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各地のライブハウスを巡ったKREVA CONCERT TOUR 2019-2020「敵がいない国」“第一弾”ファイナル公演

KREVA | 2019.12.28

 各地のライブハウスを巡った『KREVA CONCERT TOUR 2019-2020「敵がいない国」』“第一弾”。ファイナル公演の会場、東京・豊洲PITも大盛況となっていた。「敵がいない国」の国民である我々を出迎えたBGMを選曲したのは、国王KREVA。全曲がアナログレコードの音源だというから、手間のかけかたが半端ではない。国王のおもてなしの御心によって、会場内は開演前から、とても心地よい空間となっていた。

 オープニングムービーが投影されていた紗幕が切って落とされ、ライトで照らし出されたステージ。そこに既にスタンバイしていた白根佳尚(Drums)、熊井吾郎(MPC & DJ)、SONOMI(Bass & Chorus)、そしてセンターには、両腕を広げて天を仰いでいるKREVAが立っていた。スタートした1曲目「敵がいない国」。ビートを巧みに乗りこなしてラップするKREVA、フロアで踊る人々の熱量が早くもすさまじい。続いて「パーティーはIZUKO? ~2019 Ver.~」に突入すると、KREVAの《パーティーはIZUKO?》に対して《ここだ!》という声が勢いよく返ってくる。オープニングの2曲の時点で、まさしく“敵がいない国”が、豊洲PITに生まれていた。

 かけていたサングラスをドラムロールと共に外す“サングラス外しの儀”が厳かに執り行われて、明るい笑いを誘っていた最初のMCタイム。「敵がいない国は2タイプあると思ってて。ひとつは言うこと聞かないやつとか、敵認定したやつは皆殺し。でも、ここは違うんですよ。ラップという音楽の力で敵がいない国を作った国王が私です。敵がいない国なんてないんですけど、ここにあるんです。国民のひとりひとりが思えば、それは敵がいない国。うどん県。そんな県は、日本にない。でも、あるんです。香川県に行ったら、うどんがめっちゃ美味い。香川県に行けば、“ここは、うどん県!”と言わせるうどんの美味さがある。この国にはラップの上手さがあります!」。“敵がいない国とは何なのか?”について、国王が説明をした後にスタートしたバンドセッション。白根のドラム。熊井のMPCとターンテーブル、SONOMIが鍵盤で奏でるベースサウンド――というアンサンブルに包まれながら披露されたのは、「Glory」。原曲は絢香とのコラボレーションだが、バンドメンバーたちがリアルタイムで放つサウンドとKREVAのラップが絡み合う様がスリリング! バンドセッションはその後も2ヶ所で繰り広げられて、「One feat. JQ from Nulbarich」/「神の領域」と「Rain Dance / MIYAVI vs KREVA vs 三浦大知」を新鮮な形で再構築。今回のツアーメンバーならではのスタイルでKREVAのラップが生々しく浮き彫りにされていた。

“前ボタン開けの儀”や“上着脱ぎヌ儀”という、序盤の“サングラス外しの儀”に続く儀式で国民を和ませたりもした時折の小休止を挟みつつ、届けられた強力なナンバーの数々。最新アルバム『AFTERMIXTAPE』の曲を随所に散りばめつつ、6月にリリースされた『成長の記録~全曲バンドで録り直し~』に収録されている“2019 Ver.”による代表曲を中心として構成されていたセットリストは、“最新のKREVA”と“ソロとしての15年間の軌跡”を高密度で体感させてくれた。古参ファンも様々な発見をしただろうし、新規ファンにとっても、“ライブのKREVAってこんなにすごいんだ!”と思う場面がたくさんあったはずだ。

 アルバム『AFTERMIXTAPE』の曲のうち、ファンの思い入れが深い存在となっているのを感じたのは、中盤で披露された「S.O.S.が出る前に」。「今回のツアーで学ばせてもらいました。ものすごく盛り上がってる人もいれば、まったく盛り上がってないように見えても、敵がいない国の国民たり得ることを心の中で心底喜んでる人もいるということを。それと同じようなことは世の中にもある。ひどいことばかり報道されて、私たちの日々の小さな悩みは、なかったことのようになってる。でも、ある。そういうあなたたち全員にメッセージを贈れたらなと思います。台風がいろんなものを洗い流したら、地震のことを忘れ去ってしまっていいんでしょうか? 地震があったら、あなたたちひとりひとりの悩み、問題は、無視されてもいいんでしょうか? 俺は、そうは思わない。ここに来てくれた全員に何回でも、何度でも俺はこう言ってあげたい」――という言葉を添えて歌い始めると、一心に耳を傾けながらメッセージを噛み締める人々の輪が、穏やかに広がっていった。

