レビュー

KREVA | 2011.02.15

正直に言おう。この歳になっても未だに「挑む」のは非常に恐い。いや、この先、幾つになっても、この「挑む」恐さからは逃げることが出来ないのではないだろうか。その挑みの恐さの構造を探究するに、そこにはやはり「挑んだ」後、すなわち、「それを経て、失敗し、傷つく」自分を想像してしまうところにある。 しかし、それでも今回のニューシングルにてKREVAは「何度でも挑め」と告げる。

今回のこの「挑め」は、まことにKREVAらしいシングル曲だと思う。それは、彼の力強いアタック感のあるフロウ、ウィットと、ことわざや常套句、有名な呼称や固有名詞からあえて「三」を表さずに、それを感じさせるインテリジェンス性溢れるのリリックやラッピンもさることながら、ここで力強く歌われるラップの内容だ。

ここ最近の彼の相棒とも言えるOASYSの浮遊感ただよう和音と、それが織りなすちょっとしたブレが心地よい揺らぎを生んでいるトラックの上、冒頭から「一度目も二度目も 何度目も正直 毎回毎回が本気 準備怠らずに 挑め」と、彼はラップする。全体の内容的には、"何度でも成功するまでトライしてみなよ!!"的な内容がヒシヒシと伝わってき、"よし、自分も!!"的な気持ちを奮い立たせてくれるのだが、僕がこの曲が非常にKREVAらしいなと、思うところは他にもある。僕は、彼がこの曲でラップしている内容を、一度眼前で実体験したことがある。そう、この曲は、聴く度に、KREVAがあの時見せてくれた、あの場面を僕に思い起こさせる。

その光景は、2010年春に幕張で行われた『GO! FES』でのKREVAのパフォーマンス。このフェスは既に色々なところで酷評されていたので、ご存知の方も多いだろうが、その2日目は数万人収容の会場に、その10分の1程度の集客しかなく、その残念な光景の中、同フェスの大トリにKREVAが登場した。ややをもすると、やっても無駄的に考え、打算的なパフォーマンスを展開するアーティストも出て来てもおかしくないほどの、閑散さと敗戦雰囲気が会場を覆いながらも、彼は、「俺はお前たちが、このフェスにきて喜んでくれるのなら、いくらでもサプライズを用意する」と、"今回の種まきがキチンと、後の成功へとつながる""いや、つなげてみせる!!"。そんな信念を基に、Mummy-Dや久保田利伸等を贅沢にゲストに呼び、その有言どおり素晴らしいパフォーマンスを繰り広げ、会場を大満足させ、逆に次のこのフェスの成功を確信させた。

ひょっとしたら、彼の心の中では、まだここまでのフレーズは生まれていないにせよ、「一度目も二度目も 何度目も正直 毎回毎回が本気 準備怠らずに 挑め」のスピリッツが心を去来してのパフォーマンスだったのではないだろうか?

そして、M-2の「ベステンダンク」は、高野寛が1990年に発表した代表曲のカヴァー。こちらは上述のOASYSとオートチューンにより、M-1とは対照的に「シンガーKREVA」が表れている。続くM-3にはKICK THE CAN CREW(活動休止中)のメンバーLITTLE、MCUをフィーチャリングしたチューンを収録。約7年ぶりの3人のマイクリレーはまさに必聴に値する。

繰り返し言おう。「挑む」のは、やはり怖い。だけど、このKREVAのシングルを聴いていると、「怖いからこそ、次につなげなくちゃないないからこそ、あえて挑まなくちゃならない!!」そんな風に背中を押され、あの日の有言実行の光景と伴って、不思議と挑みへの怖さを軽減してくれるのだ。

【 文:池田スカオ和宏 】

tag一覧 シングル 男性ボーカル KREVA KICK THE CAN CREW MCU LITTLE

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挑め

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挑め

発売日: 2011年02月16日

価格: ¥ 1,000(本体)+税

レーベル: ポニーキャニオン

収録曲

1. 挑め
2. ベステンダンク
3. 挑め (Remix) feat.MCU & LITTLE
4. 挑め (Inst.) -bonus track-
5. 挑め (TV ver.) -bonus track-
6. 挑め (Acappella) -bonus track-

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