レビュー

ゴスペラーズ | 2014.07.09

連載 第28週
ゴスペラーズ 「SING!!!!!」


画期的な編集感覚アニバーサリー・シングル

 No.20で 取り上げた椎名林檎のセルフカバーアルバム『逆輸入』で大活躍したヒャダインが、またしてもゴスペラーズのニューシングルに見事なヒビを入れてくれた。

 「SING!!!!!」は作詞作曲編曲のすべてをヒャダインが担当。20周年を迎えたゴスペラーズの歴史を、ぎゅっと圧縮した高スペックのポップチューンになっている。その狙いの斬新さには、鳥肌が立つ。

 もともとヒャダインはアカペラ・サークル出身で、ゴスペラーズをリスペクトしていた。なのでゴスの多彩なコーラスワークを、単なるファン以上に分析・研究していたと思われる。

 「SING!!!!!」のオープニングは9thのハーモニーが響く。これは後のサビの予告編になっていて、まずは小手調べといったところ。

 その後、ヒューマンビートボックス、5人の歌い継ぎ、ベルトーン(和音を一人一音ずつ歌ってハモる)、字ハモ(歌詞付きのメロディでハモる)、ドゥワップ・スタイルなど、ゴスペラーズが長年築き上げてきたテクニックが次々と繰り出される。これはゴスのすべてを知り抜いた作詞家、作曲家、編曲家が揃わないと実現不可能。まさにヒャダインならではのアラワザだ。さらには、あらかじめこのパートは誰が歌うのかヒャダインが指定したようで、実際にメンバーが歌ってみて修整した部分もあったという。

 つまりヒャダインは、憧れの5人を使って“自分だけのゴスペラーズ・ナンバー”を作り上げたのだ。その際、ヒャダインが優れているのは、歴代の曲やハモりテクをメドレーのように“繋ぐ”のではなく、複数のストーリーが同時に展開するように“編集”していることだ。だからゴスの歴史とストロング・ポイントが1曲の中でカタマリになって怒涛のように押し寄せ、リスナーの耳の中で解凍されていく快感がある。これってまるで、ジグゾーパズルの“ヒビ”みたいだぜ。

 こんなに楽しくてスリリングなアニバーサリー・シングルは前代未聞。メンバーにもファンにも嬉しいシングルになった。聴いていると、ゴスの20年間が走馬灯のようによぎる…“走馬灯”って、死ぬ間際じゃないんだから(失礼&笑)。

 ちなみにタイトルの「!!!!!」って何? とメンバーに聞いてみると、「ヒャダインに直接質問したわけじゃないけど、うちらの5本マイクでしょ!」との答。このコラボ、いちいちカッコいいワ!

【文・平山雄一】

tag一覧 シングル 男性ボーカル ゴスペラーズ

リリース情報

SING!!!!!(初回生産限定盤)[CD+DVD]

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SING!!!!!(初回生産限定盤)[CD+DVD]

発売日: 2014年07月09日

価格: ¥ 1,500(本体)+税

レーベル: キューンミュージック

収録曲

[CD]
1. SING!!!!!
2. Be shiny

[DVD]
・「SING!!!!!」MUSIC VIDEO
・「SING!!!!!」making
・祝!ゴスペラーズ デビュー20周年 G20 最強のGOSは誰だ!?「KING OF GOS」選手権

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