レビュー

ONE OK ROCK | 2015.02.11

連載 第57週
ONE OK ROCK『35xxxv』


常にアップデー トを求めるワンオクは、
J-ROCKシーンに深いヒビを入れる


 前々作『残響リファレンス』(2011年)、 前作『人生×僕=』(2013年)と、 アルバムを追うごとに着実に作品内容のグレードを上げてきたワンオクの最新作は、もはや風格さえ漂わせる快作だ。

 1曲の中で楽曲のドラマティックな展開を得意とするワンオクだが、 今作はスピード感が別次元にまで高められている。

 たとえば「Take me to the top」は、途中でリズムが変わったりする一方で、ワンオク独自のハードロック・マナーで全体が貫かれているから、統一感が抜群。複雑な音楽の場面を、リスナーの集中力を逸らさないよう一気に聴かせるのは、バンドが充実している証拠だ。

 70年代にロックが多様化したとき生まれた“プログレッシヴ・ロック”は、クラシックやジャズなどを貪欲に取り入れ、それを自由自在な構成で聴かせてシーンに衝撃を与えた。ワンオクがその伝統を踏まえているのかどうかはわからないが、自分たちの音楽を常にアップデートしようと努めてきたバンドが行き着いた先は、“プログレ”と同じく現状に満足しない痛快な攻撃性をたたえている。続く「Cry out」は、 “俺たちは変化したいんだ。ずっと同じなんてありえない”と英語で叫ぶ。時折、混じる日本語詞も自然に耳に入ってくる。

 活躍の場を海外に求めるこのバンドの進化の方向は、他のJ-ROCKバンドと明らかに異なっている。「Decision」という曲では、♪なぞるだけが僕の人生じゃない♪と孤高の旅に出る決心を歌う。それでいて「Heartache」に漂う日本的な情緒にも好感が持てる。

 J-ROCKシーンに深いヒビを入れる、この破格のバンドの活躍は、まだ見ぬニッポンのバンドの成功像を導き出すことだろう。

【文:平山雄一】

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リリース情報

35xxxv(初回限定盤)[CD+DVD]

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35xxxv(初回限定盤)[CD+DVD]

発売日: 2015年02月11日

価格: ¥ 3,150(本体)+税

レーベル: A-Sketch

収録曲

1. 3xxxv5
2. Take me to the top
3. Cry out
4. Suddenly
5. Mighty Long Fall
6. Heartache
7. Memories
8. Decision
9. Paper Planes(featuring Kellin from Sleeping with Sirens)
10. Good Goodbye
11. One by One
12. Stuck in the middle
13. Fight the night

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