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名古屋インディーシーンの雄、TRUST RECORDSの気鋭6バンドが東京・恵比寿LIQUIDROOMに集結! 「TRUST NIGHT 2019」徹底レポート!

TRUST RECORDS | 2019.12.27

 BACK LIFTやENTHを始め、全国区のバンドを数多く輩出してきた名古屋インディーシーンの雄、TRUST RECORDS。そのTRUST RECORDSによるレーベルイベント「TRUST NIGHT」が、東京・恵比寿LIQUIDROOMで開催された。出演アーティストはカネヨリマサル、ニアフレンズ、SAME、moon drop、KUZIRA、Makiの6組。まさに今シーンの最前線でしのぎを削る注目のバンドたちだ。音楽性もパフォーマンスの方向性もバラバラだが、レーベルと集まったお客さん、そして音楽へのリスペクトと愛情だけはみんな同じ。それぞれのやり方で未来に向けて旗を掲げるような熱い一夜の模様をレポートする。

 なお、イベントの開演直前には楽屋にて出演バンドのフロントマン全員による座談会インタビューも実施。こちらの「小川智宏のライブ閑話」をチェックしてほしい。




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 出演バンドだけじゃなく、TRUST RECORDS所属のバンドやそれ以外のバンドまで、さまざまなバンドTに身を包んだキッズがフロアに押しかけるなか、くるりをBGMにステージに最初に登場したのはカネヨリマサル。TRUST RECORDSとビクターが立ち上げた新レーベル「D.T.O.30.(DON’T TRUST OVER 30.)」から10月にミニアルバム『かけがえなくなりたい』でデビューを果たしたばかりの3ピースガールズバンドだ。パワフルなドラムとギターのコードが鳴り渡る「グッドバイ」からライブをスタート。時折3人で視線を交わしながら、感情を丸めて投げつけてくるように、ギリギリのバランスで成立しているようなギターロックを鳴らしていく。「今日はレーベルの一員として出れてうれしいです。TRUST RECORDSのガールズバンド代表になれるように頑張ります」。そんなちとせみな(Vo/Gt)の初々しいMCとポップな佇まいとは裏腹に、その曲の切れ味は鼓膜をビリビリと震わせ、心をざわつかせる。バンドを続けていく意志を堂々と示す言葉に続いて、最後は新曲「まだ」を披露。フロアから拍手が起きるなか、深々とお辞儀をして、3人は去っていった。


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 2番手として登場したのはニアフレンズ。始まる直前、舞台袖で組んだ円陣の掛け声が聞こえてきて、おお気合い入ってんなあとうれしくなる。池田篤(Vo/Gt)が静かにギターをかき鳴らし歌い始めたのは「東京、問う今日」。池田の歌にバンドのサウンドが重なってきて、言葉とメロディが走り出す。今年1月にメンバーふたりが脱退しソロプロジェクトの形になっているものの、パフォーマンスと音はどこまでもロックバンドだ。「夢、見てますか!?」と叫んで「未だ見ぬ明日へ」。本人も言っていたとおり、ニアフレンズのライブを初めて観る人も多いであろう今日のイベントだが、池田はまるで10年来の親友に語りかけるように歌を歌う。そのまっすぐに光を放つような楽曲たちも、池田が曲の合間合間に叫ぶ言葉も、暑苦しいのにすっと胸に入ってくるのは、そこに嘘がひとつもないからだろう。2020年1月にミニアルバムをリリースすると宣言すると、新曲「アフタースクール」を披露。ゆったりとしたメロディがLIQUIDROOMを包み込んだ。ラストはギターを捨てた池田が切ないメロディをハンドマイクで歌う「ワールドエンド」。完全に心を掴まれたオーディエンスによるシンガロングが美しかった。


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 続いては、三重発SAMEの出番だ。「いちばんきれいな景色見せてくれ!」という橋本卓磨(Vo/Gt)の叫びに歓声で答えるオーディエンス。キラキラとギターサウンドが弾け、力強く踏まれるバスドラが手拍子をいざなう「LIFE」からさらにポップに加速する「ペパーミント」という流れから始まったライブは、終始眩いばかりの光と人懐っこいキャラクターが弾ける、気持ちのいいものだった。それは当の本人たちにとっても同じだったようで、橋本は「どこまでも声が響くなあ。めちゃくちゃいい感じ。ありがとう!」と楽しそうだ。「今日はTRUSTを好きで信じてる人だけが集まってると思ってんねん。そういう人ならなおさら信じたい。もっと近くに来てくれ」――橋本と大橋武留(Gt/Cho)のコーラスがステージ上の揺るぎない信頼関係を、そしてフロアから巻き起こるシンガロングがステージとフロアの絆を浮かび上がらせる。「俺らとみんなの始まりの曲や」と鳴らされた「青い鳥」、そして「ジャーニー」を経て「大丈夫や、俺らはまだ腐ってへんぞ!」という橋本の言葉とともに鳴らされたラストの「Canvas」は、メンバーチェンジを経て新たな物語を紡ぎ始めた彼らの未来を照らすように響いた。


