レビュー

打首獄門同好会 | 2018.01.31

「現在絶賛敢行中の『47都道府県ライブ制覇・戦獄絵巻ツアー』のゲストアーティスト陣の豪華ラインナップ!!」
「映像化のクラウドファンディングを募ったところ、目標金額を25時間で達成。結果、目標の5倍以上もの支援を受ける!!」
「新MV「布団の中から出たくない」は、人気のキャラクター「コウペンちゃん」の描き下ろしイラストを使用したバンド初のアニメーション作品!!」
「同MVが日本国内で3週間で70万回再生。中国では1,000万回以上の動画再生を突破!!」
「それを受けての同MVの英語字幕付きバージョンを急遽作成&公開!!」
等々、3月11日の日本武道館公演を目前に、打首獄門同好会関連の話題が目白押しだ。
そして、新たな話題がまた一つ。当初より公言されていた春夏秋冬の作品リリース計画のうち、この度、その第3弾に当たる「冬盤」が、ここに届けられた。これがまたしても聴いた方々のSNSのTLを賑わすこと間違いなしな逸品なのだ。

サウンド面では、彼らの真骨頂のメタルコア~ラウドロック、出自やフェイバリットを感じさせるハードロック~LAメタル、挑戦や新しい試みを感じさせるレゲエ~2ビート~スカ、彼らのライブ光景が眼前に浮かんでくる楽曲と、今回もハードを基調に、幅広く、バリエーション豊富に、ニヤリやウフッを含む嬉しさを聴く者に寄与し、楽しさを共有してくれている。対してリリック面でも、
「愛しのスマホが危険にさらされた時の“無事であってくれ…”と祈るような思い」
「使おうと思ったら切れたり、持ってき忘れた際の自戒を回避すべく、常にチェックは怠るな」
「冬の朝、ふとんから出たくない自分との葛藤」
と、今回も色々な意味で身近で思い当るものばかりだ。

各曲についてもう少し深く掘り下げると……。
M-1.の「スマホの画面が割れた日」は、ファストなオルタナティブ・メタルが基調となったナンバー。左右のパンを上手く利用した各女子メンバーのコーラスも印象的だ。スマホを落とし、画面を見た際や水没した際の、「無事であってくれ」との祈りもむなしく、割れている際や水没を確認した際の残念な心境やガッカリ具合が手にとるように分かるリリック内容も秀逸。また、それらと相交わり、残念さと、その哀しさや悔しさを次の行動の原動力に変えているようにも映るのも興味深い。特にサビのストレートになる箇所は、歌の心境とは正反対に気持ち良くて、それが逆に面白かったりする。
M-2.「忘れらんねえですよ」は、彼らの出自やフェイバリットであろう、懐かしい感じもある往年のLAメタル~バッドボーイズ・ロックンロールを彷彿とさせるナンバー。オブリもたっぷり交えた、ミッドなドラミングも印象的だ。ハードロック色の強いハイトーンのボーカルとダイナミズムも擁したストーナーロック的なギターリフも特徴的で、それっぽいギターソロも聴きどころ。
 リード曲にもあたり、上述のMVでも話題となった、M-3.の「布団の中から出たくない」。こちらは、この時期に多くの人が朝目覚めた瞬間に思うことを代弁して歌ってくれるように響くナンバーだ。ほのぼのとしたレゲエ調の歌い方から始まりながらも、時折切りこむように混じる超ファストなフレーズを折り交え、サビでは2ビートも現われ、ライブでの大合唱を伴った盛り上がりを浮かばせてくれる。
また、4曲目には昨年3月に新木場コーストで行われた際の「フローネル」のライブテイクを収録。楽曲のプレイはもとより、彼ららしいMCやお客さんとのナイスなやり取りまでも収められており、逆にそっち込みの彼らの魅力やライブでの楽しさが堪能できる。こちらを聴けば、これからの彼らの武道館公演や、残り僅かとなってしまったがツアーに、これからでも参加したくなることだろう。
いよいよ2ヵ月を切った打首獄門同好会の武道館公演。今からでも遅くない。彼らの単独ライブでの最大規模で、3人がハードな音に乗せて放つ、楽しさやあるある。そして、得体の知れない活力やバイタリティを是非一緒に味わおうではないか!!

【文:池田スカオ和宏】

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リリース情報

冬盤

冬盤

発売日: 2018年01月24日

価格: ¥ 1,200(本体)+税

レーベル: LD&K

収録曲

1. スマホの画面が割れた日
2. 忘れらんねえですよ
3. 布団の中から出たくない
4. フローネル(LIVE)

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