前へ

次へ

GLIM SPANKY 4ヶ月にわたって行われたツアー『LOOKING FOR THE MAGIC Tour 2019』の“EXTRA SHOW”

GLIM SPANKY | 2019.07.16

 昨年11月21日にリリースした4thアルバムのタイトルを掲げ、今年3月から延べ4ヶ月かけ、香港、台湾公演も含む全30公演を行った『LOOKING FOR THE MAGIC Tour 2019』がこの日、GLIM SPANKYの2人が大好きな会場だという新木場STUDIO COASTで大団円を迎えた。バックドロップ代わりに垂らした白い紗幕と白いステージの床を、キャンバスに見立て(たんだと思う)、濃い色も淡い色も使いながらカラフルかつエモーショナルにGLIM SPANKYの世界を描き出した2時間の熱演の模様をレポートする。

 6月8日に豊洲PITで開催されたツアー・ファイナルに対して、“EXTRA SHOW”と題したこの日のライブは、スタンディングのフロアを埋めた観客が手拍子でバンドを迎える中、松尾レミ(Vo/Gt)の弾き語りからスタートした。1曲目は『LOOKING FOR THE MAGIC』のラストを飾るタイトル・ナンバー。松尾が鳴らすアコースティック・ギターのコード・ストロークに亀本寛貴(Gt)がレスポール・カスタムで切なさを含んだコード・ストロークを重ね、バンドが演奏に加わると、背景に荒野の映像が映し出される。観客のはやる気持ちを敢えてそらすようにミッドテンポの演奏をじっくりと聴かせたバンドは、松尾がリッケンバッカーに持ち替えた2曲目の「焦燥」からぐっとテンポアップ。

 松尾のシャウトと亀本のギター・ソロに歓声を上げた観客の興奮はグルーヴィーな「TV Show」、ダンサブルな「END ROLL」とどんどん高まっていき、サイケデリックな映像を映し出しながら演奏した「怒りをくれよ」では、松尾の“新木場!”という呼びかけに応え、大勢の観客が“オイ!オイ!オイ!”という声をあげながら拳を振り上げた。

“楽しい!”と松尾が思わず声を上げ、亀本が自信に満ちた口調でツアーの完遂を報告。そして、“今日はツアー(の本編)でやらなかった曲やります”と予告すると、早速、ワイルドにギター・ソロを唸らせ、客席を沸かせてからなだれ込んだのが、初期の代表曲「ダミーロックとブルース」だ。当時、大学生だった松尾と亀本がハードでブルージーな表現に挑んだこの曲を、まさか今回の『LOOKING FOR THE MAGIC』のツアーで聴けるとは思わなかった。
“今日はツアーの打ち上げと言ってもいい”と笑った松尾は、“ツアー(本編)に来てくれた人たちも楽しめるものにしたかった”と“EXTRA SHOW”に込めた思いを語ったが、6月8日のツアー・ファイナルで『LOOKING FOR THE MAGIC』の全曲を披露した彼らがこの日、演奏したのは『LOOKING FOR THE MAGIC』からの4曲を含む新旧のレパートリーの数々だった。

 そんなセットリストが浮かび上がらせたのは、ロック・バンドとしてのGLIM SPANKYの真の実力だ。中でも「NEXT ONE」から「褒めろよ」とアップテンポのロック・ナンバーをつなげ、渾身の演奏が放つ熱量だけで――つまり、“声を出せ”とか、“手を挙げろ”とか、客席を煽ることなく、観客に拳を振らせ、シンガロングさせた終盤の流れは、圧倒的という言葉が相応しいこの日のハイライトの1つだったと思う。そこに今回のツアーを経て、さらに逞しくなったGLIM SPANKYの姿を見出した観客は少なくなかったはず。
 その直後、松尾と亀本は、この日のセットリストを振り返って、“けっこう攻めてるよね”“元気な曲いっぱいやってるよ”と言葉を交わしたが、それが計30本のツアーを、今まさに完遂しようとしているGLIM SPANKYのモードだったのかもしれない。

 もっとも、この日の見どころは松尾のシャウトや亀本が鳴らすリフが観客のロック魂に火をつけるロック・ナンバーだけに限ったものではなかった。この日がちょうど七夕だったことから、ファンとバンドの関係を、織姫と彦星にたとえ、“やっと会えたんだね!”と松尾が言ってから演奏した「白昼夢」と「美しい棘」というフォーキーなバラードもまた、観客の気持ちを鷲づかみにしたんだから、息を呑むようなその美しさ、切なさに触れないわけにはいかないだろう。
 亀本がアコギを爪弾き、松尾が家から持ってきたというオーナメント、アフリカの民芸品、100均で買ったという小さなトライアングルなどを鳴らしながら歌った「白昼夢」のアレンジと木漏れ日の映像を流した「美しい棘」の演出ともに聴きどころ、見どころだったことも忘れずに記しておきたい。