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 後半戦最初のアクトは三重県伊勢から登場したmoon drop。6バンドが6バンドともキャラが違う、というこのTRUST NIGHTのラインナップの中でも、とりわけ際立つ個性を持ったバンドだ。浜口飛雄也(Vo/Gt)は登場するなり「おはようございます! あ……(時計を見て)こんばんは!」と天然ぶりを発揮。「最高のラブソングを今日も歌いますので!」という言葉も屈託がないが、この日彼らが見せたものは、ただ「最高のラブソング」以上の、ロックバンドとしての頼もしさのようなものだった。2曲目「ドラマチック」で「日常を壊しにきたんでしょ?」という言葉とともにがらっと風景を変えてみせると、真新しい赤いギター(この日おろしたらしい!)を誇らしげに掲げてみせる浜口。「今夜も目の前にいてくれてありがとう。またTRUST NIGHTのステージに立ててます。僕らに期待してきたんですよね?」というMCを挟んで披露された「花束のかわりに」、そして「あんたらにはロックバンドがついてるぞ!」という力強い宣言も飛び出した「アイボリー」。どの曲も確かな手応えと意志をもって鳴り渡った――そんなライブだからこそ、ラストの「君に捧ぐ」で自然にシンガロングが発生したのは必然だったと思う。


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 そして、トリ前というポジションで大歓声を受けてステージに立ったのは、岐阜から現れたメロディックパンクの新星KUZIRAだ。1曲目「Backward」からクラウドサーフが起き、フロアもこのバンドを待っていたことが窺える。熊野和也(Ba/Vo)が「まだまだ足りんぞ!」と煽れば、オーディエンスからもますますどデカい声が上がる。さらに「In The Deep」「Blue」とキラーチューンを畳み掛け、スカダンとヘドバンが大量発生した「Clown」を終えると末武竜之介(Vo/Gt)が「どうも! 岐阜県KUZIRA、よろしくお願いします! 元気かー?」と挨拶。「今日は周りのことなんか気にしないでください。最後までかっこよくいきましょう!」とさらにフロアにけしかける。その後は息つく間もないショート&ファストチューンの嵐。モッシュもクラウドサーフも続出だが、その一方でフロア後方で気持ちよく身体を揺らすオーディエンスも。フックをちゃんと持った楽曲たちだからこそ、それぞれが自由な楽しみ方で受け取れる。そんなKUZIRAのパンクロックの強みを改めて実感する光景だ。「Snatch Away」の「Hey Now Hey Now」で拳を突き上げ大団円――かと思いきや、時間が余ったのか、この日中盤で披露したショートチューン「Muggy」を再度ぶちかましてみせた。


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 いよいよ6バンドが競い合うお祭りも最後のアクト。トリを飾るのはTRUST RECORDSの地元・名古屋が生んだ3人組Makiだ。サウンドチェックでアニメ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の主題歌「葛飾ラプソディー」を気持ちよさそうに歌う山本響(Ba/Vo)。そのリラックスした空気感とは裏腹に、いざ本番がスタートして「エバーグリーン」が鳴り出すと、ピンと張り詰めた緊張感と激しいエモーションがステージを覆う。オーディエンスの拳が上がり、フロアも一気に熱を帯びていく。2曲終えて「社長が『若手でこのライブハウスに挑戦する』って言うので出てます」とこのイベントに懸ける思いを言葉少なに語ると、この季節にぴったりとハマる「秋、香る」を響かせる。この日は奇しくもハロウィンということで「電車とか大変じゃなかった?」とお客さんを気遣いつつ、「今外で仮装してる奴らにも伝えたい。お菓子とかもらえる年齢じゃないし、何かをもらう側じゃなくて何かを与える側だと思ってます」と語る響。そのまま流れ込んだ「ストレンジ」に込められたヒリヒリとした感情が、イベント全体を背負うような彼の思いと重なって会場全体を巻き込んでいく。「今日はソールドアウトってわけではありません」とシビアな現実に目を向けながら、「でも気づいてほしいことがある。ライブハウスに何人来るかじゃねえ、何人に歌が届くかだ!」――その言葉どおり、Makiの歌はものすごい迫力で僕らの胸を貫いていった。アンコールで披露した「1997」まで、堂々たる存在感を示し続けた3人。名実ともにTRUST RECORDSの今を背負って立つバンドとしてのプライドを感じさせるステージだった。

