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踊Foot Works初の5大都市ライブ、渋谷 CLUB QUATTRO「GOKOH FINAL」

踊Foot Works | 2019.12.20

 パンパンに膨れ上がった満員のフロアが、バンドの現状を雄弁に物語っている。11月22日金曜日、渋谷CLUB QUATTRO、セカンド・フル・アルバム『GOKOH+KAMISAMA』を引っ提げて臨む、踊Foot Worksの東京公演。バンドにとってはこれがファースト・ツアー、どんなテンションで挑むのか? 12月20日には大阪公演も控えているのに、なぜ「GOKOH FINAL」か? アルバムの精密なサウンドのディテールを、いかにライブで再現するか? 新進気鋭のHIP HOPバンド、期待渦巻く中、未知の音楽体験の幕が開く。

 オープニングから、いきなりかっこいい。DJ/コーラスのfanamo’がふらりと現れ、機材のスイッチを入れると、おもむろに「HELAGI」のメランコリックなメロディを歌い出す。フードを目深にかぶったMCのPecoriがマイクを引き継ぎ、ギターのTondenhey、ベースのSunBalkan、サポート・ドラムの澤村一平(SANABAGUN.)が位置に付く。続く「髪と紺」も、スローなヒップホップ・チューンだ。盛り上がる準備万端のオーディエンスを焦らすような、前戯代わりのクールな2曲。なかなかのテクニシャンとお見受けする。

 ここから一気にラウドでファンキーな「JELLY FISH」へと展開する、急激なギア・チェンジにフロアが弾けた。技巧派6弦ベース、ストイックなカッティング、MCとDJの掛け合いボーカルで贈る、たっぷりとラウドなミクスチャー・ロック。グッと腰を落としたミドル・テンポの「19Kids Heartbreak」では、溜めの効いたワウ・ギターと、スラップ・ベースが太いグルーヴを作り出す。フロアからも良く手が上がってる。ざっくりと、マニアックなヒップホップファンでもなく、パーティーピーポーとも違う、新しくてセンスのいい音楽を好みそうな若い善男善女。なんだか居心地がいい。

「楽しむ準備はできてますか?」

 Pecoriが、ここでは書けない下品なフレーズを交えてフロアを煽った。ブルーに染めた短髪と、ヘアバンドがなんとなくNARUTOっぽい。「Bebop Kagefumi」ではシャ乱Q「ズルい女」を、「GOKOH」では安全地帯「ワインレッドの心」を引用したり、かます小ネタがいちいち可笑しい。「歌え!」とけしかけるPecoriの声に応え、全員が「GOKOH」のサビを合唱する。終わらない愛の話をしたくて――。Pecoriの書くリリックは時にシュール、時に感覚的だが、とても繊細でロマンチックなものが多い。もう少しはっきり聴こえると嬉しいけれど、ここはライブ、まずは体感で盛り上がろう。1曲ごとにラテン・ハウス、レゲトン、ダンスホール、ディスコと、踊れるビートをこれでもかと繰り出すバンドの腕は申し分ない。「メスゴMIRROR」から「VIRTUAL DANCER」へ、アルバム『GOKOH+KAMIMSAMA』からの骨太ロックでファンクな曲をぶちかますと、ライブもそろそろ中盤だ。

「こんだけ人がパンパンに入ってくれて嬉しいです。これからも頑張っていきます。応援してくれますか?」

 Pecoriが試合後のヒーロー・インタビューみたいな、真面目なことを言ってる。かと思えば、「Diggy-MO’のフロウに似てるってよく言われるんだよ」という前振りからの、まさかのSOUL’d OUT「TOKYO通信」の完コピ攻撃。事前にみんなで練習したんだろうなと思うと、ニヤニヤが止まらない。さっきのシャ乱Qといい安全地帯といい、踊Foot WorksのルーツにはJ-POPの素材も濃厚に入っているのだろう。クールだけど人懐こい、ハイセンスだがスノッブではない、独特のたたずまい。

