前へ

次へ

Saucy Dog 先輩たちをゲストに迎えた「Two-Man Live『One-Step Tour』」

Saucy Dog | 2019.08.06

 Saucy Dogのライブツアー「Two-Man Live『One-Step Tour』」のファイナル公演が、Zepp DiverCityにて行われた。東名阪の三ヵ所で行われた今回のツーマンの相手は、大阪は04 Limited Sazabys、名古屋はクリープハイプ、そして今回の東京編はSUPER BEAVER。全公演に先輩バンドを迎えるというチャレンジングなライブではあったし、この日先発だったSUPER BEAVERのライブがべらぼうに良かったからこそ、こちらとしては「この後のサウシーが一体どんなライブをするのか?」ということが楽しみでもあり、親心的な緊張も生まれていた。けれど結果的にはそんな不安要素を抱いた自分が情けなくなるほどに、この日のSaucy Dogは堂々とした良いライブをしていた。「こうやってバンドは成長していくんだな」という、その大きな一歩を感じることのできたライブだった。

 ソールドアウトで完全満員状態の会場に登場したSUPER BEAVERは、「27」でライブをスタートさせた。4人が登場してたった数分。このたった1曲で、彼らがオーディエンスの感情の矛先を強力な「音楽」という磁力で引き付けたことが体感として伝わってきて身震いがした。言葉の力、曲の力、想いの強さ、培ってきたからこそ宿る説得力。それらが完全にプラスに働いた彼らのエネルギーは、「歓びの明日に」ではちきれんばかりに開花していた。

 MCで渋谷龍太(Vo)は、Saucy Dogの石原慎也(Vo・G)とせとゆいか(Dr・Cho)と共に今日をどんな日にしたいかを事前に酒を交わし合いながら語らったことを明かし、「『俺ね、バチバチにやりたいんすよ!』って彼(石原)は言ったんです。おい、慎也君よ。今なんつった?……受けて立つ!」と気合マックスの状態で「青い春」「閃光」に特攻していった。その格好良さは規格外だったし、その気迫や意気を引き出したのは石原の挑発があったからというのも一つだと思うが、単純に先輩として嬉しかったんじゃないかと思った。

 「赤を塗って」を終えた後のMCで、渋谷は「やつらの歌にはとっても力があります。グッとくるよね、嘘がないからだと思います。あいつらはすごく愚直だと思います、俺たちが言うのもなんだけど」と言葉にしていたが、それはバンドとして音楽に直向きに15年間続けてきたSUPER BEAVERから投げかけられる最高の賛辞だと思えたし、SUPER BEAVERもまた、年齢や活動歴関係なく自分が好きだと思えるバンドと出会え、こうして誘い誘われる関係になれたことが純粋に嬉しく、そして誇らしいと思えたのだろう。そういった敬愛の感情が、ラストの「予感」までひしひしと伝わってきた。

 SUPER BEAVERの「俺たちの大事な後輩なんで、よろしくお願いします」との締めの挨拶を受けて、いよいよステージに登場したSaucy Dog。石原、せと、秋澤和貴(B)がドラムセットの前で向き合い息を合わせると、「Saucy Dog始めます!」との石原の気合の宣誓をきっかけに「真昼の月」で快活にスタート!「バチバチにやりたい」というこの日のコンセプトを体現するように「ナイトクロージング」「ゴーストバスター」とアッパーチューンを続け、フロアいっぱいのクラップやハンズアップを巻き起こしていた。

 今回のツアーの趣旨についてせとは「ワンステップもツーステップも前に進んでいる先輩たちに、自分たちが一生懸命食らいついて成長したいという思いを込めた」と語り、今日の対バンについては「SUPER BEAVERの好きなところの一つなんですけど、ライブを観ているお客さんが同じ熱量になって、まるで全員でライブしているみたいなんですよね。そんな〈4人だけじゃないライブ〉っていうのがめちゃくちゃ大好きなんです」と、この日を彼らと迎えられた喜びを噛み締めながら語った。ツアーファイナルであること、そしてリスペクトしている先輩のライブに背中を押されながら3人で立っているステージであること、そのライブを観に来た大勢のオーディエンスが目の前にいること。そりゃあ感極まっちゃうよなぁと納得する要素が会場のあらゆるところに用意されていて、その全てが愛を以て3人を包んでいることの温かさを感じた。

