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BLUE ENCOUNTがツアー初日に千葉LOOKでワンマンライブをするということ――「B.E. with YOU」初日独占レポ

BLUE ENCOUNT | 2019.09.30

 結成15周年、そしてメジャーデビュー5周年という節目を迎えたBLUE ENCOUNTのツアー、全22公演にわたるBLUE ENCOUNT TOUR2019「B.E. with YOU」。その初日の会場としてブルエンが選んだのは千葉の老舗ライブハウス、千葉LOOKだ。本編中に田邊駿一(Vo・G)も言っていたように、たしかにこのハコには「ツアー初日」というイメージがある。しかし意外なことに、ブルエンがここでワンマンをやるのは今回が初めてだ。キャパシティはおよそ200人、まさにライブハウスらしい雰囲気と距離感をもったこの場所から、なぜ彼らはこのツアーを始めようと思ったのか。その問いの答えを見つけに、会場に駆けつけた。なお、いうまでもなくツアーは始まったばかりなので、ここで演奏された楽曲についてすべての詳細を書くことはできないし、しない。そのぶんフロアに充満していた熱気やバンドが放っていた光についてしっかりレポートしたいと思う。

 SEが鳴り響き、江口雄也(G)、辻村勇太(B)、高村佳秀(Dr)、そして田邊が登場し、「始めるよー!」の掛け声から1曲目の第一声を発した瞬間、耳をつんざくような歓声が沸き起こった。2曲目も、3曲目も、イントロが鳴るたびに声を上げて歓迎するオーディエンス。もちろんフロアはすでにもみくちゃ、クラウドサーファーも続出だ。というか、なんだこのセットリスト! 初期曲にレア曲、とにかくブルエンのレパートリーのなかでも速くて激しくて攻撃的なナンバーを連打。ステージの上、ぎゅうぎゅうに詰まったセットのなかで、江口も辻村も体を激しく動かしながら弾き倒す。序盤の3曲ですでにヤバい夜になりそうな予感がプンプンする。

 「遮るもののないこの場所、今まででいちばんいい初日にしようと思って来たんです」とツアー初日の意気込みを語る田邊。「今日はいちばんコアな奴らが集まってるんだろ?」とフロアにけしかけると、ますますフロアのボルテージは上がっていく。その後も新旧織り交ぜつつ、あえてライブのド定番を避けながらセットリストは進む。ラウドな曲、ファストな曲、ポップな曲……まるでブルエンが辿ってきたジグザグの道のりを象徴するかのような幅広さだ。1曲終わるごとにフロアのあちこちで落とし物の落とし主を探す光景もいつものことだが、靴とかメガネならまだしも、学校の制服のシャツ(?)に買ったばかりの物販までが宙を飛び交うような状況が、タガの外れたオーディエンスのテンションを物語る。「どうだ、セトリ半端ねえだろ?」と自慢げな田邊。「堅苦しい感じにしたくなくて。なんでもない感じでやります」という言葉のとおり、手を伸ばして触れた引き出しを片っ端から開けていくようなライブである。最強の曲を作って、それを全力で鳴らし、目の前の奴らに叩きつける。そこには長ったらしいストーリーも理路整然とした背景も必要ない。そんなライブを通して、ブルエンが何かを取り戻し、新たな光を放ち始めるように僕には見えた。

 7曲を終えたところでちょっと長めのMC。この千葉LOOKにこれまで出演したときのことを振り返っていく、ところまではよかったが、そこから急に「ここは楽屋にトイレがない」、つまりトイレはお客さんと兼用であるという話題から、江口が本番3分前に用を足しに行った(しかもステージ衣装からわざわざ私服に着替えて)というしょうもない話に落ちていく。それもまたブルエンらしいというか田邊らしい。しかし真骨頂はここからで、予想以上にハイペースでライブが進んできたことを受けてその場でメンバーで話し合い、急遽2曲追加することを決定。さらにその2曲を織り込んだ流れ(途中でMCを入れるか、ぶっ続けで走るか)までもオーディエンスとともに決めていく。「あなたたちがやれって言うからやるんだよ! どういう意味かわかる?」――そう叫んだのは田邊ではなく高村だ。

 そう、これだ。きっとブルエンがこの日求めていたのはこれだったのだ。小さなライブハウスに集まり、汗もツバもかかるような距離感で一緒に音を鳴らす。「あなたと一緒にロックスターになれればいいんだよな」と田邊も言っていたが、つまりそういうことなのだ。「どうやったって『B.E. with YOU』なんだと思ってる」。ブルエンのド真ん中を再び射抜いたミニアルバム『SICK(S)』ができるまでにはバンド内での激しい議論があったそうだが、それを超えて結束したバンドが、今度はもう一度「あなた」を全力で巻き込もうとしている。その思いがこの初日のカオティックなライブを生んでいたのだ。

 怒涛の後半戦を経て、本編最後に演奏されたのは「VS」。暴れ馬のようなリズムとギター、重戦車のようなベース、そしてその上で軽やかに踊るような田邊の歌。フロアからはでっかいシンガロングや手拍子が巻き起こった。アンコールでは恒例の高村による物販紹介(ただし、この日は「時間があるなら曲を届けたい」ということでものすごく短かったけど)を経て、アニメ『僕のヒーローアカデミア』第4期オープニングテーマとなっている新曲「ポラリス」を披露。「やっと自信をもって、守ると決めた約束を守れそうだなって思えた」という田邊の言葉を裏付けるような力強いメロディがキラキラと眩しかった。そしてラストを「バッドパラドックス」で締め、田邊はフロアに向かって「また絶対帰ってこいよ!」と呼びかけた。「あなたの帰る場所になる」というのはブルエンがずっと届けてきたメッセージだが、それをこんなふうにフランクに、当たり前のように言えること自体が、決して短くない時間を重ねてここまで来た今の彼らの強さを物語っているように思えた。

【取材・文:小川智宏】
【撮影:佐藤哲郎】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル BLUE ENCOUNT

リリース情報

バッドパラドックス

バッドパラドックス

2019年09月11日

Ki/oon Music

01.バッドパラドックス
02.VS(HALL TOUR 2019 apartment of SICK(S)@中野サンプラザ06.21)
03.もっと光を(HALL TOUR 2019 apartment of SICK(S)@中野サンプラザ06.21)

お知らせ

■ライブ情報

BLUE ENCOUNT TOUR2019
「B.E. with YOU」

10/01(火) [宮城]仙台Rensa
10/02(水) [宮城]石巻BLUE RESISTANCE
10/04(金) [北海道]札幌PENNY LANE24
10/06(日) [北海道]北見ONION HOLL
10/09(水) [石川]金沢EIGHT HALL
10/10(木) [新潟]新潟LOTS
10/12(土) [静岡]浜松 窓枠
10/14(月・祝) [香川]高松festhalle
10/16(水) [京都]京都MUSE
10/17(木) [和歌山]和歌山SHELTER
10/19(土) [山口]周南RISING HALL
10/20(日) [広島]広島CAVE BE
10/26(土) [鹿児島]鹿児島CAPARVO HALL
11/01(金) [大阪]Zepp Osaka Bayside
11/02(土) [大阪]Zepp Osaka Bayside
11/08(金) [福岡]Zepp Fukuoka
11/09(土) [福岡]Zepp Fukuoka
11/15(金) [名古屋]Zepp Nagoya
11/16(土) [名古屋]Zepp Nagoya
11/20(水) [東京]Zepp Tokyo
11/21(木) [東京]Zepp Tokyo

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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