 先述の通り、とても入念に練られていたセットリスト。しかし、言葉遊び、冗談による部分もあったようだ。「どうすれば敵がいない国が作れるのか? 敵がいない国には、どういう歌が流れてるのか? 細かいところを修正して、いい流れで聴けるように調整してきてます。むちゃくちゃ考えました。その結果、新しい曲の選び方に辿り着きました。曲のタイトルを3つ並べてみたら、なんかいい感じっていう(笑)」。この発想によって披露されたのは「もしかしない」「かも ~2019 Ver.~」「C’mon, Let’s go ~2019 Ver.~」。ご覧の通りタイトルの言葉の響き、音のシャレで選ばれた曲たちだが、並べてみると一貫したメッセージが浮かび上がったという旨を嬉しそうに語っていたKREVA。「“最終的には自分”というメッセージが貫かれてたんです。これは、多分ですけど、書いた人がいいんでしょうねえ(笑)」――冗談めかして語っていたが、彼の音楽と活動姿勢にあるものを再確認させてくれた3曲であった。

 KREVAファンに愛されている歌姫、今回のツアーのバンドメンバー、“敵がいない国の国民の妹”とも言うべきSONOMI。先日発表された彼女の結婚を皆で祝福した後に披露された2曲も、とても印象的だった。「今回のツアーをやることになって、“絶対に歌う”って決めてた曲があって」とKREVAが言い、まず届けられたのは、「涙止まれよ feat. SONOMI」。2006年にリリースされた2ndアルバム『愛・自分博』に収録されていたこの曲がライブで歌われたのは、数えるほどしかない。大半のファンにとって、生で聴くのは初だったはずだ。そして、「ひとりじゃないのよ feat. SONOMI」も披露。素朴な瑞々しさがあるSONOMIの歌声と、KREVAの力強いラップが交わされる様が、観客をうっとりとさせていた。

「ここが本当に敵がいない国とするならば、今から歌うのは国歌。国歌じゃなかったら、俺たちのアンセム。誰か敵が現れた時に、“我々はどうやって立ち向かうのか?”ということなんですよ。我々は武器を手に取るんじゃなくて、大きな声で歌いましょう。我々がひとつであるということを示しましょう。そして、敵が“入ってきたい!”って言うならば、両手を広げましょうよ。我々は誰も拒まず、いくらでも広がっていける国です」――本編ラストで披露された「Na Na Na ~2019 Ver.~」は、爽やかな大合唱を巻き起こしていた。そして、アンコールでまず届けられたのは、『井上陽水トリビュート』でKREVAがカバーした「最後のニュース」。この曲を歌う前、国連の発表しているデータの上では、飢餓に苦しむ人々の数は徐々に減っていて、衛生状態や生活環境など、全世界が抱えている問題、格差は少しずつ是正されている旨に、彼は触れた。「世界は良くなってるんです。悪いことも起こりますけど、良くなっていくんです。良くしていくんです。まず、我々国民で」。この言葉を噛み締めながら聴いた「最後のニュース」は、深い説得力と共に迫ってきた。

「世の中には希望があるってことを忘れないでもらうために、全然ギター弾けないですが」と言って、赤色のセミアコースティックギターを手にしたKREVA。コードを奏でつつ披露された「希望の炎」は、温かく会場いっぱいに響き渡った。そして、「最後までステージにたくさん愛を届けてくれてありがとうございます。最後に思いっきり愛の交換をして、終わりにしたいと思います」という言葉と共にスタートした「君の愛 Bring Me To Life」。KREVAと観客の間で何度も交わされた歌声が、とても穏やかなムードを醸し出していた。

 白根、熊井、SONOMIを改めて紹介した後、「次はホールツアーでお会いしましょう! ありがとうございました!」と言ってステージを後にしたKREVA。大きな拍手と歓声が、彼を見送った。このツアーの“第二弾”となるホールツアーは、2月27日・埼玉・三郷市文化会館 大ホール公演を皮切りにスタート。“第三弾”のアリーナツアーのスケジュールも、後日発表されることになっている。“第一弾”とは異なる、新しい趣向を凝らした形で、各地に“敵がいない国”が作り上げられていくのだろう。2020年のKREVAの活動も、刺激的なものとなっていくに違いない。

