レビュー

エレファントカシマシ | 2017.11.06

 エレファントカシマシの記念すべき50thシングル「RESTART/今を歌え」のリリースに先駆け、フルサイズで公開された「RESTART」のMVが話題だ。エアロスミスかニューヨーク・ドールズかと思うような派手な衣装とメイクで飾ったロックバンドに扮したかと思うと、地味なスーツのサラリーマン風の宮本浩次が現れ、両者が錯綜するうちに最後には宮本が自らの髪を切る。真っ向から違う2つの姿で理想と現実、あるいは夢と現といったものを描いているのだろうが、どちらも見たことのない宮本でありエレファントカシマシ。加えてリアルな断髪シーンはなかなかに衝撃的だ。何よりも、この思い切りの良さに新曲への宮本の本気がわかるというものだ。また新曲のMVはショートバージョンで公開されることが多い昨今にこの太っ腹ぶりは、さすがエレファントカシマシ!と喝采したくなるが、何よりもこの楽曲の力強い魅力があればこその太っ腹だろう。

「RESTART」という直球なタイトルで、ここから勝負してみたいとまっすぐに歌う。デビュー30周年を迎えて足跡を振り返れば、夢と理想を抱いてここまでたどり着いた。まだ自分の歴史は幕を閉じるわけではなく、ここから本気でリスタートと、熱い思いを宮本は歌でぶつけてくる。綺麗事でおさめず、30周年という節目に自分と真摯に向き合っている宮本が、この曲からは伝わってくるのだ。そして骨太なギターリフが印象的なバンドの演奏が、その熱い思いとともにグルーヴィーに揺れて胸に迫り、4人で歩んできた長い時間を思わせる。エレファントカシマシでなければ生まれない名曲だ。

 カップリングの「今を歌え」は対照的にアコースティック・ギターとピアノを配した演奏で、宮本が情感豊かに歌い上げる穏やかなバラード。曲調は対照的だが、歌のテーマは「RESTART」と通じる、人の成長と新たな旅立ちだ。過去を振り返り思うことはいろいろあるが受け入れて、その先に続く未来へと進んで行く。実に宮本らしい人生観に裏打ちされた歌詞が、すんなりと心に響いてくる。人生訓めいた歌を若い頃から歌ってきた宮本だが、やはり新曲は今の彼だから歌える歌だ。歌い続けてきた「ファイティングマン」や「珍奇男」あるいは「風に吹かれて」「悲しみの果て」といった曲を経てきたからこそ生まれた歌だろう。その流れは途切れることなく、芯はブレることなく続いている。「RESTART」と宣言したエレファントカシマシは、これまでと変わらず進み続け新しい歴史を刻んでいくのだ。

【文:今井 智子】

リリース情報

RESTART/今を歌え

RESTART/今を歌え

発売日: 2017年11月08日

価格: ¥ 1,100(本体)+税

レーベル: ユニバーサル シグマ

収録曲

01.RESTART
02.今を歌え
03.RESTART(Instrumental)
04.今を歌え(Instrumental)

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