レビュー

清 竜人 | 2011.04.15

 清 竜人のニューアルバム『PEOPLE』は、手法こそちがえど、哀歓を経ての謳歌感や人生讃歌という意味で、僕は非常に「シャンソン」的な作品だと思う。色々な事毎を経てこそ響く、ラ・ビ・アン・ローズで、ケ・セラ・セラが博愛性も交え、各曲高らかに鳴っているのだ。

 シャンソンには、"だから人生は素晴らしい""だって、これが私の人生なのだから"等、人情裏表を乗り越えたが故にたどり着く、独特の開放感や大団円感、謳歌感があり、彼の各曲からはそれらと同質のものを感じる。なので、この作品全体に漂っている謳歌感は、一般的には刹那的とも脳天気さとも異質。今が楽しければ良い、や、この一瞬よ永遠に続いてくれといった類いとは違ったものなのだ。そう、重要なのは、歌の結論の前に必ずついている<だから>や<だって>。それらが彼の歌の数々に深みや重みやありがたみをもたらせている。

 なんて書いていると彼の歌が非常に重々しく、荘厳、陰影に満ちた楽曲を連想させてしまうかもしれない。しかし、たぶん聴いてみて驚かれる方も多いと思うが、彼の楽曲は声、歌い方、メロディ、どれをとってもいたってポップ。しかも、アレンジに関しては、それこそ、サージェントペパーズ~MIKA的なカレイドスコープ的なキラキラとしたマジカルサウンドで表されている。なので、一聴、ポップで聴きやすく、聴き手にスッと入っていく上、聴き進めるとズーンとくるアルバムに、今作は仕上がっている。

 パーティ的賑やかさの中、自身のアイデンティティを振り返る「ぼくらはつながってるんだな」。愛しい人への狂おしいまでの想いが、聴く者を歌の主人公と同化させる「ボーイ・アンド・ガール・ラヴ・ソング」、個性や自己主張が叫ばれる中、あえて当たり前や普通さの重要性を歌う「パパ&ママ愛してるよ!」。大人の言い分、子供の言い分を、女の子のデュエットで綴る「おとなとこどものチャララ・ララ」、児童合唱団と共に、人間ならでは持っている感情の数々が3拍子の中、綴られる「がきんちょのうた」。密かでささやかながら、分相応な気持ちを正直に綴られながらも、そこに愛しいほどの愛情を感じさせる「イザベラ」。ユングもアインシュタインも湯川秀樹も否定させないほどの愛しい人への恋愛運命理論をぶってみせる「きみはディスティニーズガール 」等々、人生という意味でのライフサイズのスケール観でいっぱいのアルバムだ。

 背中を押してくれる楽曲がチャートの上位を占めている中、あえて真っ正面から向き合い、やさしく諭してくれる曲の数々を収めたアルバムを作り上げた清 竜人。今必要なのは、あえて人生を丸ごと受け入れ、謳歌に転換させる説得力なのではないかと、彼の歌を聞き、つくづく思った。

【 文:池田スカオ和宏 】

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PEOPLE

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PEOPLE

発売日: 2011年04月13日

価格: ¥ 2,667(本体)+税

レーベル: EMIミュージックジャパン

収録曲

1. ぼくらはつながってるんだな
2. プリーズリピートアフターミー
3. ボーイ・アンド・ガール・ラヴ・ソング
4. パパ&ママ愛してるよ!
5. おとなとこどものチャララ・ララ
6. がきんちょのうた
7. ぼくが死んでしまっても
8. イザベラ
9. きみはディスティニーズガール
10. うつくしい
11. ホモ・サピエンスはうたを歌う

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