レビュー

ゲスの極み乙女。 | 2018.08.29

 ゲスの極み乙女。が4thアルバム『好きなら問わない』をリリースする。
 エッジが効きまくった4つのフレーズがプログレッシブに絡み合うアンサンブル、ファルセットを交えたキャッチ―なメロディがひとつになった、“これぞゲス極!”なアッパーチューン「オンナは変わる」(ライブのMCで川谷絵音が「バンド史上、演奏の難易度がいちばん高い」と言ってました)、徳澤青弦カルテットによるクラシカルなストリングス、叙情性を強く反映したメロディとともに“そのうち一緒になろうよ”というあまりにも切実なフレーズが響き渡る「もう切ないとは言わせない」、ゴシップに対する世間の反響をテーマにしたシニカルかつユーモラスな歌詞を読んで“これ、またいろんな反響を呼ぶだろうな……”と思わざるを得ないアグレッシブなナンバー「僕は芸能人じゃない」、ホーンセクションを交えた解放的なサウンド、(タイトル通り)颯爽と走るような心地よいグルーヴが印象的な「颯爽と走るトネガワ君」(TV アニメ『中間管理録トネガワ』オープニングテーマ)。バンドの独創性をさらに突き詰め、音楽的な深みと一瞬のインパクトを共存させた本作は、まちがいなく最高傑作である。

 前作『達磨林檎』から約1年3カ月ぶりとなる本作。ゲスの極み乙女。にとって、前作以降の期間は、決して良いことばかりではなかった。川谷自身もバンドの活動についてかなり悩んでいたという。そのシリアスな状況から脱却したきっかけは、2017年5月に行われた約半年ぶりの“復活ライブ”。ファンの前で演奏することの喜びを改めて実感し、救いにも似た感情を覚えたという川谷は、これまで以上に音楽に没頭。その最初の成果とも言えるのが、本作『好きなら問わない』なのだと思う。

 どんな状況であっても、音楽を作ること、演奏することで答えを出さないといけない。“ミュージシャンの業”と呼ぶべき川谷のスタンスは、本作によって改めて証明されたと言っていい。2018年6月22日のNHKホール公演で川谷は「アルバムが完成したとき、“このバンドをやってきて良かった”と思いました」と語った。すべての壁を音楽の力で乗り越えてきたゲスの極み乙女。はこのアルバムを作り上げたことで、さらに高いフェーズへと突入することになるだろう。新作を引っ提げた全国ツアー『ゲスなのか、タコなのか』も大いに期待したい。

【文:森 朋之】

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リリース情報

好きなら問わない

好きなら問わない

発売日: 2018年08月29日

価格: ¥ 3,000(本体)+税

レーベル: ワーナーミュージックジャパン

収録曲

1.オンナは変わる
2.はしゃぎすぎた街の中で僕は一人遠回りした
3.イメージセンリャク
4.もう切ないとは言わせない
5.戦ってしまうよ
6.sad but sweet
7.僕は芸能人じゃない
8.颯爽と走るトネガワ君
9.ゲンゲ
10.私以外私じゃないの(Remix by PARKGOLF)
11.招かれないからよ
12.ホワイトワルツ(adult ver.)
13.アオミ

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