前へ

次へ

挑戦と葛藤を繰り返しながら若き6人がたどり着いた、熱狂のリキッドワンマンを徹底レポート!

AliA | 2019.12.27

 バンド結成から現在に至るまで、わずか1年5ヵ月だ。AliAに思いを馳せるとき、いつもそのすさまじいスピード感にクラクラと眩暈を覚えそうになる。なにせ結成して7ヵ月で大注目のミニアルバム『AliVe』とともに華々しくデビュー。それとほぼ同時に全国24ヵ所に及ぶ「AliA First Tour『AliAliVe 2019』」を敢行し、最終日には東京・渋谷クラブクアトロにてバンド初のワンマンライブをソールドアウトの大成功に収め、さらに今年9月には早くも2ndミニアルバム『realize』をリリースしたかと思えば、それを引っ提げて台湾、香港公演を含めた全42ヵ所を回るツアー「AliAliVe 2019 -realize-」を開催、と想像を絶する大波を全力で乗りこなし、今なおその進化を増幅させているのだから、もはや驚異としか呼べない。12月18日、いよいよ迎えた「AliAliVe 2019 -realize-」のファイナル公演、東京・恵比寿リキッドルーム。AliAにとって最大規模のワンマンライブとなったこのステージは、彼らのハイブリッドにして唯一無二な音楽性のさらなる洗練と、揺るぎない確かさを手に入れたバンドとしての瞠目すべき成長を、ありありと見せつけるものだった。

 バンド史上最大のキャパシティを記録する会場でありながらもチケットは見事ソールドアウト。ぎゅう詰めになって彼らの登場を待つオーディエンスの目はもれなくキラキラと輝いている。台湾、香港公演を終え、9月21日より本格的にスタートした今ツアー、約3ヵ月弱という期間で40本を回り抜いたバンドへの期待をそのまま映し出したかのような輝きだ。AliAと一緒に冒険の旅へと誘う、BOB(Dr)による開演を告げるファンタジー風味のアナウンスに大爆笑のオーディエンス。ほどなくして壮大な予感を孕んだSEが流れ出すや、温まった空気はひときわの熱を帯びてフロアいっぱいに充満した。暗転したステージに鳴り渡るTKT(Key)の流麗なピアノ、そこにRINA(Vn)が奏でるバイオリンの旋律が重なって描かれるたおやかなサウンドスケープ。美しい音色にうっとりと酔いしれたのも束の間、EREN(Gt)、SEIYA(Ba)、BOBによるダイナミックなバンドサウンドが一斉に加わって、アンサンブルが躍動する。最後にステージに姿を現したAYAME(Vo)が拳を突き上げると、オーディエンスの興奮は一気にピークに達した。

 彼らが1曲目に選んだのは「joker」だった。ソフトバンクホークスの「鷹の祭典2019」光のセレモニーのテーマソングとして書き下ろされた楽曲であり、AliAの存在を音楽ファン以外にも広く知らしめるきっかけとなった曲だ。不屈の闘志と勝利への意志が疾走感溢れるサウンドと相まって聴く者の心を激しく揺さぶる。すぐさま起こったハンドクラップの嵐、場内に渦巻く大合唱がその証拠だろう。オートチューンをかけたボーカル、危うさを煽ってなお攻撃的なサウンドがフロアの熱狂の火に油を注いだ「Discord」。一転、「ここにいる全員で楽しみたい曲を用意してきました。僕、直前にツイートしたんですけど、タオル用意してくれました? でも持ってなくても大丈夫! 気持ちを拳に乗せて高く高く突き上げてください!」と明るく呼びかけるSEIYAに応え、フロアがひとつになって盛り上がった「ユートピア」。大切な君への想いを精一杯の素直な言葉で歌ったバラード「letter」では情感豊かなバイオリンソロが曲への導入となって聴き手をやさしく誘い、また緩急自在なドラムソロから「impulse」へと一気呵成になだれ込む急加速ぶりが後半戦に向かって狂騒をさらにブーストさせる。メンバー一人ひとりが卓抜した腕の持ち主だからこその見せ場を随所に配せるのも、AliAというバンドの強みに違いない。イントロや間奏、曲と曲の間をつなぐインストナンバーなど、これほどまでに楽器の音を堪能させてくれるバンド、特に若手はそういないのではないか。それぞれの音楽に懸ける想いを一音一音にしっかりと具現化して鳴らすことができる楽器隊と、その想い一つひとつを逃さず吸収して歌とともに吐き出せる圧倒的歌唱力のボーカリスト。稀有なバンドだと改めて思う。

