レビュー

Thinking Dogs | 2016.02.23

 ロック、J-POP、アニソンなどの垣根を超え幅広いポピュラリティを獲得できるはず――やはりこのバンドは、ジャンルを超越するパワーと可能性が潜んでいるようだ。

 Thinking Dogsの3rdシングル「そんな君、こんな僕」がリリースされる。昨年5月にシングル「世界は終わらない」でメジャーデビュー。11月に2ndシングル「3 times」をリリースし、CMを中心とした大型タイアップとともに確実に知名度を上げてきた4人。アニメファンの間で根強い人気を得ているアニメ「NARUTO-ナルト-疾風伝」のエンディングテーマに起用された「そんな君、こんな僕」によって彼らは、リスナーの幅をさらに大きく広げることになるだろう。

 「そんな君、こんな僕」の最大のフックは「そんな君をなぜか/こんな僕は否定できなくて」から始まる歌だ。疾走感のあるメロディとともに“孤独や不安に負けないで、先を向いて進んでいこう”というメッセージをダイレクトに伝えようとする、その真っ直ぐな歌声こそがこの曲の魅力なのだ。その中軸を担っているのは、言うまでもなくTSUBASAのボーカル。これまでのシングルでは線の細さを感じていたのだが、ライブ、イベントなどを経験することで、彼の歌は確実に骨太さを増した。その最初の成果が「そんな君、こんな僕」なのだと思う。

 TSUBASAの歌を支えるバンドサウンドも着実に成長している。がむしゃらに突っ走るドラム、ボーカルのメロディと絡み合いながら楽曲に深みを与えるベース、そして、ロック的なダイナミズムをガツンと響かせるギター(ハードロック・テイストのギターソロも印象的)。“聴き手に歌を届ける”という意識がしっかりと共有されたことで、バンドの方向性がさらに明確になったことが、このサウンドの強さの理由なのだろう。

 c/wには好きな女の子との微妙な距離感、そこで生じるもどかしい感情を起伏のあるサウンドとともに描き出した「もどかしいディスタンス」、そして、UKロック・テイストを反映させたアンサンブルのなかで「わかり合うとは妥協し合うことじゃない」という切実なリリックが響くミディアムチューン「永遠はどこだ?」を収録。カラフルな音楽性と豊かな表現力を提示しているところも、このシングルの大きな聴きどころだ。

 作品をリリースするたびに、バンドとしての個性と新たな可能性を示し続けているThinking Dogs。そのポピュラリティの高さが証明される瞬間が、もうそこまで迫っている。そんな手ごたえをはっきりと感じさせてくれるシングルだと思う。

【文:森朋之】

tag一覧 シングル 男性ボーカル Thinking Dogs

リリース情報

そんな君、こんな僕(初回生産限定盤)[CD+DVD]

そんな君、こんな僕(初回生産限定盤)[CD+DVD]

発売日: 2016年02月24日

価格: ¥ 1,500(本体)+税

レーベル: ソニー・ミュージックレコーズ

収録曲

[CD]
1. そんな君、こんな僕
2. もどかしいディスタンス
3. 永遠はどこだ?
4. そんな君、こんな僕 -NARUTO ED ver.-
5. そんな君、こんな僕 -instrumental-
6. もどかしいディスタンス -instrumental-
7. 永遠はどこだ? -instrumental-

[DVD]
1. 3 times (Music Video)
2. Making of 「3 times」 MUSIC VIDEO

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