レビュー

androp | 2011.02.16

andropは、この時代、道しるべのような方法論で、今のポジションまでやってきた。

情報過多で、ポチっとすれば全てが手に入るこの時代。音源とグループのロゴ、そして定期的に行うライヴといった、あえてパズルのピースや全体像の断片だけをバラまき、それを辿ってきた者だけが、ご本尊に出逢えるといった方法論でここまできた。そこには本当に興味を持った者や、その存在に惚れた者しかたどり着けないし、逆にたどり着いた者は、熱狂的な信望者としていつまでもついていく。ちよっと前のtacicaや今のAmazarashiもその類だ。

ご存じの方も多いとは思うが、彼らはライヴ以外、あまり露出しない。みなさんもライヴ以外で彼らの顔を観たことはあまりないだろう。記名性や実態はキチンと存在しているのだから、これは匿名性やミステリアス性とはちょっとちがうし、その作品群は、非常に身近にすら感じる歌が取りそろえられていたりする。今、知って欲しい、接して欲しい、必要最小限のものを用意し、それを受け取り手が、好きなように、想い、広げ、愛する。いかにも、今の時代のカウンターであり、だからこそ必要とされるコミュニケーションの方法論のように思う。

そんな彼らの3枚目となるミニアルバムが届けられた。そして、今作も彼らの魅力とも言えるナイーブさやセンシティブさは健在、いや、ますます特有の個性として広がりを増している。

 「MirrorDance」でのトランシ―meetsポストロック×ギターロックの開放的でサビでの解放感とキャッチーさ、そして適度な至福感。その雰囲気をガ―ッとひっぺがえすように、「Alpha」では、エッジの効いたギターリフと疾走感溢れるサウンドの上、リズミカルに並べられる前向きの一歩手前の歌を聴かせ、「Amanojaku」では、間に3拍子を交えながらも、ポストロック的な難解な拍子と、分りやすい解放感のあるサビの対称性も面白い。

深いエコー感の効いたサウンドとガリンガリンなベースと抜き差しとダブ処理が成されたサウンド、そして、時々ふっとため息さえ出そうなほど美しささえ感じるメロディや歌が印象的な「Puppet」や、ジワジワと物語を広げていくようなサウンドと、聴いた者を優しい気持ちに浸らせてくれる「Youth」。

前のめりなダンサブルで前傾姿勢なテクノなリズムの上、幾何学なフワンとしたハーモニクスが乗る「Q.E.D.」に、アコギのクリスピーさと、「会いたいよ会いたいよ」のフレーズも優しげに聴く者を包んでくれる、ほのかな幸せ感漂う「Clover」。そして、ラストの物悲しい儚さやまほろばが歌われながらも、そこはかとない広がりと未来永劫感を味あわせてくれる「March」と8曲を収録した同盤。収まっているどの曲も、ボーカルの歌世界を大切にしながらも、非常に作品性の高いナンバーが並んでいる。

彼らの音楽はナイーブだ。しかし、それは決して神経質でも弱弱しいものではない。むしろ逆。確かに傷つきやすさの萌芽は各曲に見え隠れするのは否めないが、それは生きていく、生きているが故の証や彼らなりの生き方や生きる術。この作品を聴いて、また彼らへの信望者が増大することだろう。

【 文:池田スカオ和宏 】

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発売日: 2011年02月16日

価格: ¥ 2,191(本体)+税

レーベル: ワーナーミュージック・ジャパン

収録曲

1. MirrorDance
2. Alpha
3. Amanojaku
4. Puppet
5. Youth
6. Q.E.D.
7. Clover
8. March

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