WANIMAの勢いが止まらない。止まらないどころか、その勢いは加速する一方だ。まあ、それは今に始まったことではない。レーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」と契約を結び、デビュー作『Can Not Behaved!!』を発表するや、瞬く間に人気を得た。とりわけ、ライヴ現場はまるで「事件」を目撃しているようなカオスな盛り上がりを見せていた。 　
　彼らが立つライヴハウスのキャパと、そこに集まった観客の熱量があまりにも不釣り合いで、思わず笑ってしまうほど。要するに小規模の会場でライヴしている頃から、既にホールクラス、いや、建物の壁さえブチ壊す破格のスケールを持ち合わせていた。 　

　そして、通算４枚目になる2ndシングル「JUICE UP!!」が届いた。ここ数年は大型フェスや地上波のTV音楽番組出演など、圧倒的に露出も増えた。今作はそれを裏付ける音源と言えるだろう。それはタイアップが２曲付いているからではなく、誰もが知る有名カヴァー曲が収録されているからでもない。より１人でも多くの人を巻き込みたい、というバンドのひたむきな思いが今作には結実している。既にMVも公開済み（必見！）の冒頭を飾る「ともに」は、ニベア花王の制汗剤「８×４」CMソング用に書き下ろしたもの。企業側から「青春、汗、部活」とテーマが与えられ、"友に"、"共に"と幅広い解釈ができるダブルミーニング的な曲名もポイント。曲調自体は熱く切ない繊細なギターフレーズが聴き所で、アコギを強調したアレンジも楽曲の温かみを増幅させている。また、後半の「生きて耐えて時に壊れ泣いて迷う影に笑顔咲き誇る　生きていれば・・・命さえあれば・・・」と、この時代に生きるすべての人に捧げた歌詞のメッセージ性にも注目。大合唱必至の名曲と断言したい。 　

　続く「オドルヨル」はWANIMA十八番（おはこ）のエッチ・シリーズで、歌詞はさらにタブーなき振り切れよう（笑）。韻を踏んだ歌詞のスピード感と相まり、お祭り感満載の曲調に仕上がっている。話は横道に逸れるが、最近「都筑響一　presents エロトピア・ジャパン」（８月７日まで会期延長）という展示会を観に行き、そこで「性は生なり！」という言葉を見つけ、激しく膝を打った。WANIMAの性的表現も、人を元気にさせるパワーに満ちている。 　

　それからカーセンサーCM曲「切手のないおくりもの」のカヴァーがここで飛び出す辺りも最高。スカのリズムを挿入し、一瞬「WANIMAのオリジナル曲？」と勘違いしてしまいそうな好カヴァーっぷり。 　

　ラスト曲「For you」は鮮やかなテンポ・チェンジで聴かせるミドル・ナンバー。後半の女性コーラスも華やかで、感動的な１曲になっている。今作は何よりテンポやリズムにこだわり、パンク好きはもちろん、全世代の人に届けよう！と欲する彼らの成熟度が露になった大傑作シングルだ。 　 　 　　

【取材・文：荒金良介】