レビュー

TOC | 2018.01.31

 TOCのメジャー第1弾となるソロ・アルバム。過去2作のソロ・アルバムは、彼のラップをフィーチャーしたハードでメッセージ性の強い作品だったが、ここではそういった面も含みつつ、ポップなアッパー・チューン、切ないラブ・ソング、包み込むような優しいナンバーなど、TOCというアーティストの持つ様々な表情が、バラエティに富んだトラックと共に表現されている。

 オープニングの、4つ打ちのダンサブルなアッパー・チューン「武器と勇気」は、これまでのTOCのイメージとはひと味違ったアプローチで驚かされるし、女性シンガーのチアキ(ex赤い公園 ボーカル佐藤千明がソロ始動して改名)をフィーチャーして、新しい自分を見つけたいという気持ちを歌った「START UP feat.チアキ」や、LITTLEのラップをフィーチャーし、“オレらがルールさ”と歌う「NEW RULE feat.LITTLE」などは、ソロ・アルバムならではの新鮮なアプローチだといえるだろう。

 また一昨年シングルでリリースされた「過呼吸」、実らない恋の狭間で揺れ動いている心情を描いた「高嶺の花」や「SAD DAY」、スケールの大きなラブ・ソング「I’ll Light You」などは、とてもTOCらしい、そして彼の優しさが素直に表現された楽曲だといえるだろう。特に“誰より君を幸せにする”と歌う「I’ll Light You」の包容力溢れる歌声は感動的だ。その一方で「リスキーダイス」や「1999」などといった、メッセージ性の強いラップ・チューンも収録されており、前2作からの流れもしっかりとキープされている。全体的なトラック・メイキングも、ソロ作品ならではの、多様なアプローチが展開されており、彼のチャレンジ精神がよく表われた内容になっている。

 TOCの楽曲は「動」と「静」、「硬」と「軟」、「情熱」と「冷静」、「寒」と「暖」、「厳しさ」と「優しさ」といった二面性を持っており、それが彼の大きな魅力でもある。そのどちらもがTOCであり、まるでコインの裏表のように、TOCというアーティストを作り出している。どちらが欠けても彼ではないし、このアルバムではそんな彼の魅力が余すところなく表現されている。まさに『SHOWCASE』というアルバム・タイトルがピッタリの作品だ。

 このアルバムは、これまでの個性を大切にしながらも、さらなる進化を目指しているTOCというアーティストの、前向きでポジティブなスピリットに溢れた力作だ。ソロ・アーティストとしてのTOCが、ここからどのような活動を展開していくのかにも注目だ。

【文:熊谷美広】

tag一覧 J-POP アルバム 男性ボーカル TOC

リリース情報

SHOWCASE

SHOWCASE

発売日: 2018年01月25日

価格: ¥ 1,852(本体)+税

レーベル: ユニバーサル ミュージック

収録曲

1.武器と勇気
2.リスキーダイス
3.START UP feat.チアキ
4.高嶺の花
5.1999
6.過呼吸
7.SAD DAY
8.I’ll Light You
[Stop-Press Track]
9.NEW RULE feat.LITTLE

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