 超ラウドでファンクなミラーボール・チューン「逆さまの接吻」から、Pecoriのポエトリー・リーディングを経て「PRIVATE FUTURE」へ。ここにいるみんな、神がかってる――。どういたしまして、バンドのグルーヴこそ神がかってる。ファンクもメタルもヒップホップも飲み込んだ壮絶な展開に目が回り、一転して「nightcrawler」は、Pecoriのラップの凄みとTondenheyの速弾きソロが光るトラップ・チューン。「ギラギラしたいから、ケータイつけてくれ」というPecoriの呼びかけに応え、「GIRAGIRA NEON」ではフロアから放たれる光が会場を覆いつくす、幻想的なシーン。流線形が踊ってる、痛みを閉じ込めたまま――。ミドル・テンポのうねるビートに乗せて、切なさをたたえた言葉のイメージが乱反射する。

「ありがとう。きれいだったよ。一人一人の顔が見えました」

 残り2曲、アンコール入れて5曲!と、PecoriのぶっちゃけMCにフロアが沸いた。曲は「milk」、そして「NDW」。やまない雨に打たれてる/醒めない夢を見られてる――。対になるリリックが最高にかっこいい、サビはまたしても大合唱になった。個性豊かなミュージシャンが織りなす、現代的な都会の若者の音楽としての、刺激的なミクスチャー・サウンド。その上で詩的でコンシャスな言葉がしっかり届いている。これが踊Foot Worksか。

 アンコール。Pecoriを真ん中に4人が寄り添う、4本マイクの競演「SEASONS」は最高だった。Tondenheyとfanamo’がラップを決め、SunBalkanがオートチューンでメロディアスな旋律を歌う、四者四様の個性が光ってる。明るいクラップのサンプリングに導かれた「NEASE」から、キャッチーダンス・チューン「Tokyo Invader」へ、ドライブ・ミュージックにぴったりの滑らかなビートが心地よい。ミラーボールを3個も奢って、フロアにキラキラ星が降る。なんてピースフルな、光あふれるエンディング。

 そう、ここまでの曲は、もらったセットリストに書いてある。だからこの先は、誰も知らない本当のアンコールだ。鳴りやまない手拍子に応えて戻ってきたメンバーを代表して、Pecoriが感謝の言葉を述べる。そして、新たなインフォメーション。「新曲作ってます。クリスマス、楽しみにしていて」と「2020年5月3日、結成3周年、リキッドルームで会いましょう」の、二つのアナウンスにフロアが沸いた。どんどん大きくなる踊Foot Worksのネットワーク。この日の本当のラスト・チューン「Mooneyes」を演奏するメンバーも、オーディンスもみんな顔がほころんでる。最後にPecoriが派手な前転を決めて、Tondenheyが大笑いしてる。

全18曲で1時間半、コンパクトな中にバンドの魅力を濃縮還元したショー・タイム。間違いなく今が、いやこれからが旬のバンド。今観ておくべきだと思う。

【取材・文:宮本英夫】
【撮影:小見山峻】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル 踊Foot Works

リリース情報

new album with newest single “GOKOH + KAMISAMA”

new album with newest single “GOKOH + KAMISAMA”

2019年07月03日

ビクターエンタテインメント

including CD-1: album “GOKOH”
01. 2019 IN EXCAVATE
02. JELLY FISH
03. 髪と紺 feat. AAAMYYY
04. HORSEMAN DRIFT ROMANCE
05. PRIVATE FUTURE
06. HELAGI
07. VIRTUAL DANCER
08. NEASE
09. GIRAGIRA NEON
10. テレコになって
11. SEASONS
12. GOKOH feat. オカモトレイジ

CD-2: single “KAMISAMA”
01.KAMISAMA
02.メスゴMIRROR

セットリスト

GOKOH FINAL
2019.11.22@渋谷 CLUB QUATTRO

  1. 00. HELAGI
  2. 01. 髪と紺
  3. 02. JELLY FISH
  4. 03. 19Kids Heartbreak
  5. 04. Bebop Kagefumi
  6. 05. GOKOH
  7. 06. KAMISAMA
  8. 07. メスゴMIRROR
  9. 08. VIRTUAL DANCER
  10. 09. 逆さまの接吻
  11. 10. PRIVATE FUTURE
  12. 11. nightcrawler
  13. 12. GIRAGIRA NEON
  14. 13. MILK
  15. 14. NDW
  16. en1. SEASONS
  17. en2. NEASE
  18. en3. Tokyo Invader

お知らせ

■ライブ情報

ODD FOOT WORKS
2020/05/03(日)恵比寿LIQUIDROOM

Young Bloods vol.14
2020/03/08(日)新代田FEVER

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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