いまや、ラブソングと言えばすぐにソナーポケットの名が浮かぶほど、多くの恋愛模様を歌にしてきた彼ら。5月15日発売のニューシングル「片想い。?リナリア?／スタートライン！」の1曲目「片想い。?リナリア?」は、まさにタイトル通り“片想い”がテーマの楽曲。今回も期待を裏切ることなく、好きな相手への切なくも、もどかしい想いをリアルに表現している。“既読になった画面を見ながら”という歌詞にも、LINEを連想させる“日常”を切り取った感性がにじむ。しかも、ピアノやストリングス・サウンドを駆使した軽快なナンバーで、どことなく聴く人の背中を押してくれるような歌に仕上げているのだ。どう思われているのか、不安でついつい女々しくなってしまう想い――ややもすると、ネガティヴになりがちな心理描写も、ソナポケの音楽を通すと、“ちょっとがんばってみようかな”と前向きになれるから面白い。“片想い”をバラードではなく、ポップチューンにしたことで、ポジティヴなマジックがかかったのかもしれない。そう、片想いも悪くない、相手に伝えるためにがんばれるんじゃないか……と。

　もう1曲の「スタートライン！」も、タイトルから推して知るべしの応援ソング。たとえば、この春から新生活が始まった人達にとっては、よりしっくりくるような気がする。いや、新人でなくとも、日々、自分を殺しながらがんばっている人達には、すがすがしく響くことだろう。アップテンポで爽やかなロック・アレンジになっているのも大正解。ライブでもアガるサウンドアプローチで、観客が楽しくハジケる光景が浮かぶ。この曲はアニメ『団地ともお』（NHK総合テレビ）のエンディングテーマとしてもオンエア中なので、すでに「スタートライン！」に元気をもらっている人も多いのではないだろうか。

　さて、彼らは現在、全国ホールツアー「ソナポケイズム Vol.4」の真っ最中。3月から始まったこのツアーは、かなり細かい場所まで網羅しており、当然新曲も披露しているはず。チケットは全会場、ほぼ完売状態とのことだが、見る機会のある人は、メンバー3人のハートフルで全力投球の歌とパフォーマンスに、ぜひとも元気をもらっていただきたい。

【文：海江敦士】