 そして「僕が言われて一番悔しかった言葉を」との前置きを経て弾き語りから始まった「煙」を聴いた時に、曲に込められた感情が当時のそのままの空気感をもって開放されたような感覚がした。しかし、だからといってそこに過去に縋りついているような弱さではなく、「前に進んでいる今のSaucy Dogが歌っているんだ」という前向きさをしっかりと感じる。それを「成長」と呼ぶのだと思うし、石原が「虚勢でも強がりでも自分に自信を持っていないと、こうやって観に来てくれている人やメンバーに申し訳が立たないなと思って。ただの強がりでもいいなと思っているんです。これから自信を持てるように頑張っていきたいなと心から思っているので、渋谷さんには『バチバチにやりたいです』って言っちゃいました」と話していたが、そうやって自分の弱さを自覚して言葉にして発することができる時点で、彼らは十分強くなっているなと思う。

 そしてそういったバンドの成長を、例えばMCでの直接的な言葉からだけではなく、せとと秋澤が生み出すベースラインの包容力と、そこに乗る石原の伸びのある歌声、ふと織り交ぜられる感情的な声色の変化や唸るフレーズ、そういったものを全部ひっくるめた「バンドとしてのグルーヴ」から感じることができる。個人としてのスキル的な成長や年齢の経過はもちろんあるのだろうけれど、今のSaucy Dogはきちんと「3人一緒にやってきたからこそ生み出せるバンドの高まり方」を感じさせてくれる。だからこそ、「wake」や「いつか」などの初期楽曲も殊更強く響いてくるし、最新曲「雀ノ欠伸」の新鮮さにワクワクするのだろう。

 それでも彼らの一番大事な芯の部分は変わっていなくて、せとが「ここに来てくれているみんなと私たちが、最高に楽しい時間を一緒に過ごすことが一番」、石原が「今日ここでライブをしながらみんなの表情を見ていると、改めてここにいるひとりひとりに伝わる歌を歌っていきたいなと思いました。こうして音楽で伝えることができることが一番幸せだなと思っています」という言葉が全てだった。

 本心を曝け出すことに怯え挫けそうになり、焦りばかりが募ったかつての日々を乗り越え、自分が本当に大事にしていきたいと思える人や信念、音楽と出会えた今の彼らが歌う《ぶつかった壁乗り越えずただ腐って/泣いた日々に手を振ったグッバイバイ》というラストチューン「グッバイ」の歌詞が、いつもより強く深く心に響いた。Saucy Dogには、このままでいてほしい。それは現状維持をしてほしいという意味ではもちろんなくて、迷わずにこのまま真っ直ぐに突き進んでほしい。心からそう思えるほど、この先の更なる成長を楽しみにさせてくれる素晴らしいライブだった。

【取材・文:峯岸利恵】
【撮影:白石達也(Saucy Dog)、青木カズロー(SUPER BEAVER)】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル Saucy Dog SUPER BEAVER

リリース情報

ブルーピリオド

ブルーピリオド

2019年10月02日

MASH A&R

01.雀ノ欠伸
02.ゴーストバスター
03.スタンド・バイ・ミー
04.Humming
05.届かない
06.Tough
07.月に住む君

セットリスト

Saucy Dog Two-Man Live
「One-Step Tour」
2019.7.25@Zepp DiverCity(TOKYO)

SUPER BEAVER
  1. 01.27
  2. 02.歓びの明日に
  3. 03.青い春
  4. 04.閃光
  5. 05.赤を塗って
  6. 06.シアワセ
  7. 07.秘密
  8. 08.予感
Saucy Dog
  1. 01.真昼の月
  2. 02.ナイトクロージング
  3. 03.ゴーストバスター
  4. 04.煙
  5. 05.Wake
  6. 06.メトロノウム
  7. 07.マザーロード
  8. 08.雀ノ欠伸
  9. 09.バンドワゴンに乗って
  10. 10.コンタクトケース
  11. 11.いつか
  12. 12.グッバイ

お知らせ

■ライブ情報

ブルーピリオド Release tour
「いつだって今日がはじまりツアー」

10/18(金) 北海道 札幌ペニーレーン24
10/19(土) 北海道 札幌ペニーレーン24
10/25(金) 宮城 仙台Rensa
11/07(木) 福島 郡山#9
11/09(土) 新潟 NEXS NIIGATA
11/10(日) 長野 長野CLUB JUNK BOX
11/14(木) 福岡 福岡イムズホール
11/16(土) 香川 高松MONSTER
11/17(日) 広島 広島CLUB QUATTRO
11/22(金) 大阪 なんばHatch
11/23(土) 愛知 名古屋ダイアモンドホール
11/28(木) 東京 Zepp TOKYO<TOUR FINAL>

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る