゃいけないんだろうなみたいなのもあって、ずっと逃げてたんですよ」「でもそんななかで、前まで好きだって言ってくれてたリスナーさんのツイートがある日を境に他の歌い手さんにいってるのとかが目に入るようになったことで、僕がワンマンライブをやる前にいままで自分のことを好きでいてくれた人たちが去っていっちゃうのってすごい寂しいなと思ったし、勇気を出して踏み出してたらもっと色んな人に届けられたのかなと思うと、さすがにやらないとなーっていう気持ちになったんですよ」「だから、僕がワンマンライブできたのは皆が居てくれたからってことなんですよ!」と伝え歌ったのは、2015年9月に公開し、Souのカバー動画のなかでも初の1,000万再生超えのMVとなった「心做し」。泣いているかのような震える声で歌う同曲は、多くのリスナーの心を揺さぶり、Souには爽快ナンバーのみならず、バラードナンバーをセンチメンタルに歌うことができるのを象徴づける。

 スクリーンに映る文字の点滅から始まった、瀟洒な曲調の「帝国少女」を淡々と歌い上げると、動画サイトにもあげている米津玄師の「Lemon」、星野源の「恋」のカバーを披露。「恋」では恋ダンスの振り付けも入れながら、観客を盛り上げる。

 「ワンマンライブって僕一人じゃないですか…。僕はいつもMCとかも他の歌い手さんに投げて隣で(そうっすねー)みたいなことばかりしてたから今日のライブはぎこちないんですよね」初めて、ひとりでライブを進行するこの日のSouは、頼もしかった。そう見えたのは、恐らく、ワンマンライブを開催するにあたって準備してきたことの全てがSouにとっての自信となり、その上で、パフォーマンスを披露することができたからだろう。

 もう二十歳だから恥ずかしくて最近やってないねと話しつつも、観客からの「まだいける!」という声を受け、ライブでは定番の「Souだけに?」「爽快!」という観客とのコール&レスポンスを2回に渡り、繰り広げる。Souが言葉を発するたびに、観客は合わせたように一斉に「可愛い」や「Souくん」などと声を上げるが、ここまで観客にまとまりがあるのは、言うまでもなく、ライブで「Souだけに?」「爽快!」という観客とのコール&レスポンスを繰り返してきた証。

 ライブもいよいよ終盤。Souによる〈めっ!〉で観客が熱狂した「ベノム」、「他人事の音がする」、カラフルな照明で会場内を彩った「あの娘シークレット」を披露。

 「ライブタイトルの『Salir』は、スペイン語で“出かける”“出発する”という意味なんですけど、ちょうど僕が引き籠っている家から出かけるっていうことと、このワンマンライブを出発地点として、色んなことをやっていけたらなっていう意味合いが込められている」と語り、本編ラストに披露したのは、初のオリジナル曲「愚者のパレード」。



 猜疑心に苛まれた少年が、上手く生きられず、自分のなかに居るもう一人の自分からも見捨てられてしまうようなニュアンスの強い同曲は、Souが曲を作る際の自分の理想と理想通りにはいかない現実のせめぎ合いの意が込められているとのこと。Souの内向的な性格が表れている一方で、「歌ってみたとかボーカロイドの文化も好きだけど、最近は音楽そのものを好きになって、やっと今年一歩踏み出しました」と嬉しそうに話すSouを見ると、曲を作ることへの好奇心や純粋な気持ちがしっかりと表れた曲でもあるといえる。Souは自身の心の叫びと音楽に対する熱い想いを歌声に託した。

 アンコールではグッズTシャツ、パーカーに着替えたSouらが登場。「Q」の披露後には、「リクエストありがとうございます!あ、リクエストじゃない!アンコール!」とお茶目な一面を見せ、観客が“可愛い”と声を合わせる。「世界寿命と最後の一日」で会場を懐かしい空気感に包み込んだ後、バンドメンバー紹介を経て、ラストは「レグルス」で大いに会場を沸かせた。バンドメンバーが去り、ステージにひとり残ったSouが歩き回り、最後には「ありがとうございました!」と深々と頭を下げ、大団円を迎えていく。なお、『水奏レグルス』以来、3年8か月ぶりのアルバム『深層から』のリリース、8月には東名阪夏ツアー『深層から見た景色』を開催することも発表。

 Souが高い壁を超えることができたのは、リスナーの存在があってこそ。この日を新たな出発地点として、Souは自分の道を爽快に駆けていくはずだ。

【取材・文:小町碧音】
【撮影:Takeshi Yao】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル Sou

リリース情報

深層から

深層から

2019年07月31日

ユニバーサルミュージック

01.愚者のパレード(オリジナル曲)
02.トーキョーゲットー
03.ハングリーニコル
04.鯰(羽生まゐご 提供曲)
05.flos
06.ノイド(オリジナル曲)
07.シンソウ(有形ランペイジ(Sasakure.UK)提供曲)
08.波に名前があること、僕らの呼吸に終わりがあること。
09.エリカ
10.グレイの海(Eve 提供曲)
11.Q
12.心做し
13.証として(蝶々P 提供曲)

セットリスト

ワンマンライブ「Salir」
2019.5.12@マイナビBLITZ赤坂

  1. 01.右に曲ガール
  2. 02.ナンセンス文学
  3. 03.ケッペキショウ
  4. 04.ヲズワルド
  5. 05.ミルククラウン・オン・ソーネチカ
  6. 06.ドリームレス・ドリームス
  7. 07.ハレハレヤ
  8. 08.Spray
  9. 09.心做し
  10. 10.帝国少女
  11. 11.Lemon
  12. 12.恋
  13. 13.ベノム
  14. 14.他人事の音がする
  15. 15.あの娘シークレット
  16. 16.愚者のパレード
【ENCORE】
  1. EN-01.Q
  2. EN-02.世界寿命と最後の一日
  3. EN-03.レグルス

お知らせ

■ライブ情報

Sou 2019 Summer Tour
「深層から見た景色」

8/1(木) 名古屋ボトムライン
8/6(火) 大阪BIGCAT
8/19(月) 品川ステラボール



ひきこもりたちでもフェスがしたい!世界征服1@メットライフドーム
6/23(日) 埼玉メットライフドーム(西武ドーム)

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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