レビュー

TRIAD | 2015.03.18

連載 第62週
『THE REVIVAL OF TRIAD [2015]』


TRIAD復活オムニバスには、今のJ-ROCKのビル群が建てられた“地形”が、そのまま残っている

 まだJ-ROCKがジャンルとして成立する以前、1981年にスタートしたロック・レーベル“TRIAD” が、8年ぶりに復活。それを記念してリリースされたのが、このオムニバス・アルバムだ。15組のアーティストの、時代も状況も異なるそれぞれの代表曲を提示して、このレーベルの現時点での意義を改めて問いかけてくる。

 TRIADレーベルが登場する1年前に、同じレコード会社から伝説のバンド “ザ・ルースターズ”がデビューした。ザ・ルースターズはある意味、70年代からの日本のアンダーグラウンド・ロックを継承していた。それに対して、TRIADはあくまで80年代から始まるJ-ROCKの先鞭をつけたレーベルと言える。70年代の洋楽志向から抜け出し、日本語で日本のリスナーに向かってロックを発信する意志を掲げていたのが最大の特徴だろう。

 レーベルの初期にデビューしたNEWROTEeKAの「ア・イ・キ・タ」やTHE COLLECTORSの「TOUGH」を聴くと、今の洗練され たJ-ROCKと違って、泥臭さが漂う。だが、それは同時に原初のエネルギーにあふれていて、これが気持ちいいのだ。

 またソウル色の濃いEscalatorsや、音楽を自由に謳歌するclammbonなど、幅広い個性が1レーベルに存在したのも、80年代からのJ-ROCKの進化過程を見るようで興味深い。

 今回、レーベル復活の第1弾アーティストとなった吉井和哉が在籍したTHE YELLOW MONKEYの「SPARK」は、彼が昨年末リリースしたカバーアルバム『ヨシー・ファンクJr.~此レガ原点!!~』で明らかにした“原点”が、当時、形になったものなのだなと改めて納得。

 そして、改めてハッとしたのは、オムニバスの最後を飾るsyrup16gの「Reborn」だった。♪時間は流れて 僕らは歳をとり 汚れて傷ついて 生まれ変わっていくのさ♪というリリックを持つこの歌をラストに持ってきた選曲者は、どんなことを考えていたのだろう。

 復活したTRIADは、たとえば日光江戸村に再現された昔の街並みでは決してない。このオムニバスには、今も脈々と連なるJ-ROCKのビル群が建てられた“地形”が、そのまま残っている。

【文:平山雄一】

リリース情報

THE REVIVAL OF TRIAD [2015]

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THE REVIVAL OF TRIAD [2015]

発売日: 2015年03月18日

価格: ¥ 2,000(本体)+税

レーベル: 日本コロムビア

収録曲

01.MO’SOME TONEBENDER / ロッキンルーラ
02.ZIGZO / チェルシー
03.CHARCOAL FILTER / Brand-New Myself~僕にできること
04.THE YELLOW MONKEY / SPARK
05.KenKen / Sense
06.The Willard / People are…
07.NEWROTEeKA / ア・イ・キ・タ
08.THE COLLECTORS / TOUGH
09.Escalators / 恋の引力
10.坂本サトル / 天使達の歌
11.clammbon / バイタルサイン
12.STAN / JAPANISTAN
13.THEE MICHELLE GUN ELEPHANT / 世界の終わり(smash hits version)
14.Valentine D.C. / be a believer
15.Syrup 16g / Reborn

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