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T-SQUARE CONCERT TOUR 2019 「HORIZON」

T-SQUARE | 2019.07.18

 長年活動を続けていると様々な出来事やアクシデント、難題や事件が起こったり降りかかったりする。そこで問われるのが、いわゆる決断力と臨機応変さの類い。かくいうこのT-SQUAREもデビュー41年にして、かつてない活動続行の危機に見舞われた。と言うのも、今年2月の上旬。通算46枚目のオリジナルアルバムとなる『HORIZON』のL.A.でのレコーディング直前に、メンバーでキーボーディストの河野啓三が脳出血により緊急入院となってしまったのだ。幸い一命は取り留め、その後の一刻も早い回復が期待される河野だが、ニューアルバムの制作は既に河野も交えプリプロダクションも終わっていたこともあり、レコーディングはサポートキーボードミュージシャンにPhilippe Saisseを迎え、当初の予定通りL.A.にて断行。予定していた全国ツアーも河野の止まって欲しくないとの気持ちを汲むかのようにサポートキーボーディストたちを迎え予定通り敢行された。

 T-SQUAREが今春、46枚目のオリジナルアルバム『HORIZON』を完成させ、それを携えた全国ツアーを行った。私が足を運んだのは7月6日。場所は中野サンプラザであった。サポートキーボーディストは19歳時にエレクトーンの世界大会で輝く第一位を獲得した経歴を持つ佐藤雄大が務めた日だ。

 青く神秘的に浮かび上がったステージ。そのライトが白色に変わる際に、安藤正容 (G.)、伊東たけし (Sax.)、坂東慧 (Dr.)、に上述の佐藤。そしてサポートベーシストの田中晋吾の5人がステージに現れ。各人定位置にてスタンバイを始める。

 ニューアルバムからの楽曲がほぼ全曲プレイされた、この日。1曲目はニューアルバム同様「SKY DRIVE」が飾った。軽快に滑り出すように会場に降り立ってくるかの如く広がっていった同曲。明るい主旋律を伊東のウィンドシンセが。安藤が景色感たっぷりのギターソロを楽曲に寄与していく。まことに明るく爽快な滑り出しだ。同曲後半はやはり伊東のサックスが場内をさらっていった。続く「Lonesome George」では、ワウを交えたファンキーなギターにミッドで重めのドラムが耳を奪った。ちょっとしたスリリングさや不穏さが呼び込まれるも、逆にそこを抜け現れる一瞬の開放感が気持ちいい。同曲では伊東、安藤によるユニゾンでのアンサンブルも満喫。伊東はあえてウィンドシンセでアバンギャルドさを寄与していく。

 ここでMC。伊東がマイクを手に。「この2曲はキツかった」と笑う。そりゃ、あれだけ長いアドリブがあれば、ねぇ(笑)。 場内にさらなる躍動感が呼び込まれたのは「Love Game」であった。伊東も管のサックスに持ち替え、田中のプラッキングを交えたベースが躍動感を場内に運び行く。また、ここでは安藤と佐藤との競い合うような掛け合いも見どころであった。対して、ちょっとした爽快さが呼び込まれたのは「Kasareria」であった。アップリフティング気味のエレガントなピアノ音のアドリブも冴え、坂東のドラムの床面に設置された白色ライトがバスドラに合わせて発光していく。と、ここまでニューアルバムからの楽曲が立て続けに披露された。 一旦、シーンを80年代中頃にレイドバック。ライティングとのリンクが映えたのは「Maybe I’m Wrong」であった。各人のソロパート毎に、それぞれの音が可視化されていくように、その配色が変わっていく。時折田中もサムピングを交え、合わせてここでは伊東と佐藤の応酬とも称せるぐらいのバトルも印象深い。

 中盤のMCは各人に回った。まずは安藤がハンドマイクで佐藤を紹介。その後、「今日はまだライブで披露していない曲もやる」と坂東が続け、「出だしが半音ズレていた。やはり、何かしら色々と問題が出てくる (笑)」と田中。伊東にマイクが戻ると、ニューアルバムのアナログLPを掲げ、「まだ在庫があるのでみなさんよろしく」と告知。合わせて、「そのために憧れのカートリッジを買った。やはりいい音」と購入の促しに入る。その後、来たる11月にブルノートにて冒頭に記したレコーディングキーボードを務めたPhilippe Saisseを迎えてライブを行う告知を行う。

