レビュー

ナオト・インティライミ | 2011.04.20

 ナオト・インティライミのこのニューシングル「Brave」を聴いて、なんとなくこの後、5月11日に登場を予定している彼のニューアルバム(タイトルは『ADVENTURE』)は、前作アルバム『Shall we travel??』でうかがえた、ダンサブルでお祭り男的な作風の曲が中心でないような気がする。

 昨年末にリリースされた配信限定シングル「Adventure」こそ、4つ打ちのリズムが上昇性や程よいトランス性を生んでいたが、3rdシングル「ありったけのLove Song」は、レゲエタッチの裏打ちのリズムながら、ストリングスや歌内容により、逆に感動的でドラマチックな曲調へと転化させた楽曲だったし、4thシングル「今のキミを忘れない」は、さまざまな想い出を走馬灯のように巡らせながらも、「最後は最高の笑顔で別れよう」という男心もけなげだったし、今回のこの「Brave」にしても、ラテンのビートながら熱すぎず、あえて背中を押す感じのちょっとした勇気と鼓舞を与えてくれる、決して能天気で、”踊って全てを忘れちゃおう!!”的なナンバーとは一線を画しているからだ。 とは言え、その歌を通して伝えられるメッセージ性やストーリー性も彼のもう一つの魅力。そして、その魅力と次のアルバムとを結びつける大事な曲になりそうなのが、この「Brave」のようだ。

 タイトル曲の「Brave」は、ラテンのビートに特有の哀愁性を帯びたメロディも印象的なナンバー。オートチューンで加工したボーカルも織り交ぜ、歌われる「その勇気の旗を広げなよ」と聴く者の勇気を奮い起させ、「小さな勇気でこの道も変わるさ」「僕らならできるって」のフレーズが聴く者の躊躇や尻込みの後押しをしてくれる。とは言え、それが上辺だけでなく、行動やバイタリティとして体現してきた彼だからこその説得力として、聴く者の胸に響いてくる。
そして、M-2には、アコースティック楽器編成によるジャグバンドやバスキングスタイルといった牧歌的なサウンドの上、通勤の際に一目ぼれした女の子を見る朝のひと時の幸せを歌った「ちょっとした恋の唄」を収録。楽曲全体にささやかなハッピー感もほんのり漂っており、ライヴでも起こりそうなラストでの大合唱も楽しみな楽曲だ。ちょっと単細胞な主人公ながら、聴く者の中にも身に覚えがある者も多そうだ(笑)。

 重複するが、5/11にはニューアルバム『ADVENTURE』のリリースが控えているナオト。前作アルバム以降のシングルの遍歴から察するに、この『ADVENTURE』は、更に幅広く、奥深くなりそうだ。まもなく手元に届くであろう、そのアルバムは一体どんな作風に仕上がり、僕はどんな感想を持つのだろう?続報を待て!!

【 文:池田スカオ和宏 】

リリース情報

Brave

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Brave

発売日: 2011年04月20日

価格: ¥ 953(本体)+税

レーベル: ユニバーサル シグマ

収録曲

01.Brave
02.ちょっとした恋の唄
03.Brave (KARAOKE)

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