 メンバー全員、今日のライブに母親が観に来ていることが発覚したり、ツアーの思い出を語り合ったり、ひと言も発しないTKTを焚き付けて「恵比寿――っ!」と生声のシャウトを響かせたりとMCは実に和気あいあい。そうしたなか、今日がバンドにとって記念すべき100本目のステージであることが明かされた。「記念すべき日だからこそ、何かしたいなと思って、新曲を持ってきました!」とAYAME。新曲と言えどもみんなで楽しみたい、一緒に歌って踊りたいと簡単な振り付け指導もなされたが、本当に初めて?と訊ねたくなるくらい、オーディエンスの息がぴったりなことに驚いてしまう。そうして披露されたのが「happy birthday?」とタイトルされた1曲だ。テンポ感のあるリズミカルなナンバーながら、歌詞にはのっぴきならない何かが秘められていると言おうか、単に歌って踊って発散すればOKではない、AliAらしいメッセージ性が宿っているようにも感じられる。「こんなもんじゃ終わらないよな! 頭振れ!」とAYAMEがアジテートすればフロアはたちまちヘッドバング大会。「最高なんじゃない? じゃあ次は一緒に歌ってくれますか!」とシンガロングの渦を巻き起こす。オーディエンスを巻き込み、一緒にライブを作り上げていく力を着実にツアーで身につけてきたのだろう。もとより芯の据わったバンドだったが、今の彼らにはライブバンドとしての自信と太さが備わっていて頼もしい。初めてこのステージを観た人に彼らが結成1年5ヵ月だと言ってどれだけ信じてもらえるだろうか。

 続けてバラードの新曲「ムツノハナ」も演奏。鬼気迫るサウンドとメンバー全員によるコーラスがドラマティックな「イドラ」を経て、エモーショナルなギターを先導に突入した「かくれんぼ」によって築き上げられたこの上ない一体感ときたらなかった。『AliVe』のリード曲であり、AliAの象徴ともいうべきこの曲。MVの再生回数は250万回超を記録し、ライブでも毎回のように演奏され、バンドとともに育ってきた曲でもある。《もういいかい?まーだだよ》がついに《もういいかい?もういいよ》になるカタルシス、夢に向かって走りだす昂揚をここに集った全員で共有できる幸福が音になり、歌になって鳴り響く。

 「恵比寿リキッドルームはバンドマンからしたらすごく憧れのステージで、そんな場所がソールドアウトして、AliAを聴いてくれる人がこんなにも集まってくれるなんて信じられないことです。今日、ここを選んでくれて本当にありがとう」

 本編最後のMCでAYAMEがそう感謝を口にした。そして、自分にことを話したいと思う、と前置きし、怒涛の今ツアーを振り返る。3ヵ月足らずで40本というライブ本数はなかなか普通では経験できないこと、決まったときは正直大丈夫かなと思ったこと、喧嘩もするだろう、声はもつのだろうか等、いろんな想いを抱えてスタートしたこと。実際に途中で声が出なくなり、プロ失格だ、人前に立つ資格なんてないとまで思い詰めた時期もあったという。

 「でも、ずっとひとりで抱え込んでた私を助けてくれたのは、メンバーとチーム、そして聴いてくれるあなたでした。私はひとりじゃないんだなって22年間生きてきて初めて思えました。だから支えられたぶん、みんなに笑顔になってほしい。きれいごとかもしれないです。でも私はみんながずっと笑顔であってほしいと心から思ってます。しんどい毎日、生きているのがイヤだと思ってるかもしれない。私と同じような気持ちでいるかもしれない。それでもここだけは思いっきり騒いで歌えて手を挙げられる、そういう空間をずっと作っていきたい。私はここであなたと一緒にずっと生きていきたいと思ってるから」