【取材・文:田中 大】
【撮影:岸田哲平】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル KREVA

リリース情報

NEW BEST ALBUM LIVE -成長の記録- at 日本武道館

NEW BEST ALBUM LIVE -成長の記録- at 日本武道館

2020年02月19日

ビクターエンタテインメント

Blu-ray VIXL-293
¥5,908 + 税

DVD VIBL-972
¥4,908 + 税

<収録曲>
1. 居場所 ~2019 Ver.~
2. 王者の休日 ~2019 Ver.~
3. アグレッシ部 ~2019 Ver.~
4. ACE
5. パーティはIZUKO? ~2019 Ver.~
6. トランキライザー ~2019 Ver.~
7. 中盤戦
8. 基準 ~2019 Ver.~
9. ストロングスタイル ~2019 Ver.~
10. 存在感 ~2019 Ver.~
11. Under The Moon
12. I Wanna Know You ~2019 Ver.~
13. 成功 ~2019 Ver.~
14. 希望の炎
15. KILA KILA ~2019 Ver.~
16. スタート ~2019 Ver.~
17. 瞬間speechless
18. かも ~2019 Ver.~
19. C’mon, Let’s go ~2019 Ver.~
20. イッサイガッサイ ~2019 Ver.~
21. 音色 ~2019 Ver.~
22. Na Na Na ~2019 Ver.~

-Encore-
DJ (M☆A☆G☆I☆C ~ 愛してたの ~Sanzan feat. 増田有華 ~ あえてそこ (攻め込む) ~ Glory ~ 千% ~Keep It Up)
DJ (One feat. JQ from Nulbarich)
無煙狼煙

セットリスト

15TH ANNIVERSARY YEAR
KREVA CONCERT TOUR 2019-2020「敵がいない国」
2019.12.23@豊洲PIT

  1. 1.敵がいない国
  2. 2.パーティーはIZUKO? ~2019 Ver.~
  3. 3.Band Session~Glory~
  4. 4.国民的行事
  5. 5.王者の休日 ~2019 Ver.~
  6. 6.人生
  7. 7.Band Session~One~
  8. 8.リアルドクターK
  9. 9.それとこれとは話がべつ!
  10. 10.アイソレーター
  11. 11.無煙狼煙
  12. 12.基準 ~2019 Ver.~
  13. 13.ストロングスタイル ~2019 Ver.~
  14. 14.S.O.S.が出る前に
  15. 15.トランキライザー ~2019 Ver.~
  16. 16.Band Session~神の領域/Rain Dance~
  17. 17.もしかしない
  18. 18.かも ~2019 Ver.~
  19. 19.C’mon, Let’s go ~2019 Ver.~
  20. 20.涙止まれよ feat. SONOMI
  21. 21.ひとりじゃないのよ feat. SONOMI
  22. 22.音色 ~2019 Ver.~
  23. 23.Na Na Na ~2019 Ver.~
  24. 【ENCORE】
  25. En1.最後のニュース
  26. En2.希望の炎
  27. En3.君の愛 Bring Me To Life

お知らせ

■ライブ情報

KREVA CONCERT TOUR 2019-2020
「敵がいない国」

2/27(木)【埼玉】三郷市文化会館 大ホール
2/29(土)【東京】LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂)
3/14(土)【愛知】日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
3/27(金)【広島】広島JMSアステールプラザ大ホール
3/28(土)【香川】サンポートホール高松・大ホール
4/4(土)【鹿児島】鹿児島市民文化ホール 第二ホール
4/5(日)【福岡】福岡市民会館
4/12(日)【沖縄】沖縄市民会館
4/17(金)【東京】江戸川区総合文化センター
4/18(土)【栃木】宇都宮市文化会館
4/23(木)【兵庫】加古川市民会館 大ホール
4/25(土)【新潟】新潟りゅーとぴあ・劇場
5/6(水祝)【宮城】仙台電力ホール
5/9(土)【青森】青森市民ホール
5/24(日)【北海道】札幌市教育文化会館 大ホール

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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