【取材・文:小川智宏】
【撮影:Akira"TERU"Sugihara】

tag一覧 ライブ TRUST NIGHT カネヨリマサル ニアフレンズ SAME moon drop KUZIRA Maki

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01.恋人
02.はしる、夜
03.ユースオブトゥエンティ
04.NO NAME
05.ひらりとパーキー
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07.かけがえなくなりたい

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2020年01月15日

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01.ウルトラソニック
02.ボーイズノーアンビシャス
03.それでも (2019)
04.オールタイムラバー
05.ミッドナイトシティ
06.アフタースクール
07.終電で帰ろう

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01.ストレンジ
02.斜陽
03.エバーグリーン
04.1997

セットリスト

TRUST NIGHT 2019
2019.10.31@恵比寿LIQUIDROOM

    ●カネヨリマサル
  1. 01.グッドバイ
  2. 02.君が私を
  3. 03.はしる、夜
  4. 04.NO NAME
  5. 05.恋人
  6. 06.もしも
  7. 07.まだ
    ●ニアフレンズ
  1. 01.東京、問う今日
  2. 02.未だ見ぬ明日へ
  3. 03.アフタースクール
  4. 04.ボーイズノーアンビシャス
  5. 05.ワールドエンド
    ●SAME
  1. 01.LIFE
  2. 02.ペパーミント
  3. 03.GET OVER
  4. 04.青い鳥
  5. 05.ジャーニー
  6. 06.Canvas
    ●moon drop
  1. 01.恋の断捨離
  2. 02.ドラマチック
  3. 03.花束のかわりに
  4. 04.アイボリー
  5. 05.君に捧ぐ
    ●KUZIRA
  1. 01.Backward
  2. 02.In The Deep
  3. 03.Blue
  4. 04.Clown
  5. 05.Detour
  6. 06.Muggy
  7. 07.Missed My Stop
  8. 08.Boy Meets Youth
  9. 09.Snatch Away
  10. 10.Muggy
    ●Maki
  1. 01.エバーグリーン
  2. 02.春と修羅
  3. 03.秋、香る
  4. 04.ストレンジ
  5. 05.平凡の愛し方
  6. 06.シモツキ
【ENCORE】
  1. 01.1997

お知らせ

■ライブ情報

●カネヨリマサル
DON’T TRUST OVER 30. TOUR
2020/01/09(木) 京都 MUSE
w) Maki/ank/orbit

カネヨリマサル“かけがえなくなりたい”
Release Tour「マイ フェイバリット」

2020/01/17(金) 東京 下北沢SHELTER
w) TETORA/THE ラブ人間



●ニアフレンズ
ニアフレンズpresents 頑張らないツアー2020
2020/02/07(金) 東京 下北沢Daisy Bar
2020/02/13(木) 愛知 名古屋 栄party’z
2020/02/14(金) 大阪 心斎橋火影
2020/02/20(木) 岡山 CRAZYMAMA 2nd ROOM
2020/02/21(金) 福岡 Early Believers
2020/02/24(月・祝) 香川 高松TOONICE
2020/03/06(金) 静岡 UMBER
2020/03/08(日) 新潟 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2020/03/10(火) 石川 金沢vanvan V4
2020/03/13(金) 茨城 水戸LIGHT HOUSE
2020/03/15(日) 宮城 仙台FLYING SON
2020/03/27(金) 北海道 札幌SPIRITUAL LOUNGE
2020/03/28(土) 北海道 苫小牧ELLCUBE
2020/03/31(火) 大阪 LIVE SQUARE 2nd LINE



●SAME
SAME ONE MAN LIVE
“LOOKING FOR MY STAR”

2020/01/13(月・祝) 愛知 名古屋R.A.D



●moon drop
moon drop presents“下北沢ラブストーリー”
2020/02/25(火) 東京 下北沢DaisyBar



●KUZIRA
KUZIRA presents "Pay The Piper"
TOUR Final Series

2020/01/05(日) 東京 代官山UNIT
w) Northern19
2020/01/11(土) 大阪 心斎橋MUSE
w) ハルカミライ
2020/01/12(日) 愛知 名古屋CLUB QUATTRO
w) ENTH



●Maki
DON’T TRUST OVER 30. TOUR
2020/01/09(木) 京都 MUSE
w) カネヨリマサル/ank/orbit

Live House R.A.D
10th Anniversary Special

2020/01/20(月) 愛知 名古屋CLUB QUATTRO
w) WOMCADOLE/LUCCI/Mr.ふぉるて

Maki pre.「嶺上開花」
2020/02/26(水) 東京 新代田FEVER

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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