 再びニューアルバムからの曲へ。「Samba de Bantha」では伊東もフルートに持ち替え、サンバのリズムに乗せて気分は一気にブラジリアンに。心が踊り出していく。情熱さとエレガントさ、そして躍動感が会場に呼び込まれていくのを実感する。そして、こちらも新作からメローなバラードの「追憶の街」が。ちょっとしたウェットさが哀愁を従えて場内に広がっていく。伊東のブローの効いたサックスと、佐藤との鍵盤との長い長い応酬~ラグタイムセッションへ。途中なし崩しになりながらも最後は綺麗にまとまる。安心した(笑)。そしてフラッシュしていくライティングと共に坂東による圧巻のドラムソロが炸裂し、そこを経た凪のような心地良さと共にニューアルバムからのタイトル曲「Horizon」が現れ、会場中を再び明るい地平へと導いてくれた。以後はニューアルバム以外からの曲が。「Teasin’」ではアダルティさと軽快さが呼び込まれる。ここでは伊藤、安藤のツイン性を楽しむことが出来た。途中リズムがブーガルーに移っていく箇所はさすが。個人的にかなりアガった。

 ここからは終盤戦。このメンバーで演るのは初披露だという「Golden Splash」が景気良くド派手に場内に広がっていく。会場も総立ちとなり華やかに手拍子をステージに向けて贈る。ノリの良い曲は続く。「Parallel World」での見所は、延々と続いた田中のベースのアドリブソロ。そこからなだれ込んで行ったエレガントさが会場をさらに高みへと誘っていく。ここでは佐藤によるオーケストラピット音も印象深い。再び場内に軽快さが呼び込まれたのは「High Time」であった。伊東もウィンドシンセに持ち替え、安藤もプリングオンを交えた早弾きのギターソロを披露。佐藤も負けじと超絶運指の鍵盤ソロを。それをまとめるが如く最後は優雅に受け継ぐように伊東のウィンドウシンセソロが全てをさらっていく。そして本編ラストは大団円的に、また「河野に届け!!」とばかりに彼のリーダー楽曲でもあった「Rondo」へと行き着いた。もうここまできたら各人の独壇場。これでもか!これでもか!!と、この日のここまでの集大成のような各人によるソロ回しが場内に響き渡っていき、我々を興奮の坩堝へと引きずり込んでいった。

 アンコールは長年演ってきた代表曲たちが彩った。「明日への扉」が会場の手拍子の中、ぐんぐんのびのび翼を広げるように会場中に楽曲を広げていけば、ラストは集まった全てのお客さんに活力を与えるべく「Truth」が。特にこの日はより突っ込んでいる印象を受けた。ソロ部は佐藤と伊東のツインユニゾン。そこを超えて安藤の景色感溢れるギターソロがまさに駆け抜けるかのように現れ、我々に勇気と活力を与えてくれ、彼らはステージを降りた。

 さすがは百戦錬磨の名うてのミュージシャンたちであり、このメンバーで長い間、続けてきた凄さも目の当たりにした一夜であった。アクシデントもありながら、それを逆手にとり、ライブを臨機応変に転がしていき、逆にその日限りの貴重なものへと変換させてしまう、その応対力には驚かされた。終演後は、何かこの日ならではの充実感でいっばいになっている自分がいた。その辺りはさすがアドリブを得意とする、この音楽性ならではのものでもあったんだなぁ…と振り返りつくづく思った。

【取材・文:池田スカオ和宏】
【撮影:牛島康介】

tag一覧 J-POP ライブ T-SQUARE

リリース情報

HORIZON

HORIZON

2019年04月24日

T-SQUARE Music Entertainment

01.SKY DRIVE
02.Kasareria
03.Lonesome George
04.追憶の街
05.Horizon
06.Love Game
07.Samba de Bantha
08.Parallel World
09.Some Other Time

セットリスト

CONCERT TOUR 2019「HORIZON」
2019.7.6@中野サンプラザホール

  1. 01.SKY DRIVE
  2. 02.Lonesome George
  3. 03.Love Game
  4. 04.Kasareria
  5. 05.Maybe I’m Wrong
  6. 06.Samba de Bantha
  7. 07.追憶の街~ドラムソロ
  8. 08.Horizon
  9. 09.Teasin’
  10. 10.Golden Splash
  11. 11.Parallel World(feat.BASS Solo)
  12. 12.High Time
  13. 13.Rondo
【ENCORE】
  1. 01.明日への扉
  2. 02.Truth

お知らせ

■ライブ情報

安藤正容・坂東慧
「是方博邦 Twin Guitars Jam」

08/27(火) 目黒Blues Alley Japan

T-SQUARE CONCERT TOUR 2019
「HORIZON」

09/21(土) KOTORIホール(昭島市民会館)
11/08(金) 大分BRICK BLOCK
11/09(土) 大分BRICK BLOCK
11/10(日) 熊本B.9 V1

T-SQUARE featuring Philippe Saisse
~ HORIZON Special Tour ~

11/19(火) Billboard Live OSAKA
11/20(水) NAGOYA Blue Note
11/22(金) BLUE NOTE TOKYO
11/23(土) BLUE NOTE TOKYO
11/24(日) BLUE NOTE TOKYO

T-SQUARE Music Festival 2019
12/30(月) 日本橋三井ホール

T-SQUARE Music Festival 2019
~カウントダウンライブ 2019-2020~

12/31(火) 日本橋三井ホール

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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