黄色のトラックスーツ風の学ランに身を包み、ヌンチャクを構えた團長を中心としたメンバーが最高にクールで強烈なインパクトを与える、氣志團の最新シングル「Don’t Feel, Think!!」。これは言わずもがな、『燃えよドラゴン』等の映画作品で知られる、香港の伝説のアクションスター、ブルース・リーのオマージュだが、リーが『燃えよドラゴン』の劇中で発した名台詞は「Don’ Think,Feel！」。弟子の蹴りに対して、「頭で考えるんじゃない」という意味で＜考えるな、感じろ＞と一喝したのがリーだが、綾小路は“クソども＆カスども”に＜感じるな 考えろ＞と一喝する。

　もともとは、テレビ東京系ドラマ「LOVE理論」の主題歌として描き下ろされたこの曲。僕はこの言葉を恋愛に悩む若者へのエールであり、綾小路流の“LOVE理論”であると受け止めた。「どうせ俺なんて」とスネたりイジケたり、妬んだりしてる若者に「勝手に諦めんじゃねぇ！ 悲壮感感じてる暇があったら、もう一歩前に進むための秘策を考えろ!!」と綾小路は叱咤激励するのだ。この曲を聴いて思い出したのだが、学生時代の綾小路は好きな女の子を振り向かせるため、その子のことを徹底的に調べあげ。その子が好きなバンドの切り抜きを下敷きに挟み、わざとその子の見えるところに置いて、気を引いたのだそう。とても自分とは釣り合わない高嶺の花子さんだったとしても、何もせずに諦めるのではなく、「どうしたら彼女が振り向いてくれるだろうか？」と必死で考えて頭を捻る。これこそが綾小路の“LOVE理論”なのだ（笑）。玉砕覚悟も美しいけど、しっかり戦力を練って勝算を上げていくのも重要。イケメンばかりにいい思いさせてたまるか、立ち上がれブサイクよ！（俺も含む）

　この曲の作曲は前作「幸せにしかしねーから」に続き、西園寺 瞳。四つ打ちに効果的なシンセ音で始まるイントロで始まる軽快でダンサブルな曲調に乗せた、キャッチーなメロディが頭に離れないこの曲でも、前作に続き西園寺が持ち前のソングライティング能力の高さを発揮。また、楽曲のテーマに基づき、ダンス経験の一切ない学生を集めて踊らせたという、学校を舞台としたMVでは少し前に大流行した、三代目J Soul Brothers - EXILE TRIBEの“ランニングマン”を彷彿とさせる“シンキングマン”も披露（笑）。遊び心満点のサウンド面や振り付けもこの曲の魅力。

　「イッツ・オンリー・ラブソング」と大仰なタイトルで、＜おまえと今夜ヤリたいんだ＞と大真面目に歌う２曲目も最低で最高（笑）。綾小路 翔作詞／星グランマニエ作曲のこの曲は、ツアーや製作を経て、より強靭になったバンド・アンサンブルも楽しめるロックンロール・ナンバーになっているので、ぜひ、サウンド面にも注目して聴いて欲しい。

【文：フジジュン】