レビュー

JUJU | 2014.12.03

連載 第48週
JUJU『Request II』


JUJUのアーティスト魂と職人スピリットが
激突する快作カバーアルバム


 まるで“J-POPプ ロデューサー博覧会”だ。全12曲に12人のプロデューサーが立ち、彼らの作ったサウンドに乗ってJUJUが歌う。JUJUのカバー第2弾は、彼女のアーティストとしての表現欲と、素材に徹するシンガーとしてのプライドが激突するアルバムだ。

 ここで断っておきたいのは、JUJUは非常に耳がいいので、『Request II』で取り上げられている曲をオリジナルとそっくりに歌うことができるということ。それを踏まえた上でのカバーなのだ。だから彼女の表現欲とプライドがぶつかり合う。そこがこのアルバムの第一の聴きどころだろう。たとえばオープニングの「ANNIVERSARY」 は、フレーズの入り口はJUJUらしく歌い、フレーズの終わりはオリジナルのユーミン風に歌って敬意を表する離れ業をやってのける。

 もうひとつの聴きどころは、プロデューサーにかかるプレッシャーだ。「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」はCharaの代表曲。オリジナルのプロデューサーは小林武史で、このアルバムでは亀田誠治がプロデュースを担当。その小林はこのアルバムで今井美樹の「Miss You」をプロデュースしているから、亀田にとってはまるで“監視付き”の仕事。こうした意地悪なセッティングが、このアルバムをさらに面白く豪華にしている。

 そして僕がいちばん気に入っているのは、UAの「情熱」。オリジナルは, 伝説のダブバンドMUTE BEATにいた朝本浩文が手掛けた。それを再アレンジしたのは、アゲハスプリングの玉井健二。キックとストリングスだけで的確な輪郭を作るトラックは、オリジナルに負けず劣らずスリリングだ。JUJUとはある意味、対照的な女性UAの凄みのある歌に対して、かわいく切なく歌い上げるJUJUのボーカルが素晴らしい。

 これぞカバーと言いたくなる。イージーなカバーがあふれる音楽シーンに、ビシッとヒビを入れる快作だ。

追伸:JUJUがリスペクトするNOKKOの名曲「人魚」を冨田恵一がプロデュースしたテイクも、キュートなエレクトロで最高。こんな感じのJUJUのオリジナルも聴きたいなぁ。

【文:平山雄一】

tag一覧 アルバム 女性ボーカル JUJU

リリース情報

Request II

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Request II

発売日: 2014年12月03日

価格: ¥ 2,593(本体)+税

レーベル: SMAR

収録曲

1. ANNIVERSARY /松任谷由実 【プロデューサー : 武部聡志】
2. Swallowtail Butterfly ~あいのうた~ /YEN TOWN BAND【プロデューサー : 亀田誠治】
3. Last Smile /LOVE PSYCHEDELICO【プロデューサー : 島田昌典】
4. シングル・アゲイン /竹内まりや【プロデューサー : 松尾潔】
5. 誰より好きなのに /古内東子【プロデューサー : 島 健】
6. Miss You /今井美樹【プロデューサー : 小林武史】
7. Can’t Stop Fallin’ in Love /globe【プロデューサー : 大沢伸一】
8. あなたのキスを数えましょう ~You were mine~ /小柳ゆき【プロデューサー : 松浦晃久】
9.情熱 /UA【プロデューサー : 玉井健二】
10. 人魚 /NOKKO【プロデューサー : 冨田恵一】
11. ENDLESS STORY /REIRA starring YUNA ITO【プロデューサー : 蔦谷好位置】
12. 糸 /中島みゆき【プロデューサー : 本間昭光】

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