レビュー

0.8秒と衝撃。 | 2017.03.15

 0.8秒と衝撃。の曲を聴いて多くの人が共通して感じるのは、“身体を動かしたくなるサウンドだな”というようなことだと思う。しかし、陽気な笑顔を浮かべながら踊りたくなるような、いわゆる“ダンスロック”的なものとして捉える人は、ほぼ皆無ではないだろうか。彼らの音楽がリスナーに体感させる興奮を端的に言い表すならば、“内省的”“メランコリック”“ほろ苦い”というような表現がしっくりくる。最新作となるミニアルバム『つぁら﹆とぅ﹆すとら』も、この妖しい魅力が発揮されている一枚だ。

 例えばオープニングを飾る「ブレイクビーツは女神のために」のインパクトがものすごい。怨念込めて五寸釘を打ち込むかのような不穏なビート、シンセサイザーのギラギラした音像が、どす黒いドキドキを噛み締めさせてくれる。そして、そのほかの曲もアクが非常に強い。凶暴なビートとカラフルなメロディの奇跡的な融合形「狂音ミク」。殺気立った音像が怖いくらいに渦巻いている「レボリュ。」。古典落語の演目をモチーフとしつつも寂し気なムードを漂わせる「饅頭こわい」。メランコリックなメロディが濃霧のように広がる「痛みの犬」……各曲のキャラクターはかなり強烈だが、どれも繰り返し味わいたくなる危険な魔力の塊だ。見てはいけない何かを見てしまったかのような後ろめたいワクワクを誘うこの作風は、ヒットチャートの上位にランクインするポップスとは別の形の“キャッチー”と言っても良いのではないだろうか。

 海外のロックに詳しい人ならば、ポストパンクやニューウェイヴ的な香りを、0.8秒と衝撃。から感じ取ると思う。危険な尖鋭性を核に持ちながらも、不特定多数の観客を巻き込み得る“ダンサブル”という武器も不敵に磨き上げているこのバンドは、禁制品的な刺激の宝庫だ。“こういう音楽の形もありなんだ!”という新しい悦びを求めているすべての人に、ぜひこのミニアルバムを聴いてほしい。

【文:田中 大】

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リリース情報

つぁら、とぅ、すとら

つぁら、とぅ、すとら

発売日: 2017年03月15日

価格: ¥ 1,500(本体)+税

レーベル: HAGATA

収録曲

1. ブレイクビーツは女神のために
2. 狂音ミク
3. レボリュ。
4. 饅頭こわい
5. 痛みの犬

※タイトル中の「、」は白抜き文字が正式表記になります。

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