レビュー

MOTHBALL | 2017.03.08

 宇宙海賊チーム「MOTHBALL」の存在が賛否両論を巻き起こしている。話題の的となっているのはその見た目。宇宙海賊の“アイスG”と“Kフレア”が通りすがりの人間を操ることで組んだバンドということで、5人のメンバーは全員覆面姿。これを面白いと捉えるリスナーが多い一方、「もうこのテのバンドはいらない」と一蹴する向きもある。まあ、この時点で彼らの思うツボなんだろうが、彼らの目的は話題作りとは別のところにある。各メンバーの個性を自ら捨てることで、より音楽にフォーカスさせようとしているのである。

しかしこの作戦、非常に危うい。当然ながら、音楽がよっぽどいいものでなければ一気に破綻してしまうからだ。だが、彼らはこの問題を簡単にクリアしている。1作目の「What a Wonderful World」から、良質なポップパンクサウンドで早耳で好奇心旺盛なリスナーの心を着実に捉えていったからだ。

今作はシングルやフルアルバムを含めると4枚目の作品となるが、大きな飛躍を遂げたことが一聴してすぐに分かる。まず、サウンドがかなり豊かになった。シンプルなバンドサウンドを基調としていた過去作とは違い、幾重にも重ねられたギターやコーラス、随所に仕掛けられた隠し味がメロディを引き立てている。例えば、Ben FoldsやMIKAといったアーティストが浮かんでくるショートチューンM3は、あと数分長く聴いていたいと思わせるぐらい素晴らしい楽曲だが、これも巧みなコーラスワークの勝利と言える。

アイスGがボーカルをとるM4も素晴らしい。クセの強いKフレアとは違い、甘くて聴きやすい声がアイスGの特徴だが、ただメロディがよいだけだと印象に残らないという欠点がある。しかし、この楽曲でも練りに練ったコーラスワークと、意表をついたアレンジでいくつものフックを仕掛け、これによってかなりキャッチーな楽曲に仕上がっている。

メインソングライターのKフレアは、恐らく自分のソングライティングスキルにかなりの自信を持っていると思われるが、今作ではそのメロディをさらに魅力的に響かせる技を手に入れたと言える。

こういう表現はあまり使いたくはないが、これぞまさに「捨て曲なし」。人間という枠組みから離れ、一般的なバンドの概念からも外れ、ただただ純粋に良い曲を作る。この2人組の曲作りは早くも職人技の粋に達しつつあるのかもしれない。実は韓国の人気バンドFTIslandに楽曲提供をしたこともある2人だが、このソングライティングスキルの高さは他のアーティストの目に留まる日もそう遠くはないのではないか。そこまで思わせるほどの傑作なのだ、「We Are The World」は。このレビューが大げさかどうか、実際にその耳で判断してみてほしい。得体の知れない存在だからと避ける必要はない。素直にこの素晴らしいポップセンスと音塊に身を委ねればいいのだ。

【取材・文:阿刀 “DA” 大志】

リリース情報

We Are The World

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We Are The World

発売日: 2017年03月08日

価格: ¥ 1,852(本体)+税

レーベル: Supersonic Lab

収録曲

1.What The Hell
2.Fight It Out
3.WATW
4.Wonderland
5.Storm
6.Prince Of The Planet

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