レビュー

永原真夏 | 2016.03.16

連載 第113週
永原真夏
『バイオロジー』


『バイオロジー』は一足早く真夏を先取りするアルバムだ

 初のミニアルバム『バイオロジー』で、永原真夏のポップな エネルギーが大爆発している。どの曲を聴いても、彼女のアッパーな笑顔につられて、こちらも大いに笑ってしまう出来映えだ。

 SEBASTINA Xの活動を休止してすぐにソロ活動を開始した永原は、去年7月にEP「青い空」を発表。そのときも「やっぱり真夏ちゃんは元気!」と思ったものだが、『バイオロジー』は予想を遥かに超えた“元気”で耳に迫ってくる。

 オープニング&リード曲「リトルタイガー」には、とにかくマイった。ある程度のパワーは予想して身構えてはいたが、イントロのドラムとギターのワイルドなプレイに度肝を抜かれ、真夏ちゃんの歌が始まると軽く吹き飛ばされてしまった。馴染みやすいのに、高いオリジナリティのあるメロディは、いわゆる“名曲のデジャヴ”。初めて聴くのに、どこかで聴いたように感じる現象が起こる。スケールの大きな曲を歌うにあたって、真夏ちゃんは肺活量をフルに使って喉を震わせる。だから♪守って あげたい どくやとげに傷つかぬように♪という素朴なリリックがグッとくる。ブラスの入った熱のこもったサウンドと、よくグルーヴするリズムが、それこそ“音楽の人間味”を味あわせてくれる。それはまさに永原真夏の魅力そのもので、彼女のソロ活動の本格化を告げるのにふさわしい1stミニアルバムになっている。

 アルバムタイトルは、生物学という意味だ。タイトル曲「バイオロジー」は、生物学仕立てのラブソング。そうしたユーモアも真夏ちゃんらしい。いちばんスピードのある「平和」は、バックのSUPER GOOD BANDのギタリスト藤原亮が大活躍。ノイジーでダイナマイトなギターが歌と一緒に暴れ回って、♪平和はどこにある♪という逆説的なメッセージをストレートに伝えてくれる。パンキッシュな曲なのに、聴いていてニコニコしてしまうのが“真夏ちゃんマジック”だ。ラフでホットなバンドサウンドをここまで前面に出してくるとは、嬉しい誤算。 ジャケットなどのビジュアルワークも賑やか、かつハッピーで、「『バイオロジー』はうつくしいものをつくるひと、求めているひと、という テーマでひとを集めてつくった作品です」という真夏ちゃんのコメントがそのまま実現されている。

 そしてラストを飾る「プリズム99%」は、真夏ちゃんならではのバラード。日々の暮らしを♪ずっと 痛いまんまで それで生きる♪と見抜く感覚が、鋭くて優しい。彼女が独特のセンスを全開にして作った『バイオロジー』は、最初から最後まで充実の6曲だ。

 音楽に季節があるなら、永原はずっと夏の音楽を歌い続けてきた。だから『バイオロジー』は一足早く真夏を先取りするアルバムだ。

【文:平山雄一】

tag一覧 アルバム 女性ボーカル 永原真夏

リリース情報

バイオロジー

バイオロジー

発売日: 2016年03月16日

価格: ¥ 1,667(本体)+税

レーベル: we are

収録曲

1. リトルタイガー
2. バイオロジー
3. 平和
4. 唄おうカロリーメイツ
5. 青い空(Hyper Ver.)
6. プリズム99%

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