レビュー

WEBER | 2017.04.25

 今年2月にメジャーデビューを果たしたダンスボーカルユニット、WEBERが早くも2枚目のシングルを発表した。デビュー作となった前作「オオカミの涙」は、叙情的でシリアスな世界観を持っていたが、今作は新しい季節にふさわしい、生命力に満ちた息吹を届けてくれる「-BALLON- / 笑顔が叶いますように」のDouble A-Side Singleとしてドロップ。

 まばゆい光が射すような「-BALLON-」のストーリーは、繊細なピアノとフルートを思わせる管楽器の音色、そしてTaka.とHayatoが優しく漂うボーカルを繋ぎながら始まる。そのうしろを支える軽やかなマーチングビートは力強さを与えているよう。しかし後に広がるサビの、その強さはけっして押しつけるものではなく、背中に手を置いてそっと押してくれる、そんな温かさが彼らの歌にはある。このMVもぜひとも観てほしいのだが、ダンサーのJとlittle Skeetを含め、終始、やわらかな笑顔を絶やさないWEBER4人の表情にも心がほどかれていく。この笑顔は「オオカミの涙」ではいっさい見せなかったものだ。“BALLON(読み:バロン)”はフランス語で“風船”の意味で、曲には「涙で濡れた頬が春のそよ風に吹かれて乾き、その風に乗って花の種を結んだ風船は、虹を越え、全国に飛んでいく……」というメッセージを込めているそうだ。自身の脆さを受け入れながらも強くあろうと葛藤する「オオカミの涙」へのアンサーソングにも聞こえる。“苦しみ 悲しみ 解き放て”と、「-BALLON-」のクライマックスで唯一叫ぶかのように力を込めて歌うHayatoのハイトーンボイスに、「オオカミの涙」の主人公につきまとっていたネガティヴな感情が解放されるーーそんなイメージが脳裏に浮かんだ。そして“本当の想いをつなぎとめた 君 自分の心 もうなくさないで”という最後の言葉に、誰もが心救われるはずだ。

「笑顔が叶いますように」も、“花”“微笑み”という共通項を携えて「-BALLON-」の流れを汲んだピースフルなサウンドと歌声を運んでくれる。笑顔の先に人が胸に抱くのは、きっと強さなのだろう。WEBER自身、結成からこれまでに数々の壁を何度も乗り越えてきた。そのすぐ側にあったのは彼らを支えるたくさんの笑顔で、それが活力になってきたに違いない。だからこそWEBERは誰よりも笑顔の優しさと重さを知っていて、その力を深く信じ続けてもいる。ゆえに“笑顔が叶いますように”というメッセージがこんなにも素敵に響いてくるのだ。

 前作に引き続き、今作もWEBERにとっては人生観に迫る、大きな意味を持つ作品になったのではないだろうか。と同時に、これを受け取る私たちにとっても、これから果てなく広がる道を歩む中で、ずっと胸に大切に持っていたいシングルになった。

【文:恒川 めぐみ】

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リリース情報

-BALLON- / 笑顔が叶いますように

-BALLON- / 笑顔が叶いますように

発売日: 2017年04月26日

価格: ¥ 1,200(本体)+税

レーベル: ユニバーサル ミュージック

収録曲

1: -BALLON-
2: 笑顔が叶いますように ※今夜もLL(ハート)(LIVE&LOVE)エンディング・テーマ
3: Ready Steady Go→

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