レビュー

エレファントカシマシ | 2018.06.06

 前作『RAINBOW』から約2年半ぶりになるエレファントカシマシの23作目『Wake Up』は、剥き身のエレファントカシマシが詰まった快作だ。自分を鼓舞し、バンドのケツを叩き続けてきた宮本浩次の、心の叫びともいうべきものが吐き出されている。オールタイムベスト盤に47都道府県ツアー、そして紅白歌合戦出場と充実の30周年を経て見出したものは、どうしようもないほど変わらぬ姿勢で続けてきたからこそのエレファントカシマシというバンドだった、というストーリーを浮かび上がらせる。

 すでにシングルでリリースされている48thシングルの「夢を追う旅人」と、そのc/wの「i am hungry」、49thシングル「風とともに」、50thシングル「RESTART / 今を歌え」、そしてテレビ東京系ドラマ『宮本から君へ』の主題歌「Easy Go」を含む12曲が収録されており、原点回帰が大きなテーマになっているようだが、加えて覚醒と再生も重要な要素だろう。それをダイレクトに伝える新曲のポテンシャルが半端ない。

 プロローグ風の「Wake Up」から「Easy Go」のパンキッシュなエネルギーは、決してイージーではなかった彼らの足取りへの最高のカウンターパンチだし、それでも「神様俺を」は気弱になって神頼みしたくなっても実はどこかに希望を抱えているといった気分が、レゲエのビートで伝わってくる。ふとした日常の光景に日々続いていく人生を重ねて日々更新されていくと自覚する「自由」、おおらかなバンド・サウンドで背中を押す「旅立ちの朝」、飾り気のないサウンドで力強く歌う「いつもの顔で」は、メンバーに寄せる宮本の信頼と友情を描いているように思える。抑えた調子の歌で最後を飾る「オレを生きる」は、自分らしく生きるしかねえ、と腹をくくって歩みを進めていく。独白めいているが、エレファントカシマシというバンドがそういう生き方をしてきたし、これからもしていくという宣言のよう。宮本が自身を歌うほどにバンドと一心同体であることを感じさせる。エレファントカシマシはそういうバンドなのだ。

「悲しみの果て」や「笑顔の未来へ」などのヒット曲で人気を得ても、エレファントカシマシは「ファティングマン」や「デーデ」を歌い続け、ライブで欠かせない曲にしてきた。そこに彼らの原点があり、どんなところに広がろうとも倒れないバランサーのようなものなのではないか、だから不動のメンバーで30年続いてきたのではないかと思っている。そんな、どうしようもないほどのエレカシらしさを、この作品は赤裸々に歌っている。31年目だからこそ歌える、剥き身のエレファントカシマシなのだ。

【文:今井智子】

リリース情報

Wake Up

Wake Up

発売日: 2018年06月06日

価格: ¥ 3,000(本体)+税

レーベル: ユニバーサル シグマ

収録曲

1. Wake Up
2. Easy Go
3. 風と共に
4. 夢を追う旅人
5. 神様俺を
6. RESTART
7. 自由
8. i am hungry
9. 今を歌え
10. 旅立ちの朝
11. いつもの顔で
12. オレを生きる

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