九州の魂を伝える長崎出身のシンガーソングライター、九州男の3つの大きな魅力が堪能出来る、インディー時代~現在までから選りすぐられたベスト盤が登場した。

その3つの魅力こそ、血沸き肉躍る躍動的なノリノリアゲアゲなアッパーさ。その歌声の力強さや艶やかさ、聴く者を鼓舞し、愛撫するミディアムな面。そして、彼の歌を更に引き出し、違った角度からの物語を演出する豪華ゲスト陣が参加した楽曲…。
自分の道を振り返らず進みゆくような「想色コーディネート」、エレクトロな味付けと青空を想起させる「少年⇔未来~映画のようなメモリー~」、初夏のさわやかさを伴った軽快でスプラッシュな「地球の歩き方」等が聴く者を盛り上げれば、ウェディングチューン「Brand New Days」、桜舞い散る春の日の新たに始まる日々を綴った「桜道」、「雲の上の君え(prologue)」と、その続編「雲の上の君と」等が、しっとりとその歌物語へと誘う。
そして、侘しさから高揚への気持ちの移り変わりが多くの人の共感を呼ぶ「出会い。。feat. RED RICE、BIG RON」、mihimaru GTのhirokoの歌声が離れた女心を歌った、和テイスト漂う「手紙。。」、前のめりなリズムの上、歌、ラップ、ラガマフィンが快進撃を告げる、HOME MADE家族との「約束。。」、C＆Kのクリスタルで伸びやかなボーカルが様々な物語を浮かばせる「1/600000000」等々が楽曲や彼の幅を広げている。加え、CD未発表音源「臆病者」も収録した充実のCD2枚組全24曲と言える。

マイペースながら、上向き、前向きな歌しか歌ってこなかったことにも改めて気づかされた今作。そう、この気持ちこそが今のこの時代に最も必要なものなのだと再確認させられる1枚だ。

【 文：池田スカオ和宏 】