 そして、バンドはしっとりと聴かせたバラード2曲が作り上げた景色を一転させるようにローリング・ストーンズ風のロックンロール・ナンバー「サンライズジャーニー」につなげ、後半戦をスタートさせる。そこからぐんぐんと熱を上げていった演奏が「NEXT ONE」、「褒めろよ」で大きな盛り上がりを作り出したことは、すでに書いたとおりだが、バンドはGLIM SPANKYの表現の根底にある反骨精神を歌ったフォーキーな「大人になったら」をじっくり聴かせると、さらなる前進を求める気持ちを、ギターをかき鳴らすロック・ナンバー「ワイルド・サイドを行け」に託して本編を締めくくった。

 『LOOKING FOR THE MAGIC Tour 2019』という同じタイトルを冠しながら、この“EXTRA SHOW”でGLIM SPANKYは、『LOOKING FOR THE MAGIC』のモード(と言うか、フェーズ)からすでに新たな一歩を踏み出していることをアピールしようとしていたんじゃないか。
 バンドのステートメントを込めた本編ラストの2曲を含めたこの日のセットリストからは、そんなことも読み取れたが、“みんなへのラブを込め、特別にしたかった”(松尾)とストリングスをゲストに迎えたアンコールでは、この日、配信リリースした最新シングル「Tiny Bird」を初披露。去年の8月、実家に帰ったとき、アコギで作ってずっと温めていたというサイケデリックな魅力もあるバラードを、ピアノに加え、ストリングスのゴージャスな響きとともにうっとりと聴かせる。やさしい松尾の歌声に応える亀本のギターが草原を吹く風のように心地よかった。

 そして、バンドがアンコールのラスト・ナンバーに選んだのがサイケデリックなロック・サウンドを聴かせる「アイスタンドアローン」。リバーブをめいっぱい効かせながら、ぐっとテンポを落とした重心の低い演奏を会場全体に鳴り響かせ、バンドのスケールアップをダイナミックにアピール。流行や時代の流れに与せず、たとえそれが荒野だとしても己の道を歩きつづけるというこの曲に込めた覚悟は見事、今のGLIM SPANKYだからこそ打ち出せるプライドとして、観客全員の脳裏に焼きついたはずだ。

 延べ4ヶ月に及ぶツアーの大団円は、GLIM SPANKYのこれからがさらに楽しみになるような2時間の熱演となった。この後、フジロック・フェスティバル2デイズを含む数々の夏フェスに出演する彼らは、10月と11月に自主企画イベント「Velvet Theater 2019」を、東名阪で計4公演、開催する。

【取材・文:山口智男】
【撮影:上飯坂一】

tag一覧 J-POP ライブ 女性ボーカル GLIM SPANKY

リリース情報

Tiny Bird

Tiny Bird

2019年07月07日

ユニバーサルミュージック

01.Tiny Bird

セットリスト

LOOKING FOR THE MAGIC Tour 2019 “EXTRA SHOW”
2019.7.7@新木場STUDIO COAST

  1. 01.Looking For The Magic
  2. 02.焦燥
  3. 03.TV Show
  4. 04.END ROLL
  5. 05.怒りをくれよ
  6. 06.ダミーロックとブルース
  7. 07.FLOWER SONG
  8. 08.ハートが冷める前に
  9. 09.The Flowers
  10. 10.いざメキシコへ
  11. 11.白昼夢
  12. 12.美しい棘
  13. 13.サンライズジャーニー
  14. 14.THE WALL
  15. 15.NEXT ONE
  16. 16.褒めろよ
  17. 17.大人になったら
  18. 18.ワイルド・サイドを行け
【ENCORE】
  1. 01.お月様の歌
  2. 02.Tiny Bird
  3. 03.アイスタンドアローン

お知らせ

■ライブ情報

Velvet Theater 2019
10/19(土)【愛知】名古屋DIAMOND HALL
10/26(土)【大阪】味園ユニバース
11/28(木)【東京】キネマ倶楽部
11/29(金)【東京】キネマ倶楽部



「FUJI ROCK FESTIVAL ’19」
07/26(金)、27(土) 【新潟】湯沢町苗場スキー場

NAGANO CLUB JUNK BOX
20th Anniversary「COUNTER ROCK!!!!!」

08/08(木) 【長野】CLUB JUNK BOX

オハラ☆ブレイク ’19夏
08/10(土) 【福島】猪苗代湖畔 天神浜

rockin’on presents
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019

08/11(日) 【茨城】国営ひたち海浜公園

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO
08/17(土) 【北海道】石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ

SUMMER SONIC 2019
08/18(日) 【大阪】舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)

LIQUIDROOM 15th ANNIVERSARY
08/21(水) 【東京】恵比寿LIQUIDROOM
出演:浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS / GLIM SPANKY

WILD BUNCH FEST. 2019
08/24(土) 【山口】きらら博記念公園

Sky Jamboree 2019
~one pray in nagasaki~

08/25(日) 【長崎】稲佐山公園野外ステージ

FM FUKUI BEAT PHOENIX 2019
09/16(月) 【福井】フェニックスプラザ

THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2019
10/06(日) 【鹿児島】桜島多目的広場&溶岩グラウンド

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る