 そうきっぱりと言い切ったAYAMEの声は少し震えているようにも聞こえた。でも、だからこそ心からの言葉なのだと信じられる。傍から見れば彼らの歩みは順風満帆なのかもしれない。だが実際には満身創痍になりながら、それでも必死に夢を追いかけている普通の若者たちだ。真っ正直で不器用で、けれど、諦めることだけはけっしてしない。そんな決意と覚悟がAliAをここまで連れてきたのだろう、きっと。本編ラストを飾ったのは『realize』のタイトル曲「realize」。渾身の歌声、全身全霊のサウンドがオーディエンス一人ひとりに降り注ぐ。《気づいてよ 僕はここにいる》、なんと切実な希望だろうか。

 2020年が明けてすぐ、AliAは世界のステージへと旅立つ。北米、ヨーロッパ、ロシア、アジアを股にかけた15公演に及ぶワールドツアー「AliAliVe2020 Around the World -Re:AliVe-」だ。さらにこの日はその旅の続き、AliAにとってまたもや初となる国内9都市ワンマンツアーの開催も発表された。3月28日の宮城・SENDAI CLUB JUNK BOXに始まり、ファイナルはなんと東京・マイナビBLITZ 赤坂だ。最高を常に更新し続ける彼らの次なる挑戦を見届けなければ――アンコール2曲を終えたあと6人全員が肩を組み、「ありがとうございました!」と声を揃えた清々しい笑顔を見送りながら、強くそう誓った。

【取材・文:本間夕子】
【撮影:青木カズロー】

tag一覧 J-POP ライブ 女性ボーカル AliA

関連記事

リリース情報

realize

realize

2019年09月18日

SLIDE SUNSET

01. realize
02. Discord
03. ユートピア
04. インストップデート
05. letter
06. イドラ
07. joker

セットリスト

AliAliVe2019-realize-
2019.12.18@恵比寿LIQUIDROOM

  1. ~open SE & Inst~
  2. 01.joker
  3. 02.Discord
  4. 03.ユートピア
  5. ~Vn.solo~
  6. 04.letter
  7. 05.limit
  8. ~Dr.solo~
  9. 06.impulse
  10. 07.happy birthday?(新曲)
  11. ~Inst~
  12. 08.ムツノハナ(新曲)
  13. 09.イドラ
  14. 10.かくれんぼ
  15. 11.realize
【ENCORE】
  1. 01.インストップデート
  2. 02.Simple

お知らせ

■ライブ情報

AliAliVe2020 Around the World -Re:AliVe-
[USA + CAN]
2020/01/04(土) San Francisco Slim’s
2020/01/05(日) Los Angeles The Roxy Theatre
2020/01/08(水) Vancouver Biltmore Cabaret
2020/01/10(金) New York City The Gramercy Theatre

[EUR]
2020/01/18(土) London Dome
2020/01/20(月) Paris Backstage By the Mill
2020/01/22(水) Barcelona Boveda
2020/01/24(金) Munich Strom
2020/01/25(土) Berlin Lido
2020/01/27(月) Warsaw Club Proxima

[ASIA]
2020/02/29(土) Singapore Scape The Ground Theatre
2020/03/01(日) Kuala Lumpur The BEE
2020/03/03(火) Bangkok Lido Connect Hall 2
2020/03/06(金) Hong Kong Music Zone @ E-MAX
2020/03/08(日) Taipei Clapper Studio

[JPN]
2020/03/28(土) 宮城 SENDAI CLUB JUNK BOX
2020/03/29(日) 新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
2020/04/11(土) 愛知 THE BOTTOM LINE NAOGYA
2020/04/12(日) 広島 SECOND CRUTCH
2020/04/18(土) 香川 高松DIME
2020/04/19(日) 福岡 DRUM LOGOS
2020/04/24(金) 北海道 PENNY LANE 24
2020/05/03(日・祝) 大阪 BIGCAT
2020/05/05(火・祝) 東京 マイナビBLITZ赤坂 ※ファイナル

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る